すべて忘れてしまうから

著者 :
  • 扶桑社
3.75
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本棚登録 : 2333
感想 : 139
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594085605

作品紹介・あらすじ

ベストセラーになった『ボクたちはみんな大人になれなかった』の
燃え殻による、待望の第2作!

 この連載に書いた友人が、この二年の間に二人亡くなった。彼らとの思い出を読み返したら、ほぼ忘れてしまった出来事だらけで、文章の途中で立ち止まってしまった。やっぱり書いておいてよかった。あの夜、編集のTさんに無理やり誘ってもらってよかった。だって良いことも悪いことも、そのうち僕たちはすべて忘れてしまうから。 本書より

 大槻ケンヂさんと楽屋で交わした言葉。上野の外れにある喫茶店で、初めてデートらしきことをした女性が別れ際に言った予言のような言葉。亡くなった祖父との最期の約束。東日本大震災の直後、知らない人たちと一緒にフィッシュマンズの『ナイトクルージング』を聴いた夜。いつか忘れてしまう、でもできれば心のどこかに留めておきたい記憶の断片を、叙情的に、ときにユーモラスに綴った一冊。装画は『おしゃれ手帖』『ギャラクシー銀座』『クリームソーダシティ』などで知られる漫画家、長尾謙一郎

感想・レビュー・書評

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  • 何冊読んでも心地良い燃え殻作品♪
    叙情的、哀愁が漂う感じ、たまにユーモアを交えた自虐ネタなどもあり、燃え殻さんが書く文章はやっぱり良い!

    本作は燃え殻さんがいつか忘れてしまう、でも心のどこかに留めておきたい記憶の断片を綴った一冊

    特に気に入った一篇は、
    『偉そうにするなよ。疲れるから』

    スーパーマーケットを営んでいた著者の祖父
    理不尽な文句を言ってくる客に対してもいつも深々と頭を下げて謝る
    入院したときも、看護師さんに「ありがとうございます」と深々と頭を下げる

    なぜここまで頭を下げる…?

    答えは…

    みなさん、「鼻を上にあげてみて」
    (鼻の穴が丸見えになるくらい顔をあげてみて)

    その体勢、疲れません?w

    頭を下げる方が楽なんですよ


    「いいか、偉そうにするなよ。疲れるからな」
    「分かったよ」

    これが、著者と祖父の交わした最後の会話だったそうです…

    • 1Q84O1さん
      ほん3さん
      そうなんですよ~
      おじいちゃんすごい発見!
      私も頭を下げようかな…

      「チッ!」とか「ムカつく!」とか「クソっ!」とか言ってるけ...
      ほん3さん
      そうなんですよ~
      おじいちゃんすごい発見!
      私も頭を下げようかな…

      「チッ!」とか「ムカつく!」とか「クソっ!」とか言ってるけど下げれるかな…w
      2023/06/24
    • ゆーき本さん
      鼻の穴丸見え!笑
      確かにふんぞり返るのは疲れちゃいますね。

      わたし今 腰がめちゃくちゃ痛くて
      丁寧なお辞儀ができない(> <。)
      頭ちょっ...
      鼻の穴丸見え!笑
      確かにふんぞり返るのは疲れちゃいますね。

      わたし今 腰がめちゃくちゃ痛くて
      丁寧なお辞儀ができない(> <。)
      頭ちょっと下げるだけの
      なんか生意気な「アザっす」になっちゃうかも
      2023/06/24
    • 1Q84O1さん
      ゆーき本さん
      「アザっす」でも大丈夫!
      頭を下げることが大事なのです!
      (素直な気持ちでw)
      けど、腰は無理せずお大事に!
      ゆーき本さん
      「アザっす」でも大丈夫!
      頭を下げることが大事なのです!
      (素直な気持ちでw)
      けど、腰は無理せずお大事に!
      2023/06/24
  • 初読みの作者さんです。 
    多分私は同じ年代位です。
    作者さんのお名前がなんとなく同じ世代な気がします。
    作者さんのエッセイ、日常なんかが備忘録のように書かれていています。
    読んでいると作者が話しているのを聞いているような感覚になります。
    そうだった、そうだったとか、そんな事があるんだーと思いながら読み進めて。
    感想はでもそう確かにすべてかは分からないけれども忘れてしまうかな…。

  • 2020年作品。図書館でタイトルに惹かれて読みました。エッセイです。世間的に見れば成功している人なのかなあと思うんですけど、偉そうに思うことは一切なくて、一つのエピソードが4ページくらいで何だか趣のある絵が入ってます。読んでいて、クスッと笑えたり悲しくなったり。肩の力が抜けます。矢部太郎さんの「眠れない夜に読むと良い本」的を得ています。続編のエッセイを読んでみようと思います。読後に自分の過去の出来事を思い返しましたが、確かに「すべて忘れてしまうから」のタイトルが腑に落ちます。良い本です。

  • 著者「燃え殻」氏の日々や思い出を綴ったエッセイ集。
    「はじめに」で書かれているのは著者と大槻ケンヂ氏とのやり取り。大槻氏の著作で感動したシーンを伝えた著者に「あー、それは全部なかったかもなぁ」「あそこはね、僕の希望なの。で、燃え殻くんの小説の中の希望はどこ?」と返した大槻氏。
    書かれている全てが本当のことだとは思わないけど、かと言って全てがウソだとも思わない。心の中の「遊び」の部分でふんわり受け止められると良い作品なのではないかと感じました。

    さて、本著。SPA!の連載を集めて(大幅に加筆修正して、とのこと)1冊にしたせいか、3ページほどの短い1編を読むだけでそれなりの余韻が生まれてきて、この短編集を一気読みするのはなんだか間違った振る舞いに思えてしまいます。
    文章自体の密度が高いと感じたことと、読者の記憶を呼び起こすような「とっかかり」が散りばめられていることが原因だと思うのですが、眠れない夜には最適書かもしれません。
    個人的には、カセットテープに「レベッカの『フレンズ』をA面B面全部入れして聴いていた」というくだりを読んで、自分の大学時代のスキー授業で、山荘の古びた送迎バスが駅からの道中延々とカセットで「ヒーロー」を流し続け、途中から軽い拷問のように感じた記憶を呼び起こされたんですが、こういう「特に意義はないけど、なんか引っ掛かった思い出」がプカッと出てくるので、扱いに悩んでしまうと言うか(笑

    タイトルの「すべて忘れてしまうから」もそうなのですが、本文中の漂うような空気感が心をほぐしてくるような感覚です。
    ・僕たちはどうせいつかたどり着いてしまう
    ・ある日、僕たちの日常はプツッと途切れた
    それでも抗う訳でもなく、諦めきる訳でもなく、答えはその間のどこかにあるのかもしれません。

  • 燃え殻さんのイケてるとはいえない、中の下(あくまで私の感覚だけど)日常が、短いエッセイを読み進めるうちに、あぁこれもアリで、ある意味幸せなのかも。と思えてサラッと読める。

    一話ごとの挿し絵が燃え殻さんの妄想オンリーじゃないかと思わせる所もふふっと笑ってしまう。

  • キッパリ言い切ってしまうと哀しくなるけど、私は今の自分にさっぱり自信がない。
    とにかくネガティブで何をするにも不安だし、キラキラ輝いてる同世代を見ては、どうせ私は…と卑屈になり、羨ましいくせに斜に構えた見方をして自己嫌悪したり。少しでも自分を好きになりたくて藻掻く日々だ。

    この本は、そんな弱くて暗い、自分の大嫌いな部分もひっくるめて肯定してくれた気がした。
    暗くて弱いのは仕方ない。前向いて、自分なりにぼちぼち頑張りましょうか。
    そんな、ネガティブなんだかポジティブなんだか分からない気持ちだけど、とても希望を貰えた。読んで良かった。

    ⚫この二十年、社会の隅で仕事をしながら僕は、日々「漠然とした不安」を抱えて生きてきた。「これから一体どうなるんだろう」と思って生きてきた
    「なーんだ、いろいろあるが、いつも通りの漠然とした不安じゃないか」

    明日から仕事初めでザワザワソワソワしていたけど、この部分にすごく勇気付けられた。
    「なーんだ、いつも通りの漠然とした不安じゃないか」精神で明日からまた頑張る!


    挿絵も色遣いが綺麗でつい見蕩れてしまった。
    薦めてくれた友に感謝。




    ⚫「逃げちゃダメだ!」は自己啓発本の常套句だ。それもあるひとつの真実だとは思う。だけど、「逃げた先に見付けられるものもあるかもしれない」と注釈でいいから書いておいて欲しい。

    ⚫他人に誇れる今かは、よく分からない。ただ自分自身には、何もなかったよりは良かったじゃないか、と言い切れる今がたしかにある。

    ⚫偉そうにするなよ。疲れるから。

    ⚫各々が無心になれる何かをずっと続けられることが、勝った負けたなんてチンケなことを考えなくてもいい状態を作ってくれるんじゃないのかな

  • 燃え殻さんの人生の思い出について書かれている本ですが、どこか懐かしく温かい気持ちになりました。毎日の積み重ねで忘れてしまったことや思い出として鮮明に思い出すことができるものについて自分の中で考えを巡らせました。いいことも悪いことも私自身のものであって、その思い出たちを大切にして生きていこうと思いました。そして自分の中の思い出を日記として残そうと決意しました。

  • ただの日常も、なんだか愛しいと思える。
    嫌なことも、よかったことも
    ひとつひとつ、自分の一部なのだ。
    よくなかったことは、ネタにしてしまえ。
    よかったことは、忘れる前に書いておくといい。
    人生、ま、なんとでもなる。

  • 本をパラパラと捲った時に、文字の少なさとイラストと写真の多さにウッと思ったが、「はじめに」で自分の好きな「大槻ケンヂ」が見えたので読み始めました。

    分からないでもない、共感できなくもないのだけど、読み終わったらもうすぐに忘れてしまう話がほとんど。
    「すべて忘れてしまうから」というだけあり、著者が忘れていることが多すぎる。オチの重要なところが忘れたと書かれているのは、そこ知りたいんですけど…という脱力感。全体的に締まりが悪く感じました。

    また、写真とイラストの量が多すぎるように感じたが、これもエモなのだろうか。分かりませんでした。


  • 約2年前、ふらっと立ち寄った大型の本屋さんで、偶然見つけてしまったときのことを今も覚えている。
    目を引く表紙にどこか切ないタイトル。
    エッセイだということも知らずにすぐに買ってしまった。
    (普段エッセイはあまり読まない)

    当初、タイトルの意味を、【どうせいつか忘れてしまうから、忘れないように書き記しておこう】だと思っていた。
    でも読んでみると、【どんな嫌なことも忘れてしまえるよ。大丈夫。】という意味でもあるんじゃないかと思えてきた。
    日常の不条理ややるせなさを、独特の視点で紡いでいく。
    読んでいてやるせないのに、大丈夫だと背中を押してもらっているような気持ちになる不思議な本。
    悲しみや切なさの中に、くすりと笑える箇所もある不思議な本。

    2年前は知らなかった佐伯ポインティを今はばっちり知っている自分にも、くすりとしてしまった笑

    あの時すぐに買ってしまったこと、今では誇りに思っている。

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著者プロフィール

1973年生まれ。小説家、エッセイスト。
2017年、小説家デビュー作『ボクたちはみんな大人になれなかった』がベストセラーとなり、2021年秋、Netflixで映画化、全世界に配信、劇場公開された。
小説の著書に『これはただの夏』、エッセイ集に『すべて忘れてしまうから』『夢に迷って、タクシーを呼んだ』『相談の森』『断片的回顧録』がある。最新作は『それでも日々はつづくから』(新潮社)。

「2022年 『ココロギミック 異人と同人3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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