- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784596771322
感想・レビュー・書評
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実は、ロンドン警視庁の第4シリーズかと早合点してしまった(^^;
時代背景は上記シリーズと同じ古さ、それなりにアメリカの歴史を楽しめたが、壮大な一代記ものはちょっと苦手。
ということで、後半は政治も絡むということで、上巻でひとまず終了。
時間を経て、下巻に挑戦します。 -
ジェフリー・アーチャーは面白い。
この『ロスノフスキ家の娘』も当然面白い。
だってあの名作『ケインとアベル』縁の話だから!
「なにそれ。『ケインとアベル』読んでないと、面白くないんじゃないの?」
大丈夫。
だって私も『ケインとアベル』を読んでいないから。
けれど面白かったから!
フロレンティナ・ロスノフスキ――これは彼女の物語である。
前作『ケインとアベル』の主人公アベル・ロスノフスキの一人娘だ。
「するとやっぱり『ケインとアベル』を読んでからのほうが――」
だから大丈夫。
前作のあらましについては、こちらの本でも書かれる。
読んでいるうちに「ふうん、そんなことがあったのか」と、わかってくる。
これはフロレンティナ・ロスノフスキの一代記だ。
彼女が生まれて、育って、学んで、恋をして、そして野心と才能のままに、20世紀アメリカを生きていく物語なのだ。
1934年から1995年の未来に渡っての物語である。
未来?
そう。実は本作が出版されたのはまず1982年である。
それが2017年に改訂版が出て、これはその翻訳だ。
改訂前のものも日本で出ていたのだが、出版社も翻訳者も違っている。
そしてそちらは今や絶版だ。
著者ジェフリー・アーチャーはイギリス人だ。
それがアメリカについて書くのだから大変だったろう。
しかもテーマに、あのややこしい大統領選がある。
『「・・・・・・、現行の予備選挙制度をよしとしておられますか?」
「いいえ、よしとしていません。・・・・・・」』(下 260頁)
リサーチに2年かかったらしいが、無理もない。
女性で、ポーランド系で、カトリックの大統領は、アメリカに誕生するのだろうかというのが大きなテーマだが、果たして、今、著者に訊いてみたいのは、執筆時、21世紀になって20年以上たった今でも、まだアメリカに女性大統領がいないということを、予想していたかということだ。
今となっては、さて、テーマになりうるのは、白人でない(ラテン系、アジア系)、キリスト教徒でない(イスラム教徒、無神論者)、LGBTクラスだろうか?
80年代に書かれた、アメリカ現代史であり、近未来も舞台にした物語である。
フロレンティナがどう成長していくのかは、明かしてしまうと面白くないので明かさないが、前作を読んだ方にはなお感慨深いのではないか。
『ケインとアベル』を読んだ方も読んでいない方も、ぜひ。