12年前の殺人事件を勇敢で頭の切れる女の子が解決する話かと思いきや、犯人はわからないまま。重厚な本格派ミステリーと思っていたので、ラストまで読んで肩透かしを食ったが、それでも腹が立たないのは、とにかく魅力的な主人公のおかげだろう。大人を大人とも思わず、同年代にも横柄、愛想は皆無、みなりに気を使うこともない12歳。とことん嫌な女の子なんだけど、どうしてそこまでの態度をとるかが内面描写によって、痛いほど伝わってくるために目が離せない。彼女の苛立ち、寂しさ、恐怖、時折のぞく祖母と乳母への思慕(第7章冒頭のアイダ・ルーとの日々についての回想は涙を誘う)。子供であるというのは、これほど過酷だったんだのかと、自分の幼い頃を思い起こさずにはいられない。