うばかわ姫 (招き猫文庫 こ 2-1)

著者 :
  • 白泉社
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本棚登録 : 77
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592831167

作品紹介・あらすじ

見目麗しい姫君の野朱。ある老婆との出会いをきっかけに老女へと変貌を遂げてしまう。自身の外見の魅力をよすがに生きてきた女が見た、その後の世界とは……。女の業と幸せを描いた、新感覚時代小説。
2015年7月刊。

感想・レビュー・書評

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  • 本能寺の変から約20年後、廃墟となりはてた安土桃山城と周辺の森が舞台となる時代物のファンタジー。
    信長と森蘭丸がものすごく美化されていて(※)、ファンにはたまらなく面白いと思う。明智光秀の扱いも悪くない。秀吉ファンにとっては「う~ん」かも。
    以下、あらすじ。思い切りネタバレしてます。

    主役は、輿入れの最中に賊に襲われ、逃げる途中で姥皮(うばかわ)の呪いを受けた姫、野朱。姥皮の呪いとは、若く美しい娘が年老いた老婆の姿になってしまい、満月の夜のみ元の姿に戻れるというもの。呪いを受けた彼女は安土の森近くの山寺に身を寄せるが、そこで不思議な体験をする。妖怪に襲われ、今はなき信長と蘭丸の主従コンビに出会い、湖族の女射手に憑依され、彼女の息子(拾い子)、豺狼丸と出会って恋に落ち……。

    時がたち、姥皮の呪いも解けて豺狼丸の妻となり2人の子どもに恵まれた野朱。ある春の日に安土城跡で、魂鎮めの祭りを催していたところ、戦国時代に殺された人々の怨念が一気に吹き出す事態が発生。ほとんどの人がなすすべもなく立ち尽くす中、野朱ひとりが信長ゆかりの純白の扇子を持ち、舞を舞う。彼女の舞は浄めの花吹雪を巻き起こし、すべてのあやかしの者達があの世へと送り出される。それまで、幸も不幸も与えられるものをひたすら受け取るばかりだった野朱が、人のために自らの力を捧げた瞬間だった。


    こうして書いてみると、本質的には児童文学~YAに向いてる物語かもしれないと思う。でも、今は大人がYAや児童文学を読んで癒される時代だから、大人向けの皮、それこそ姥皮をかぶった児童文学もアリなのだろう。

    ※追記
    この件に関して、作者さまのブログにコメントがあります。リンクを貼りますので、ぜひご覧ください。作品を理解する上で大切なことです。
    http://d.hatena.ne.jp/rieko-k/20150707/P2

  • ううーん、微妙かなぁ…

  • 面白かった。
    何不自由なく育てられた野朱が全てを失い、その日を行く抜く術も知らずさまよう。
    哀れすぎて、読み進むのが辛かった。十二国記の陽子よりひどい。

    そんな中で生きる意味、幸せを感じさせる物語だっただった。

  • 読みやすいけれど、しっかりストーリーがあって良かった。

  • 若さ・美貌・血筋とすべてそろった少女が、一夜しにして老女になってしまう。姥皮がぬげ乙女の姿にもどるのは望月の夜だけ。すべてを失って生きてく気力さえなくしそうになった少女・野朱のお話。

    淡々とした幻想的な雰囲気のなか、静かに物語が進んでいく。とてもきれいなお話だと思った。空知らぬ雪ってすてきだな。

  • 新聞で見て気になっていた作品。YA作品として紹介されていたけど、歴史…というか幻想小説。
    言葉遣いや漢字が普段読むものと全然違うので難しかったです。

    物語を盛り上げる大きなうねりのようなものはなく、話にのめり込んで先が気になって読み進める作品ではないです。
    むしろ、霧に浮かぶ安土の城や、王や若者や、クライマックスの桜の雪…情景がとても美しくファンタスティックで、私も幻を見ているようなぼうっとした感覚になりました。
    後半は同じ場面でも視点が何度も切り替わり、多少の読みづらさを感じました。
    少女の成長物語が主軸となるお話を期待していたのでちょっと違う気がしましたが、とても美しい読後感には満足しています。

  • 美しい少女が呪いで老婆の姿になる。生まれの良さと美貌で何不自由なく生きてきた少女が、どうやって生きていくのか。時代小説。言い回しが子どもには難しいかも。大人向けかな。

  • 典型的な世間知らずなお姫様ヒロインが、最終的に母になるという冒険譚。そこそこ面白くて、読みやすい。ただ、テンポはいいのだが、盛り上がる部分があるわけでもなく、淡々とお話が進む所為でいまいち物語にのめり込む事が出来なかった。

  • 美とはなにか
    信長かかっこいい

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著者プロフィール

作家。元東北芸術工科大学客員教授。日本児童文芸家協会所属。『風のラブソング』で日本児童文学者協会新人賞、『あした、出会った少年』児童文芸家協会賞受賞。「忍剣花姫伝」シリーズ(ポプラ社)など多数。

「2017年 『竹取物語/虫めづる姫君』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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