国民のための経済と財政の基礎知識 (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594087937

作品紹介・あらすじ

あなた、本当にわかってる?
基本を理解していないと、誤解を招き、ダマされる!
これまで自分にはよくわからないことゆえ、信用して鵜呑みにするほかなかったお上の論理も、マスコミの盲点も、何より根拠が見いだせないバカな経済論の数々を、本書を読むことによって自分で見抜けるようになるだろう。
将来、とくに経済面について漠然とした不安を抱くのは、もうやめにすべきだ。本書を通じて、しっかりした根拠に基づき、シンプルにものをとらえ、考える力がつけば、いままでいかに政治家や官僚から都合よくダマされ、マスコミやバカな経済論者に翻弄されてきたのかがわかるはずだ。真実味のない「大暴落」「崩壊」「沈没」「破綻」などの言葉に一喜一憂しなくて済む。日本の「どこがよくて」「どこがダメなのか」もよく見えてくるだろう。
──── 髙橋洋一

【本書の内容】
失業率とインフレとデフレの関係/マネタリーベースと為替の関係/「世の中のお金の量」は日銀が調整している/金利は「ゼロ」以下にもできる/株価で経済を読もうとする間違い/日本は負債も多いが資産も多い/わかってる?国債の仕組み/MMT論者とリフレ派/デフレの原因が人口減少という間違い/貿易収支と経済成長率は無関係/日本の経済格差は微小/ベーシックインカムの何が問題か?/財政再建のための増税は必要ない/消費税は社会保障に適さない

感想・レビュー・書評

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  • とても読みやすかった。
    経済はシンプルに考えれば分かりやすい、経済理論の裏付けがない印象に頼った論に騙されるな、マスコミはアオリ文句ばかりなので鵜呑みにするな、など具体例をあげながら、最終的には自分の頭で考えようという事だった。一次資料が信頼できるとも。
    「川を上れ」「海を渡れ」という二つの事を大事にして来たという言葉が印象に残った。
    確かに大新聞に書いてあるとうっかり信じてしまいそうになるなぁ。自分で考える癖をつけなくては。

  • 平易な言葉で経済モデルに従った論説のため理解しやすい。経済モデル自体はIS/LM分析の範囲が主だが、過去の筆者の経験を基に当時の論調・風潮と経済モデルからの推測結果の違いを述べている点は面白おかしく読ませて頂いた。経済学などを学ぶうえでのキッカケになる。
    本筋から外れるが筆者が日本のマスコミを全く評価していない点はとても親近感を覚えた。

  • 言っていることも正しいし、この方が出演しているラジオもよく聞いていて好きなのだけど、

    どことなく、鼻持ちならない。
    伝える、と伝わる、は違うという好例。

  •  「さざ波」発言で一躍有名になった人くらいの認識でしたが、プロフィールには〝「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」などの政策を提案〟とあります。なかなか面白そうなので、読んでみることにしました。

     残念ながら私は経済のことは全く素人です。ですので、この人の主張が正しいのかどうかはわかりません。でも、とても面白く読むことができます。いや逆に、素人の方が気軽に読めるのかも知れません。

     ただ、物言いは穏やかではありませんね。例えば、p.199「しかし、頭の出来というものは、そう簡単には変わるものではない。こう聞いて頭にくる人もいるだろうが、天才は生まれながらに天才だろうし、凡人はいつまでたっても凡人なのだ。」とあります。本人もそのあと、「ひどい物言いだと思うだろう。」と言っています。こういう言い方が気になる人もいると思いますが、私はかえってこの方が主張が分かりやすいような気がしました。

     私が面白いと思った節としては、
    p.103 消費税は社会保障に適さない
     私たちはまんまとだまされたわけです。社会保障のために使うと言われれば、仕方ないと思う心理を利用されたわけです。

    p.147 マスコミは「一番おおもとの資料」にあたっていない
     読むの大変ですし、時間もありませんからね。

    p.153 「大暴落」「沈没」「崩壊」に漂う〝うさんくささ〟
     しょっちゅう見かける言葉ですが…。

    p.179 「ふんわりした理解」が誤解を招く
     これは私も反省です。政治や経済の専門用語は、ふんわりした理解で済ませていました。

     p.199 「川を上れ」「海を渡れ」このふたつでたいていのことはわかる
     川を上るというのは時間を遡ること、海を渡るというのは海外の例を参照することです。そして筆者は、「私は本書を通じて、まずあなたに考える基礎となる知識を知ってもらい、それらを用いることで、最終的には自分なりに考えることができるようになってほしいと思っている。」と言っています。

     私もこれからは、少しずつ自分なりに考えるようにしていこうと思います。
     なお、YouTubeの「髙橋洋一チャンネル」で、この本に書いてあるような著者の主張を手軽に知ることができます。そちらもお薦めです。

  • 自分に関係ある範囲で物を考える。このような短絡思考では経済を見誤る。経済の動向は一朝一夕で分かるものではない。正しい知識を持ち、マクロの視点で大局的に判断して、自分の頭で考えられるようになること。本書の目的は、ここにある。

  • 統合政府で考えれば、日本の財政は健全と主張する高橋先生。それは、日銀が買い取った国債を「銀行券」で金融機関に支払っているという前提だから。しかし、これは実際とは異なる。実際には、日銀は買い取った国債代金を、銀行券(紙幣)ではなく、金融機関の日銀当座預金口座に支払っている。紙幣に金利はつかないが、日銀当座預金には、金利がつく。

    公定歩合なき現在において、日銀は日銀当座預金の金利で政策金利をコントロールしている。高橋先生は、インフレ目標に到達するまで金融緩和してもよいと言う。しかし、インフレ目標ほぼ達成の2023年においても、緩和をやめられない。その理由は、日銀当座預金の金利を上げたら、その金利分だけ日銀の負債が増えていくからだ。

    そこについては、本書は言及していない。

    だからと言って、本書が読む価値がないかというと、そうでもない。リフレ派は、MMT派とは別物で、そこに数理的根拠がなく、MMT派がリフレ派にすり寄ってくる現状を迷惑そうに解説しているのは、面白い。

  • 著者の明快な説明とマスコミや他の経済学者達をこきおろすところはとても痛快!ただ、自分に経済の知識がなさすぎて理解が追いつかないところも多々あり。再度読み直してみたい。

  • 非常にわかりやすい内容だった。
    自分は経済に強くないけど、漠然と考えてたことと似通っていたので共感できたと思う。

    ただ、高圧的(?)な表現もあるので、その部分は気になりました。

    この本に書かれてますが、本の内容を鵜呑みにするのではなくて、本当に正しい内容なのか自分で考えて読むことが大切だと思います。

  • この本の著者である高橋氏の本は昨年(令和4年)も多く読ませていただきました。自国通貨建てで発行される日本国債は発行し過ぎても国家破産することはない、という彼の主張は徐々にわかってきたつもりですが、昨年末に日銀総裁が今後は長期金利が上がることを容認していくようなコメントをしているのを見ると今後の動向により一層注意を払う必要があると感じています。

    とはいえ、この本に書かれていることは今後流れてくるニュースを解釈する上でも大事な「経済と財政の基礎知識」なので、まずは知識から十分に勉強しておこうと思っています。恐らく今年も高橋氏は何冊かの本を出してくれると思いますので、それらを追いかけていきたいです。

    以下は気になったポイントです。


    ・真実は新しい理論の中にはない、大半は原理原則の中にある。トンデモ本を送り出す自称・専門家には、その原理原則をなす基礎理論の全てを覆す用意ができてから本を出して欲しいものだ(p12)

    ・世の中に出回っているお金と、この日銀当座預金を合計した額を「マネタリーベース」という、当座預金は銀行同士の取引や、企業や個人への払い戻しの際に使われる(p19)

    ・インフレもデフレも相対的な基準である、インフレ率は年率5%程度までは問題とされ、年率2%のマイルドなインフレで、社会コストは最小に抑えられるという計算がある(p28)インフレ率2%を達成していないという批判は的外れで、2%に達していないから、まだ国債が買えるということ(p31)

    ・過去40年間のデータを見るとドルに対する円のマネタリーベース比が多い年ほど円安、小さい年は円高になっている(p37)

    ・金融緊縮のタイミングはインフレ率が3%かそれ以上の見通しの頃が適当だろう、まずは非伝統的手法で量的緩和をやめる、すると実質金利が上がり始める、これでもインフレが続けば、今度は伝統的手法により政策金利を上げる、売りオペレーションによって民間の金融機関に債券や手形を売却してお金を吸い上げる。(p55)


    ・投資に見合うバックが見込める高い公共投資でも、あくまでも金融政策ありきで行われるべきというのには理由がある、公共投資は金利の上昇を招き、それが円高・輸出減・輸入増につながる恐れがあるから(p57)

    ・日本のバランスシートを一言で言えば、借金は世界一、しかも資産も世界一である。差し引き負債は459兆円で先進国としてはそれほど大きくない。しかも国には課税権、徴税権という税収という別計算がある。(p68)

    ・政府が借金をすると国債所有者に利払いをしなければならない、その国債を日本銀行が持っていたら政府は日銀に利払いするが日銀は政府の小会社である。利払いは日銀納付金であり、これは必ず国庫に納付することが義務付けられているので、日銀が持っている国債については事実上全く利払いをする必要がない。元金は償還期限が来たら現金の代わりに国債を政府に渡せば良い、これは100%借り換えと言い換えても良い(p70)

    ・CDSとは、クレジット・デフォルト・スワップであり各国の国債の信頼度を示すもので、財政の健全性を国際比較するときの参考になる。日本を含めて先進国の国債のC D Sは、0.1-0.2%この程度であれば、5年以内に破綻する確率は、0.5-1%程度に過ぎない。ギリシアは破綻騒ぎの時に100%近い水準であった(p74)

    ・社会における所得の不平等さを測定する指標である「ジニ係数」を見ても小泉構造改革以降も格差は広がっていない、一般的に格差というのは高齢化が進めば広がる(p90)

    ・日本は長年のデフレに加えて歴史的な円高により税収が減っていた、これに対して増税では自ら無能であると申告している様なもの、円高を解消しデフレから脱却し、GDPを上げる。こうした金融政策によって税の増収となれば増税の必要はなくなる(p115)

    ・2017年歳出において、一般会計43、特別会計196兆円(歳出)であり、特別会計(目的に応じた支出)である(p128)

    ・中国の輸入統計は嘘をつきにくい、世界各国の中国向け輸出額を足し算すると大体同じになるから。そのデータを見ると、中国は輸入がずっとマイナスである。そこから経済成長率は少ない、少なくとも6%もいかないというのがわかった(p168)

    ・国民一人当たりGDPの1万ドルの壁を超えるのは難しい、越えるにあたって社会的な構造改革をしないとうまくいかないから。これを達成できたのは、韓国とサウジアラビア。ロシア、アルゼンチン、トルコ、ブラジルはその天井に跳ね返された。(p169)

    ・言葉とは現実を映し出す鏡の様なものである、定義をけして疎かにしないこと、軽々しく用いないことを、自分の頭で考える大前提として欲しい(p185)さらに海外の例を参照にすることも大事(p201)参照する3つのサイトとして、世界銀行・国際通貨基金・経済開発協力機構がある(p203)

    2022年11月25日読了
    2023年1月1日作成

  • 高橋 洋一先生著

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著者プロフィール

嘉悦大学教授、株式会社政策工房代表取締役会長。1955年東京都生まれ。都立小石川高校(現・都立小石川中等教育学校)を経て、東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年に退官。その後、2020年10月から2021年5月まで内閣官房参与を務める。著書に、第17回山本七平賞を受賞した『さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)のほか、近著に『「経済オンチ」が日本を破壊する 間違いだけの「ド文系」経済政策』(清談社Publico)、『岸田政権の新しい資本主義で無理心中させられる日本経済』(宝島社)、『理系思考入門 経済ニュース、増税、政治家の無策…基礎がわかればもう騙されない!』(PHP研究所)、『データから真実と未来を見抜け! プーチンショック後の世界と日本』(徳間書店)、『岸田政権のウソを一発で見抜く! 日本の大正解』(ビジネス社)、『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない』(扶桑社新書)などがある。

「2022年 『「外交オンチ」が日本経済を破壊する!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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