- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592131205
感想・レビュー・書評
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そう言えば読んでいなかったと、
ふと思い出した絶版本を中古で購入(1988年第2刷)。
しかし、目を通してみたら、
もしかして既に読んだことがあったのでは……
という気がしてきた。
それはさておき。
1980年代半ばに発表されたSF短編、全4編収録。
■羅陵王(1985年 LaLa12月号掲載)
タイトルは雅楽の曲名で「蘭陵王」とも呼ばれる。
帝国評議会の名代、軍人上がりの役人モルテス青年は
蝕市(ラーフ・シティ)へ赴き、
租税として不老長寿薬(アムリタ)を
取り立てようとしていたが、
神殿の主レディ・トゥネ(見た目は幼女)は
「アムリタは神の思し召しのままに生じる」と空惚け……。
※疫病と性と長命の問題をSFの枠組みで、
不老長寿の妙薬の秘密を
優形(やさがた)を獰猛な面で覆った羅陵王に準え、
しかも、たった40ページで描いた怪作。
■アレフ(1985年 グレープフルーツ第23号掲載)
漫画家・徳永メイ原案、
元のタイトルは「マーテル・ノストラ」(Mater Nostra=我らの母)で、
これは脚注によると「完全自動制御受胎システム」。
「アレフ(aleph)」はヘブライ文字の第一文字目。
遺伝学者にしてカルト結社《パラディ》の主幹
アンヌ・フレイに誘拐された
ジェネティック研究所の重要人物〈アレフ〉を追って
USE(ヨーロッパ合衆国)から日本へやって来た
ジェイムズ・ハートマン博士(♀)。
彼女は保安局主任アイ・シンに導かれ、
いかがわしい歓楽街へ。
裏社会のボスは《パラディ》の祭が終われば
〈神様〉である〈アレフ〉は解放されるというのだが……。
■タオピ(1987年 プチフラワー11月号掲載)
漫画家・徳永メイ原案。
ワシントンDC郊外の森に佇む合衆国超能力研究所。
ユキことサイコ・クリニックのカウンセラー、
アマミヤ・ユキオの帰還。
17歳のPK能力者(サイコキノ)で性被害者の少女
シンティは加害者を死に至らしめたが、
その際の状況を説明出来る者がいないため、
聞き取りを……。
※タオピのビジュアルはマッドメンを思い出させる(笑)。
■緑柱庭園(エメラルド・ガーデン)
佐藤史生責任編集のオムニバス短編集
『吉祥花人(ラクシュミー)』(白泉社)掲載作。
http://www.amazon.co.jp/dp/4592131126
モルディガール帝国の女帝シルドゥーンは
殉職した近衛隊長の子カイルロッドを引き取り、
自身の愛娘・皇女シルドラの兄として養育。
カイルロッドは武勇の誉れ高い美青年に成長し、
女帝に傅く数多の愛人の一人ともなった。
だが、女帝はカイルロッドにシルドラの夫になれと告げ……。
※美しく残酷なお伽話。
もっと細かい話は後日ブログにて。
https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初版
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☆4.0
面白かったです!とくにアレフとタオピ。原案は別の方なんですね。徳永メイさん、名前覚えました。ロジカルで身の詰まったお話が好きなので、徳永メイさん原案はとても好みです。ジェンダーも勉強したいな。佐藤史生さんの作品はのびやかですね。SFでもかなりファンタジー寄りで幻想的。お話は単純な構成ですが「緑柱庭園」のような多義的な終わり方もあって、80年代以上の作品をもっと見てみたいなと思いました。 -
かなり初期の絵柄だけど、世界観はやっぱり佐藤史生。
少女漫画に入れるのはしのびなく、SFへ。