食える学歴 (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594070083

感想・レビュー・書評

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  • これからの学歴の価値。

    筆者自身、学歴(大学卒など)と学校歴(どの大学卒業)など、言葉の定義をしていて、どちらかというと学校歴目線でどのような展開が今後予測されるかを書いた本。

    例えば
    東大さえでて、有名大企業に勤めてゴールが最高という終身雇用の安定時代は終わっている。
    大学も格差が広がる、そして大学もブロック化(東大がずば抜けという感じではなく、東大と一流国立、一流私立がなどがブロック化する)ピラミッド構造になる。
    など

    まあ、事実そうなっているよね。と実感もって理解できる。
    ただ、現実も確かにそのとおりなので、特に意外性はない。何となく感じていたことに理屈付けをされているような気分。

    色々取材をして記載している部分(二次情報)が多数だけど、筆者が自分の子供を中学受験させた部分(一次情報)が面白かった。

    やはり自分が体験したからこその独自の考え方がされていると薄っぺらくないし、リアリティだとか、個性が感じられて面白い。
    例えば、子どもを満員電車に乗せたくないと思ったとか、親なりの心配が吐露してあったりして。

    取材系の話は以下が面白かったです。

    アメリカの一流大学(ハーバード、MIT、スタンフォード)がオンラインで授業を公開し、宿題を出し、提出させている。この仕組みで、世界中の優秀な人材を入学させられる。
    という情報が、かなり面白かった。
    知、人を集める事、インターネットにより、ここもグローバル競争になっているんですね。
    日本はなかなかそういう視点に立ててないんだなと。

  • 今から10年前に発刊されたので若干ズレは生じるが読んでてためになる。

    自分のためというよりも子供のためにどのような勉強をさせてあげるのが1番子供のためになるか親は観察して子供のことを分かってあげるのが大事だということ。

    勉強、スポーツ、社会勉強を満遍なく取り入れることが大事。

  • 根拠・裏付けに乏しい自論が多く、居酒屋での与太話を聞いているようだった。

  • 2014年刊。著者は兵庫県立大学教授。

     教育のグローバル化をやや甘く見ている点と、海外留学の牧歌的な目線は?が付くが、まぁ、総じて納得のそれではある。

     予想される未来として、
    ① 大学ピラミッドの台形化、
    ② 海外との比較・競争の強化、
    ③ 教育と海外競争を軽視してきた文系学部の衰退。

     本書で重視していると感じたのは、
    ⑴ 中学受験の価値、
    ⑵ 職業教育への敬意と予算配分の必要性(→高等専修学校の機能強化)、
    ⑶ サバイバル力の重要性
    というあたりか。確かに⑶の重視は特に納得のそれではある。
     だが、それを身に付ける方法がより重要だろう。ところが「体育会系」クラブに所属することしか方法論として提示できない現状が悲しい。

     これに限らず、本書では総じて大した提言がされているわけではないし、今を所与の前提にした場合、大した提言ができない現状にあるのだろう。

     この点、自分のことを棚に上げてではあるが、重視すべきキャリアとして青年海外協力隊の如き「ボランティア+海外見聞を広げる」方法論が要り、かつ国家的費用負担が要るのだろうなと感じた読後感。

  • 文字通り、食うための学歴について記述した一冊。
    中学受験の話などもあり、ある意味実用的だが、海外留学の話なども出てきて纏まりがない印象。

  • 子供を持つ親の立場で書かれているが、大人が自分自身にどう教育投資すべきか、という視点からも参考になった。サバイバル能力を磨く手段として、2つの方法がある。体育会に入部することと、武器を身に付けること。どういう武器かは普遍性はない。大人の自分にどう落としこんだらいいのか考えさせられた。あとやはり英語は重要だ。

  • 学歴を将来の収入と結びつけて考えると、何が一番美味しいかということについて書かれた本。
    結論は、医歯薬系を中心とした専門教育が最も有望。次いで大卒に拘らなければ職人など専門技術を持つ肉体労働。最低ラインは、スタート時点に立てる程度の学歴。すなわち、上位・中位グループの大学(偏差値の低い私立大学以外の大学)に入学すること。
    医歯薬系というのはありきたりな結論だが、細かく言うと有望なのは医だけと思う。歯科はコンビニより多いといわれるくらい過当競争だし、薬も6年制になり投資額が引き上げられ美味しいかどうかは微妙。今後も医が安泰であり続けるかどうかわからないが、一番ましという点で筆者に同意。偏差値が高いから医者になるという社会が良いかどうかは、筆者と同じように問題意識はあるが、個人レベルの作戦としては、子供が明らかに医に向かない場合は別にして、学力がついていくなら普通の方法だと思う。
    富裕層であれば、グローバル教育を受けさせるという選択肢があることにも触れているが、英語力や金銭面でハーバードやオックスフォードに入るのは結構ハードルが高い。富裕層でなければ、語学留学は別として、就職してから社内競争を勝ち抜いて会社の金で大学院に行くのが、一番可能性があるのではないか。
    大多数は医学部には入れないので、上中位の大学入学を目指して競争し、めでたく入学できたとしても就職後も引き続き厳しい競争に晒される。現実を教えるために子供に読ませたい。

  • ≪目次≫
    はじめに  大学教授の給料は私立の中高一貫校に子供
          を通わせるのに十分か?
    第1章   これからの学歴社会の見取り図
    第2章   超一流大学を目指すのはどこまで得なのか?
    第3章   子供の学歴に最も影響を与えるのは塾でなく      親
    第4章   サバイバル能力をどうやって身につけさせる     か?
    第5章  偏差値から専門能力重視に変わる教育業界
    第6章  グローバル化を目指した教育
    第7章  グローバルな専門教育というタフだけど夢のあ    る教育投資―フランスのバレエ学校の事例から
    終章   21世紀の学歴戦略

    ≪内容≫
    思ったものと内容が違った。もうちょっと教育寄りかと思ったが、保護者(親)目線が第一で、次は評論家的な視点だった。まあ、言いたいことはわかるし、妥当な話だと思う。ただもうちょっと日本の内需を好意的に見てもいいじゃないか?と思う。日本はもうダメ的な(特に文系の大学教育、ひいては書いてないけど高校教育も)書き方だけど、私はガラパゴス的な部分を好意的に見ていきたいけどね…

  • 「高学歴ワーキングプア」という本を読んで、同意できないという人は、ぜひこちらを読むべき。
    まあ、だいたい、ビジネス本やお受験を煽っている経済誌に書いてあるようなことなんだが。

    30過ぎて博士号とっても、それまでにまともな職歴や誰にもまねできない業績がなければ、一生、中高卒と同じ非正規で飼い殺しにされてしまう理由がわかる。

    学歴は職業や所得を獲得するための手段。18歳時点での学歴が及ぼす影響力のサイクルはすでに短くなっている。納得できるが、社会人になっても学ぶ機会を得るのは、それなりに恵まれた環境の人(留学させてくれたり、残業もなく大学に通える余裕のある職場、経済力で支えねばならない家族がいない)だけ、という事実を忘れてはならない。

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著者プロフィール

神戸学院大学現代社会学部教授。1964年、奈良県大和郡山市生まれ。同志社大学文学部英文科卒業、The School of Public Polich, The University of Michigan 修了(公共政策修士)、新潟大学大学院現代社会文化研究科(博士後期課程)修了(経済学博士)。大和郡山市役所勤務ののち、旧労働省入省(国家公務員Ⅰ種試験行政職)。厚生省生活衛生局指導課課長補佐(法令担当)、新潟県総合政策部情報政策課長、厚生省大臣官房国際課課長補佐(ILO条約担当)を経て、2004年公募により兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科助教授、その後教授。2014年より現職。2007年官房長官主催の「官民人材交流センターの制度設計に関する懇談会」委員、2008年からは国家公務員制度改革推進本部顧問会議ワーキンググループ委員を務める。主な著書に、『天下りの研究』『公務員バッシングの研究』(明石書店)、『政治主導はなぜ失敗するのか?』(光文社新書)、『間違いだらけの公務員制度改革』(日本経済新聞社)、『財務省支配の裏側』(朝日選書)など多数。

「2018年 『没落するキャリア官僚 エリート性の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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