- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594075149
作品紹介・あらすじ
この会社、「ウルトラC」で上場しやがった!(東証幹部)
愛らしいスタンプで国民的メッセージアプリに成長したLINEが、2016年7月に予定している東京証券取引所への上場によって、いよいよ日本経済の表舞台に立つ。しかも、その経営の最大のキーマンの存在を徹底して伏せたままに、だ。
日本、台湾、タイ、インドネシアで高いシェアを誇り、世界全体で2億1860万人の月間ユーザーを抱える“純和製アプリ”には、多くの人に知られている「表の物語」と、まだ世の中には知られていない「もう一つの物語」が、光と影のように存在していた。兼ねてからLINEという企業についてミステリアスなものを感じていたNewsPicks取材班が、その物語を紐解く。
そこには、創業間もない頃から日本市場に挑戦していた韓国最大のIT企業ネイバーが、かつて堀江貴文が率いたライブドアを吸収し、世界的IT産業のダイナミズムの中で闘う姿があった。
感想・レビュー・書評
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ネイバーは人口に限りある韓国市場だけでは限界を感じて日本市場に打って出た→チョヌンから来たエース、シンさんをイへジンが日本に送り込み→様々なサービスを立ち上げた→ネイバーまとめ以外は撤退→東日本大震災を機にLINE立ち上げ→成功。この流れがあったんですね。
LINEはネイバー側がサービス・技術を支えて、ライブドア側が田端さん・古賀さんを筆頭に広告を中心としたマネタイズを支えている構造は面白いです。
枡田さんと堀江さんのインタビューは必見。
特に堀江さん。米国はFBメッセンジャー、中国はウィーチャット、韓国はカカオトーク、欧州はワッツアップが支配。オフラインサービスでのマネタイズはドミナント(独占的なシェア)になっている国でしかできない。なので、もう一段階成長するには中東やアフリカなど勝敗が決してない国を取りにいくしかない。ドミナントを取りそうなアプリを買収してでも。
ガバナンスが韓国をまたぐことで違法サービスがでる。それが東証にとっての最大の懸念だったんですね。特に韓国側にサービス運営させる事で日本の法律にルーズなサービスが出てくるのであれば、東証にとってはリスク。 -
先日、東証一部に上場を果たした「LINE」。
アプリとしての「LINE」はもはや必需品ですが、会社としての「LINE」については意外と知らないことだらけ?
ニュースアプリ「NewsPicks」の編集部が徹底した取材によって書き上げた一冊。「ネイバー」という韓国企業が母体となっていることは知っていたけど、改めて「韓国」と「日本」の経営体制について赤裸々に書かれていて、びっくり。
そして、あんなに「上場は無理」と言われていたのに、どうしてここに来て上場できたのか?そんな、トリック?までが。改めて、業界図を確認するためにも一読を! -
レビュー省略
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NewsPicksをほぼ毎日見てるので(ただし無料会員)、著者が取材班でということで読んでみた。
日本発のメッセージアプリという認識でいたが、違うようだ。悔しいかな韓国のIT技術の方が優れているということか。
あと元ライブドアの社員が活躍しているとか、興味深く読めた。 -
■LINEは東日本大震災をきっかけに誕生したサービス。
■LINEの誕生前からネイバージャパンを率いてきた最大のキーマンがあたかも存在しないのかのような状態が続いてきたのか。
・LINEが日本発のオリジナルアプリという「物語」にとって,韓国という存在はできる限り消した方が都合がよいという経営判断があったから(嫌韓ムードとマーケティング戦略)
■LINEは,
①誰が本当の経営者か?
②どこが本当の本社か?
③LINEはどのように開発されてきたか?
・この疑問を辿っていくと,韓国最大のIT企業のネイバーという会社に行き着く
■LINEの経営は3人の経営メンバーが意思決定する「トロイカ体制」
・代表取締役社長CEO出澤剛氏(96,500株)
・取締役CGOシン・ジュンホ氏「LINEの父」(10,264,500株)
・取締役CSMO舛田淳氏(94,500株)
■「LINE KOREA」という名称が一時遡上に載ったが,韓国側からすればLINEの親会社はネイバーであり,日本よりも「下」に見られるネーミングを避けたかったことから,「LINEプラス」という社名が生まれた。
■世界地図をいちばん塗りつぶしているメッセージアプリの王者は「ワッツアップ」
・ワッツアップの歴史はそのまま世界のメッセージアプリの進化の歴史と言っても差し支えない
・LINEを含めたメッセージアプリの元祖
・スマホ登場以前の欧米の携帯電話にはEメールの機能がなくメッセージの送受信は有料のSMSが使われてきた
・元々は自分が何をしているか「ステータス(状態)」を友人同士で知らせ合うものだったがユーザーたちがメッセージの送受信に用いるようになり自然とメッセいーじアプリへと進化していった
■LINEより一足先にコミュニケーションの重要性に気づき,いち早く実行に移したのが「カカオ」(カカオトーク)
■2011年2月16日にネイバーはメッセージアプリ「ネイバートーク」のサービスを開始したが全く流行ることがなかった。
■東日本大震災発生後,日本にいる韓国人たちはみんながカカオトークなどでメッセージをやり取りして安否確認していた。ネイバーを含むNHNの社員もそうだったし,一部の日本人にも重宝されていた。カカオトークが災害時のコミュニケーション手段として不可欠な役割を果たすことが証明された。
■東日本大震災はLINE開発の契機となった一番の大きな出来事だった。
・企画側が3人で総勢20人程度で開発を進めていった
■韓国では同種のサービスとしてカカオトークに人気がある。それに対抗して本社がネイバートークというサービスを出したが,カカオトークを超えるまでにはならなかった。日本でネイバートークを提供しないかという話は本社からはあったが,そうではなく日本独自で日本向けに作ろうということでLINEは生まれた。
■ネイバートークが韓国本国で圧倒的に劣勢になる中で,シン・ジュンホ以下の日本チームは日本では独自サービスを打ち出すことを主張した。そして,ネイバーが,日本側の強い要望を聞き入れる形で打ち出したのが日本市場向けにカスタムしたシンプルなメッセージアプリである「LINE」だった。
・LINEの設計は先行するカカオトークと「瓜二つ」だった
■LINEオリジナルの公式キャラクターを考案し描いているのは韓国人イラストレーターのカン・ビョンモク(通称mogi)。LINEプラス所属。
■ハンゲームジャパンの戦略は韓国でのモデルを直接日本に持ち込むのではなく徹底的に日本のユーザーに合わせて「現地化」していくことにあった。メールの書き方から挨拶の方法まで一挙手一投足を日本のやり方にしていった。
■ハンゲームの日本進出の立役者となったチョン・ヤンヒョンが「LINEの父」であるシン・ジュンホに日本市場に浸透していくための3つの秘訣を伝授した。
①できる限り通訳を使わないこと
②常にデータに基づいて話をすること
③日本人の心,つまり琴線に触れているかを常に確認すること
■LINEのアイコンはなぜ緑色か。
・LINEの親会社である韓国ネイバーのコーポレートカラーであるからという説
・LINEの開発コードが「green talk」であったという説
・iPhoneに予めインストールされているメッセージアプリが緑色だったからという説
・LINEがサービスを開始した当初,一番ターゲットにしていたのは女性ユーザーであり,そこで支持される色を検討した結果,緑色になったという説
・先行していた競合サービスがそれぞれ紫色(バイバー),カカオトーク(黄色)であることで使える色の選択肢が限られていたという説
■韓国資本のネイバーが創業間もないころから日本進出という目標を掲げて10年以上の紆余曲折の末,LINEの成功を生み出した。
■日本人が誇るべき「メード・イン・ジャパン」への思い入れは時に海外で起こっているIT産業のダイナミックな変遷を見落とすリスクになってはいないか。LINEという企業やサービスに学ぶべき点は,日本という国だけを見つめていては,決して理解することはできないはず。 -
東2法経図・開架 KW/2016//K
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本当に日本の会社なのか、それとも韓国の会社なのか?謎のヴェールに包まれたLINE。
その実態を詳しく解き明かした本はこれが初めてであろう。
本書では主観を排し様々なインタビューやデータを元に客観的な立場で取材。
その結果判明したことは、LINEの発案や企画運営、意思決定に初期から多く韓国人が関わっていたこと、またLINEという会社そのものが韓国のネイバー社の子会社として韓国人スタッフによって立ち上げられたという事実だった。
そういう意味ではLINEJAPANは純然たる外資系企業であり、またLINEは純和製アプリとは言い難いのではないか、と本書では指摘している。
また本書では親会社である韓国のネイバー社や子会社のLINEプラスのLINEJAPANに対する見えざるコントロールや影響力を指摘、LINEJAPANの本当の経営権がどこにあるか疑問を投げかけている。
そして日本人社長よりも社内で絶大な影響力をもつ、取締役であり創業者メンバーの1人でもあるシンジュンホがLINEJAPAN真の支配者ではないかと本書では推測している。
その理由の一つとしてストックオプションの割り当てられた比率がシンジュンホに比べて社長の出澤氏が百分の一に満たないことを指摘している。
一体何故LINEはこれほどまでに韓国色を薄めて会社の運営を行っているのだろうか?
その理由として本書では日本での反韓感情を配慮してのことだったのではないか、記述している。
韓国人メンバーによって創業され韓国人と日本人の共同作業によってLINEは作られた、とLINEの社員が自信を持って説明できる時、LINEJAPANは本当の意味で日本社会に受け入れらたと言えるのだろう。