狼たちの宴 (海外文庫)

  • 扶桑社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594091057

作品紹介・あらすじ

歴史×スパイ×名探偵
傑作『狼たちの城』待望の続編登場。

ゲシュタポ捜査官になりすましたユダヤ人の
元古書店主が、女性絞殺魔の謎にふたたび挑む!
イザーク・ルビンシュタインの新たなる闘い!


ニュルンベルク、1942年。ユダヤ人の元古
書店主イザーク・ルビンシュタインの悪夢
は続いていた。逃走中にゲシュタポ犯罪捜
査官アドルフ・ヴァイスマンと間違われた
まま、女優密室殺人の謎を見事に解明して
みせた彼は、街からの脱出をぎりぎりまで
延ばして機密文書の奪取を試みるが、そこ
で新たに発生した女性絞殺事件の謎に捜査
官として再び立ち向かうことに。正体が露
見すれば即「死」という究極の状況下で、
「狼たちのなかの羊」は生き残ることがで
きるのか? 『狼たちの城』の続編登場!

感想・レビュー・書評

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  • ※前作の紹介
    ユダヤ人がゲシュタポ捜査官として大活躍??『狼たちの城』 - 扶桑社ミステリー通信
    http://www.fusosha.co.jp/mysteryblog/2021/06/post-376.html

    狼たちの宴|書籍詳細|扶桑社
    https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594091057

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      アレックス・ベールのシリーズ第二弾『狼たちの宴』刊行! - 扶桑社ミステリー通信
      http://www.fusosha.co.jp/myst...
      アレックス・ベールのシリーズ第二弾『狼たちの宴』刊行! - 扶桑社ミステリー通信
      http://www.fusosha.co.jp/mysteryblog/2022/07/post-390.html
      2022/07/22
  • 「狼たちの城」の続編。
    ナチスの犯罪捜査官になりすましたユダヤ人の元古書店主イザークが、またもや殺人事件の捜査にあたる。
    今回の相棒は地元のベテラン刑事で、前回のように若手ではないので、有名な探偵小説のフレーズを口にしてそれっぽく振る舞うのも危険だ。
    彼は経験豊富なだけあって、何かを嗅ぎつけやしないか。イザークの正体がバレないか、殺人事件よりもそっちの方がヒヤヒヤする。
    でも結局大丈夫なんでしょ、とも限らない、ような。

    また、引き続きウルスラ嬢も健在。
    彼女は地位のある父親の娘で美人だし、でももう若くはないという自覚もありながら我儘で、嫌な女だなと思っていた。
    しかし言われてみれば、ユダヤ人を躍起になって貶めたりはしていない。自分なりの意志を貫く人なのだと気付いて、見る目が変わりそうだ。

    今作は前作以上にフィクションを楽しんだ。
    シリーズ化していると知って、ここでは終わらないのだと思うと安心感もある。
    とはいえ、どうやって切り抜けるんだというハラハラドキドキ感がよかったので、また次回作も読みたい。

  • アレックス・ベール『狼たちの宴』扶桑社ミステリー。

    第二次世界大戦末期のドイツを舞台にした冒険探偵ミステリー小説『狼たちの城』の続編。前作から続くユダヤ人の元古書店主イザーク・ルビンシュタインの悪夢。

    基本設定や大筋は前作と同じなのだが、決して二番煎じとはならず、新たなスリルとミステリーが描かれる。やはり非常に面白い。

    前作でゲシュタポの特別犯罪捜査官アドルフ・ヴァイスマンに間違えられ、ナチスが接収した城内で起きたドイツの大人気美人女優ロッテ・ラナー殺人事件を解決したイザークは再びアドルフ・ヴァイスマンとして女性絞殺事件の捜査に挑む。

    幕間に描かれるマリアンネという女性に失恋してから周りの女性が全てマリアンネに見えてしまうという幻覚に悩まされる怪しい男性。真犯人に間違いないと思うが……

    やがて女性絞殺事件は過去の事件も含め、連続殺人事件の様相を呈していく。そして、次第にその正体が暴かれようとするイザーク。イザークの運命や如何に。

    古くはボブ・ラングレーの『北壁の死闘』、ジャック・ヒキンズの『鷲は舞い降りた』、近年ではハリー・ファージングの『汝、鉤十字を背負いて頂を奪え』など、意外にナチス物はハズレが無いように思う。特に全く話題にもならなかった『汝、鉤十字を背負いて頂を奪え』は最初のエベレスト登頂を果たしたのはナチスの精鋭だったという山岳冒険小説で、隠れたお薦め本の1つである。

    定価1,430円
    ★★★★★

  • 設定勝ちしてる感はある。

  • 一気読みの第一巻『狼たちの城』から一転、第二巻の本作は、こまめな休憩と深呼吸が必要な、緊張に次ぐ緊張の物語だった。

    1942年4月、イザーク・ルビンシュタインは、まだ、アドルフ・ヴァイスマンとして、ニュルンベルクにいた。
    ユダヤ人の古書店店主であった彼が、ゲシュタポ犯罪捜査官として、活動することになった経緯は、『狼たちの城』にある。

    正体を隠しながら、犯罪捜査もスパイ活動もするというイザークに、彼には悪いが、私は時に笑い声をあげながら、ワクワクハラハラ他にない楽しい時間を過ごした。

    それがどうだ。

    この『狼たちの宴』でのイザークは、ナチス高官の晩餐会に呼ばれ、ハイル・ヒトラーな会話をさせられ、現在の恋人に勘ぐられ、本命の女性とはろくに会えもせず、恋敵に恨まれ、正体を怪しまれ、殺人事件の捜査に追い込まれる。彼をよく思わないベテラン捜査官に密着されながらだ。

    イザーク大丈夫?
    そろそろ、逃げたほうが・・・・・・

    たびたび思うのだが、そう簡単に逃げられやしないのだ。

    でも、大丈夫!
    イザークなら、色々すべてをうまく運んで、殺人事件も見事に解決して、すっかり逃げされるに違いない!
    そう、きっと、たぶん・・・・・・

    本編もさりながら、作者アレックス・ベールのあとがきが、読み応えのあるものだった。
    作者がいかにナチ政権下のドイツを、調べに調べ尽くして作品を書いたかが伺える。
    特に、マスメディアの有り様について、詳しく述べられている。

    しかしこのイザーク・ルビンシュタインという男、よくもまあこんなに嘘やごまかしが次々と出てくるものだ。
    きっとよほどの蓄積が脳内にあるに違いない。
    これだから、読書家は信用ならない。

  •  『狼たちの城』の続編。
     前作でナチスの犯罪捜査官に間違われ、そのままなりすまして女優殺人事件を解決してしまったユダヤ人の元古書店主イザークは、ナチスの機密文書を盗むため、危険を冒してそのままニュルンベルクにとどまることを決意する。
     政府の大物に接近するため、取り巻きの富裕層をさぐっていたイザークは、突如発生した女性絞殺事件にまきこまれ、恋敵と勘違いした新聞記者や地元警察官の鋭い視線に監視されながら、捜査を引き受けざるを得なくなる。

     前作同様、ユダヤ人であることが露見される恐怖に常におののきながら、殺人事件の解明と機密文書の奪取を同時に行おうとするイザークの孤独な闘いが、六日間という短いタイムリミットの中で展開され、スリリングだった。
     過去に、ある女性と恋愛していた人物がカギとなっていることは冒頭から読者に示されるのだが、終盤で明かされる真相はそれほど驚くものではなく、連続殺人の動機としてはかなり弱いと感じた。
     ただ、ヒトラーの誕生日を祝うニュルンベルク市民の家庭や、ユダヤ人を糾弾する煽情的な新聞など、当時の時代背景や実在の人物とともに、数々の難局を間一髪で切り抜けていくイザークの複雑な心情を織りまぜながら進むストーリーは大変興味深かった。まだまだイザークの試練が続く終わり方だったので、続編が楽しみ。

  • 1942年ドイツ、ユダヤ人なのにゲシュタポの凄腕捜査官アドルフ・ヴァイスマンに成りすまし、前作で殺人事件を解決したイザーク。女性連続殺人事件の担当にさせられた。ウルスラがイザークを愛することに嫉妬する新聞記者バッハマイヤーが、彼を貶めようとする・・・

    ドキドキしながら読んだ。イザークはナチス・ドイツの機密情報をレジスタンスに流すため危ない橋を渡る。まるで自分がユダヤ人として当時のドイツにいるかのように。

    今でいうなら、トランプ支持者だらけになった共和党内で反トランプを掲げるようなものか。

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著者プロフィール

1977年、オーストリアのブレゲンツ生まれ。ルステナウで育ち、広告業界で2年過ごしたあとウィーン大学で考古学を学ぶ。2008年、本名のダニエラ・ラルヒャー名義で執筆活動を開始。2017年、アレックス・ベール名義で、第一次世界大戦後のウィーンを舞台とする刑事アウグスト・エメリッヒ・シリーズの第一作『Der zweite Reiter』を執筆、レオ・ペルツ賞を受賞。2019年、オーストリア・ミステリー大賞を受賞。同年に『狼たちの城』、2020年には続編となる本書が発表された。ウィーン在住。

〈扶桑社ミステリーのアレックス・ベール作品〉
『狼たちの城』

「2022年 『狼たちの宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アレックス・ベールの作品

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