ノエル (花丸文庫BLACK)

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592851370

作品紹介・あらすじ

美しい物を愛すアメリカ人のアレックスは、日本文化に傾倒するあまり、終戦後、通訳として来日。ある日少年に財布を盗まれそうになるが、その驚くべき美しさに惹かれ、彼を自分好みに育てることに…。 2015年11月刊。

感想・レビュー・書評

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  • 第二次世界大戦前後が舞台。
    日本文化が好きな外国人が綺麗な子供を拾って、
    ノエルと名付けて紫の上さながらに育てて、
    育て上げたら紫の上のようにパックリいただく話。

    源氏物語でもあのくだりは好きじゃないので、
    そのオマージュのこちらも好きになれなかった…
    子どもは健全に幸せに育ててほしいので。

    もっとノエル自身の人格を愛して、
    手を出してはいけないと自分に戒めるとか
    家族を見つけたから戻してやらなきゃとか
    そういう葛藤を越えたのちにとうとう結ばれたのなら
    もうちょっと見どころがあったかもだけど、
    最初からパックリいただくこと自体は決めてて
    時期だけ待ってたって話だからなぁ…

    最後のノエルのどんでん返しも
    あんまり好みではない展開だったかなー。

    あの状況だったらああするしかなかったのを
    アレックスへの恋慕にすり替えてしまったかも
    と思うとちょっと可哀想かな。

    あ、アレックスの友達のジョージがいい人で
    ちょっとなごみましたw

    門地先生の挿絵は美しくて素敵でした。

    文章が読みやすかったのでサラサラーと読めたので
    このタイプのお話がお好きな方は楽しめると思います。

  • うーん、ただの日本フェチの変態外国人にしか思えない。性癖からの愛、て人そのものを見ていないような物悲しさを感じる。
    立て続けに、丸木先生の近著を拝読したけど、相手を人形として扱う場面が多い。ちゃんと昇華できてればいいんだけど、今回は納得いかなかったなぁ。
    最後のジョージとノエル(受け)の、物語のオチ?ともいえるシーンだけど、そんなにジョージがショック受けるようなこと??がよくわからない…。したたかな子供だった、というのは解るけど。なおさらそうでなきゃ、今の受け攻めの関係の方が異常に思える。
    門地さんの描くノエルの目が怖くて、その辺りからも受けはなんか含みがあるなと察してしまった。

  • 文華さんの既刊でいえば『義父』系統のお話なのかな。
    養い子のノエルを「源氏物語」の紫の上に準えるなぞらえてる時点で、そうなることは織り込み済みでした。

    結局は2人だけの箱庭の中に閉じこもってしまう淫靡お話なんですが、養父と養子の関係ではあるけど、ま、血も繋がってないしー。本人同士が幸せであればそれでいんじゃない?で片がついちゃう。
    ノエルの変容っぷりには驚いたけど。
    愛する者を手に入れるために、ここまで強くなれるなんて。確かにこの2人の関係の主導権握ってるのは、ノエルの方かも。

    互いが互いに抱えてる秘密は、きっと相手に告げることはないんでしょう。
    しかし大事に引っ張ってた割りに記憶喪失の扱いが軽くて拍子抜けしたし、そういう感情を抱いていたのならなぜ拒絶したのか、なんとなくしっくりこないものを感じる。
    一度の拒絶は単なる手管だったのか。

    丸木作品に期待するものが大きすぎて、ハードル高すぎるのかな。私にはイマイチ。
    花丸文庫BLACKだし、期待してたのになー

  • ▼あらすじ
    終戦後、家族も記憶も失くし生きるのに必死だったところを、
    アメリカ人の翻訳家・アレックスに拾われたノエル。

    アレックスは、人間に興味がなく、美しいものだけを愛す変わり者ではあったが、ノエルは、自分に名前を与え、光ある温かい世界へと救い出してくれた彼こそが神だと心酔し生きてきた。

    本能的に彼の望むように振る舞う癖が身についていたノエルだったが、成長とともに、アレックスの理想である「美しく無垢なノエル」と本当の自分がかけ離れていくのを感じ苦しむようになり……。
    クラシカルダークロマン。

    ***

    源氏物語の紫の上計画的(子供を奪って自分好みに育てる)なお話で、丸木文華先生の表現が非常に美しく、大変雰囲気のある作品でした。
    まさにクラシカルダークロマンという言葉がぴったりな内容です。

    閉鎖的且つ病的な愛をテーマにしたお話がですが、そこまでドロドロした感じではなく、基本的には甘々テイストでお話が進むので、そういったテーマの作品が少し苦手な傾向にある私でも最後まで割と楽しく読む事が出来ました。
    …それでもノエルの母親の事、記憶の事、ジョージの事など…ラストは多少、モヤッとした気持ちが残らなくもないのですが、全体的に見れば満足度は高く、ギリ許容出来る範囲かな、と。

    それにしても、あとがきで作者さんが言っていた“ノエルは子供の頃から大人で、アレックスはずっと子供”というのが凄く納得出来て、個人的には良い意味でも悪い意味でも裏切られたと感じる二人でした。
    最初、アレックスは、かなりぶっ飛んだ思考と性癖の持ち主だと思っていたのですが、読み進める内に大人としては間違っているけど凄くひたむきで清らかな事に気付いて、逆に純粋だとばかり思っていたノエルの方が計算高くて、汚れていると感じる始末。
    最終的にはアレックスよりノエルの方がずっとタチが悪いようにも思えてしまったり…。

    最後の方は一気にお話の濃度が上がるんですが、ノエルなんて最初の慎ましさはどこへいった!?ってツッコミ入れたくなるくらい大胆で、既にアレックスよりも一枚上手な感じがして何かもう色々と怖いです(笑)
    掌の上で転がされているのは一体どちらの方なのか…。
    とにかくノエルの変貌っぷりに吃驚しました。別に悪くないけど、個人的にはもう少し健気で慎ましやかな方が好みだったかな…。

    と、まぁちょいちょい自分の中で引っ掛かる部分はあるのですが、それでも印象に残るレベルの面白さでしたし、門地かおり先生の挿絵も素敵だったので個人的には満足の部類です。

    …余談ですが、コミコミ特典の小冊子であやめが登場して吃驚しました。
    救済措置なのかな?あやめが元気そうで何よりです(笑)

  • 時代は終戦後の昭和。日本オタクのアレックスが、拾った孤児にノエルと名付けて自分の思い通りに育て上げた末に食べちゃう外国人×日本人の光源氏的な話。ある意味ハッピーエンドだけど、2人の世界すぎて、途中から置いてけぼりというか、正直ついていけなかった…(^^;)もうアレックスが最初から飛ばしてくれて「神になる」とか言い出した時はこいつはやべえ(^q^)と思ったもんだけど、ノエルは普通の子だと思ったのに…ご同類だったwむしろアレックスより異常なのはノエルの方で、アレックスは自分の理想通りに育てたつもりが、本当に支配してるのはノエルの方という…ぞわっとするラストでした。

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著者プロフィール

埼玉県出身。BL、乙女小説、ゲームシナリオを中心にジャンルを跨いで幅広く活動中。近刊は、『双囚 ふたりの姫は愛獄に堕とされる』 (KADOKAWAジュエル文庫) など。

「2021年 『フェロモン探偵 花嫁になる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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