暇なマンガ家が「マンガの描き方本」を読んで考えた「俺がベストセラーを出せない理由」

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  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594072896

感想・レビュー・書評

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  •  マンガ家の著者が、子ども時代から現在までに収集した250種類もの「マンガの描き方本」を紹介した本。中身はマンガではなく、文章がメインである(一部はマンガ)。
     本書に登場する「マンガの描き方本」のうち、最も古い本は大正9年のもの(!)。この分野に100年近い歴史があったとは驚きだ。

     タイトルこそおちゃらけているが(「暇なマンガ家」というのは著者のキャッチフレーズのようなもの)、内容はけっこう真面目な研究書になっている。
     「マンガの描き方本」の時代ごとの変遷などもきちんと研究しているし、本書自体がマンガ史の貴重な資料といえる。他に類を見ない本であるし、おそらく今後も類書は出てこないだろう。それこそ、手塚治虫文化賞の「特別賞」を受賞してもよいくらいの労作だと思う。

     だが、資料的価値の高さと面白さは必ずしも比例しない。マンガ評論家・研究者でもないかぎり、本書を読んで面白いとは思えないのではないか。少なくとも、私には面白くなかった。
     さりとて、マンガ家志望の若者が本書を読んで創作の参考になるかといえば、たぶんならない。「実用性」があるわけでもないのだ。

     文章の随所に笑いを狙った箇所があるのだが、それらがことごとく笑えない。ダダすべりである。
     ダダすべってる一例を挙げる。

    《「みんながGペンを使っているなら、俺はハンペンで描いてやろうじゃないか!」てな調子で、今頃は世界でただ一人のハンペン・マンガ家として名を成し、アングレーム国際漫画祭にも鳴り物入りで……いやハンペンだけに練り物入りで招聘されていたかもしれない。》

     ううむ……。
     上野顕太郎にはシリアスな作品もあるものの、基本的にはギャグ・マンガ家であるわけで、「ベストセラーを出せない理由」はギャグ・センスが(略)。
     まあ、この「しょうもなさ」こそが上野のギャグの持ち味なのかもしれないが。

  • こんな本初めて読みました。とっても面白かったです。漫画家であり「漫画の描き方入門本」の収集家でもある著者が、巷にあふれる「漫画の描き方本」についてひたすら考察した本です。なんと漫画の描き方本のみで250冊も所有しているそう。日本最古の漫画入門本が大正時代発行とは知らなかったです。やっぱり石ノ森章太郎先生と手塚御大の漫画入門本は最強なんですね。「もっとひとりの著者が魂を詰め込んだ漫画入門本を読みたい!」と昨今のニッチに偏った漫画入門本を嘆く著者。文章もユーモアがあり笑えるのでおススメです。

  • 前半は消化不良。せっかくのウエケンも字ばっかりだとちょっとなあ、と思っていたけど、後半から盛り返す。
    ウエケンのマンガ愛が伝わってくる良書。

    ただ、願わくは、この内容をマンガでやってほしかったなあ。

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著者プロフィール

心底しょうもないネタをあらゆる技法を駆使し圧倒的なクオリティで描く、非経済的なギャグ漫画家。1983年「週刊少年チャンピオン」からデビュー。以後各誌で『朝日のようにさわやかに』『帽子男は眠れない』『ひまあり』『五万節』などを発表。2011年『さよならもいわずに』が文化庁メディア芸術祭で推薦作品に選出。1998年から「月刊コミックビーム」で『夜は千の眼を持つ』を連載中。近著に『ギャグにもほどがある』『いちマルはち』『暇なマンガ家が「マンガの描き方本」を読んで考えた「俺がベストセラーを出せない理由」 』など。

「2016年 『夜の眼は千でございます 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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