黒い風 下 (扶桑社ミステリー ウ 8-4)

著者 : F.ポールウィルスン 大滝啓裕

• 扶桑社 (1992年11月1日発売)

感想・レビュー・書評

[クークーさんの感想 · 2021年3月10日]

第二次世界大戦の最中、神風とも言われる嵐を呼んで敵を撃退する秘法「黒い風」で逆転を目論む秘密教国日本。米国を舞台に描かれており、日本の秘密教国ぶりがグロテスクで描写がおぞましい。江戸川乱歩の描く世界のようで想像するだに怖い。と言いながら、逆にそれが神秘的で魅力的に感じられた。米国人の視点で書かれた小説なのに、こんなことがあってもおかしくないと妙に信じてしまいそうなリアルさ。とにかく面白いのだ。何が真実で何が虚構がわからなくなるのだ（ほとんど虚構なのだが）。米国人読者はここにある日本を信じるんじゃなかろうか。