- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594054588
感想・レビュー・書評
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ドン・キホーテのピアス12
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2007年7月、ロンドンでの『トランス』公演を終えて、日本に帰ってきました。
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年に一度の、鴻上さんの近況(^^)
改めて考えると、ラジオで鴻上さんのことを知ってから何年経つんだろう。
いや、何十年経つんだろうといういい方になるのかも。
うんうんと考えさせられることが多くて軽快な文章が好きです。
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真面目な話も、あほな話も、面白い。
「物語」について書いてあるくだりにぐっときた。 -
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(前略)日本のラテン、大阪は、日本の希望なのです。
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おいらのパッパは関西人で、ということはおいらは関西人のハーフなんだけど、大阪人のハーフではないんだよなぁ、残念ながら。
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(前略)日本のラテン、大阪は、日本の希望なのです。
大阪出身者で作られた軍隊、『第八連隊』は、戦争で負け続けたという話があります。『またも負けたか、八連隊』という言い方で知られました。
大阪人は、「突撃ー!」と命令されても、「なにを言うてまんねんや。相手は機関銃でっせ。死にまんがな。ムダな突撃したらあきまへんがな。死んでどないしますのや」と逃げたので、負け続けたどいう話です。
悲壮なバンザイ突撃の正反対の感性です。「生きて虜囚の辱めを受けず」の正反対です。なんとも素敵な話だと思いませんか。
じつはこの話は残念ながら、俗説です。西南戦争の時、大阪人で作られた第八連隊が、薩摩との戦いで最初は怯えて逃げた、というのが噂の始まりです。
その後は、どんどん強い軍隊になりました。それでも、この俗説は生き続け、戦後、かなりの月日がたっても、第二次世界大戦の時に第八連隊所属だった人が、「我々は決して負け続けていない。第八連隊が弱いというのは、間違いである」と新聞に投書していました。この記事も僕は読んだ記憶があります。
俗説でありながら、しかし、大阪人はその噂を否定せず、自分達の弱さを愛した、と僕は信じているのです。
それは、ムダな突撃、ムダな玉砕、ムダな全滅を拒否した結果です。国家の規範に対する個人の感性のギリギリの保持です。国家がどう命令しようと、本音の部分では、「機関銃に日本刀で突撃して勝つわけないやないか。バンザイしながら死んで、それでどないっちゅうねんや!」という生身の人間の声を守るために、「大阪出身の第八連隊は弱い、逃げる、負け続ける」という伝説を、大阪人が率先して守った、と思うのです。「これからも、わてらは、ムチャな突撃を命令されたら逃げまっせ!」と国家に宣言するために。
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…コレ読んでからは、大阪が憧れの土地ですよ。
砂漠でパスタを茹でるあの国のひとたちのことも同時に連想したりするわけですが、あっちにはバンザイ突撃思想はなさそうだなぁ…。
「最強の外交官」の話も面白かったです。