あなたにそばにいて欲しい (花丸文庫)

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592874331

感想・レビュー・書評

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  • 切なくも純粋な恋に惹かれます。

    実業家の愛人、瑞希が偶然出会った大学生・啓人の
    純粋さに惹かれ、愛されるのではなく、愛することで
    孤独を受け入れ、真に相手を想う愛を知るお話。
    ほのぼのとした中に流れる、幸福への切望と
    絶望が読者を十分に美しい恋物語に引き込んでくれます。

  • ●あらすじ●</br></br>
    沢野瑞希は、青年実業家である清家貴之の愛人。「猫のように高慢でいろ」と命じられるままに、贅沢三昧の毎日を送っている。一流ホテルのスウィートルームで迎えるはずの誕生日を貴之にすっぽかされた瑞希は、そこでボーイをしていた柏原啓人と出会い、なりゆきで彼を家政婦として雇うことにした。年下のくせにいつも毅然としている啓人に、瑞希は反発を覚えながらも強く惹かれていって・・・・・・!?</br></br>

    ●感想●</br></br>
    あらすじから受けた印象と3人がそれぞれ違っていて、面白かったです。ただの三角関係の愛憎劇でなく、何となく晴れやかなラストでした。でも、貴之×瑞希で終わったとしても、それはそれでありカナ・・・・・・と思える不思議な感じでした。
    <blockquote>
    「さわんなよ・・・っ!」</br>
    瑞希は激しく拒絶を示したが、彼は一切気に止めない。</br>
    「急性アルコール中毒かも知れません。かかりつけのお医者さんはいますか?連絡先は?」</br>
    「医者は呼ぶなッ」</br>
    胃を抑えて怒鳴ったが、啓人は眉を顰めただけだった。</br>
    「そんな状態で何を言ってるんですか。命に関わりますよ」</br>
    バスルームにも外線に繋がる受話器が設置されている。さっさと119番を押そうとするその指を、瑞希は寸でのところで払いのけた。</br>
    勢い余って受話器が吹っ飛び、バランスを失くした瑞希の体はバスタブに激突する。</br>
    医者を呼ばれるのは嫌だ。万一、貴之に連絡が行って、こんなに節度なくアルコールを飲んで、どうしようもない奴だなどと思われたくない。
    彼がいない寂しさに、本当はこれほど打ちのめされているのだと知られたくなかった。
    </blockquote>
    瑞希も愛人なんだけど、そのわりにしっかりしたところもある子。彼も、嫌いになれないんだなぁ〜。贅沢に慣れきれず、嬉しいフリをしながらも常に罪悪感を心に持っていて。一人にされることに恐怖心があって、貴之に縋る姿は可愛いとさえ思うし。愛人なんだけどもの凄く貴之に大事にされていると思う。貴之はホントに忙しくてそれでも瑞希に会うために時間を作ってくれているように見えるのだけど・・・。貴之も嫌いになれないし、私の中で美化してるのかもしれないんだけど。瑞希に対しては嘘言ってるように見えないし、最後の最後に瑞希のために身を退いてくれて、その後も陰から支えてくれてたみたいだし。彼は彼なりに瑞希を引き止めるために何でもしてあげたかったんだと思います。立場上、もっと縛り付けることもできたのにね。彼が啓人に見せた嫉妬心が唯一彼の見せた熱い部分だったけど、もっと早く瑞希にそんな所さえもさらけ出せてたら違う展開もあったと思うのだけど。
    <blockquote>
    下着ごとジーンズを下ろされ、抵抗しようと思い切り振り上げた手が、ベットサイドのランプに当たった。勢い良く倒れ、凝った意匠の傘が外れて壁にぶつかる。その異常な物音が、キッチンにいた啓人にも聞こえたのかも知れない。</br>
    「瑞希さん?」</br>
    啓人だ。何が起こったのかと、扉のすぐ傍まで駆けつけて来ている。</br>
    ドアノブが回るのを見て、瑞希は叫ぶ。</br>
    「帰れ!」</br>
    もう一度怒鳴って、瑞希は枕に横顔を埋めた。</br>
    「・・・・・・帰って・・・・・・、お願いだから・・・・・・」</br>
    背後の貴之は、この部屋でいつも使うローションの瓶を手にしている。冷たいままのそれが、瑞希の股間に垂らされた。</br>
    「待って、貴之さん、まだ、無理・・・・・・!」</br>
    足首を掴まれ、大きく足を裂かれる。</br>
    無駄と分かっても体を捻らせて抵抗したが、呆気なく、貴之に貫かれた。</br>
    「いやあああっ!!」
    </blockquote>
    貴之は貴之なりに瑞希のことを本当に愛していたのがわかって、なんだか可哀想な気も。もっと酷い人なら別れて良かったね、って思えるのだけれども。でも、ずっと貴之は瑞希にとって父や兄のようなポジションをキープできれば、それはそれでお互い幸せなのかも知れないな〜。啓人ならそんな関係も許してくれる寛大さがありそうだけど、内心は嫌でも。</br>
    啓人はイイ子、イイヒト。それだけじゃ面白くないなぁ〜と思っていたら、ラストに豹変・・・って程でもないけどちょっと悪の匂いを見せてくれて満足。きっと瑞希を憎んだのだけれども憎みきれなかったのだろうし、最後の瑞希の態度を信じられずに悶々と過ごしていたのかと思うと可哀想。</br>
    瑞希を巡って純愛と愛人の間でのドロドロした話にならなかったのと、瑞希が貴之と別れた後すぐに啓人の元に行かなかったことが予想を裏切り、逆に印象的ないいお話になっている気がします。

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