- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594053574
感想・レビュー・書評
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ジム・トンプソンの主人公はどいつもこいつも狂っている。
狂っていながら、周囲には魅力的に見える男が多い。
で、そんな男のせいで、どんどん壊れていく…というのが物語の基本。
…と、いつものトンプソン流ノワールを覚悟して読み始めたが、
それ以上、とんでもないところに連れていかれた。
女にもてる小柄な殺し屋が、標的の奥さんと共謀して…という話のはずが、まともじゃない主人公以上にまともじゃないのがいきなり登場してきてあっという間に突き落とされる。
ああ、この「いやーな感じ」の心地よさって読書の醍醐味。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今まで読んだトンプスン作品では最高かと。
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フェラーラなどを舞台とした作品です。
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教員養成大学に通うためにピアデールの町にやってきたカール・ビゲロウ。彼の正体は指名手配されている凶悪犯リトル・ビガーだった。
<元締め>にジェイク・ウィンロイの殺害を依頼されたビゲロウは、教員志望の学生を装ってウィンロイの家に下宿することにする。
どこに〈元締め〉の手下が紛れているかわからない。失敗、あるいは不自然なそぶりでもすれば殺されるのは自分になる。
誰が敵で誰が味方なのかわからないまま、ビゲロウはウィンロイを殺すために作戦を練る。
自分の正体がバレないようにするため、そして犯行後も自分が疑われることのないように周りの人々を利用しながらも、もしかしたら相手は<元締め>の手下で利用されているのは自分かもしれない、というスリル満点な状況に結末が気になって一気に読んでしまった。
ラストはなんだか江戸川乱歩の小説に近いものがあるなぁと思ったら、解説にも乱歩の名前が出ていた。表紙裏の解説にも「おそるべき闇の世界」とあるけれど、主人公の妄想が混ざってきているせいでホラー小説が始まったようにも感じられた。
乱歩の「芋虫」「蟲」あたりの作品が好きな人にはラストシーンは一見の価値ありかも。 -
私の10代はトンプスンに捧げたと言って過言では無かった。
最後の一文が美し過ぎる。
私の10代はトンプスンに捧げたと言って過言では無かった。