怒濤のごとく〈上〉

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  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620105956

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  • ジャンク船同士の海戦が面白いです。

    怒濤のごとく(上)
    2013年06月発行。大活字版では、第1巻と第2巻。

    明の海賊・鄭芝龍(しりゅう)の立身出世の物語です。
    九州肥前国平戸島の千里ヶ浜で鄭森(ていしん、のちの「鄭成功」)が生まれた所からこの物語は始まります。

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    鄭森は、明国福建省泉州府で生まれた父・鄭芝龍と日本人の母・田川マツの間に生まれました。明国名が鄭森。日本名が田川福松です。
    明は、1368年から1644年まで存在していた、中国大陸の歴代王朝の一つです。
    明国で生まれた父・鄭芝龍は、鄭森が生まれた当時(1624年)は、明国沿岸を荒らしまわる海賊・日本甲螺(にほんかしら)の顔思斉(がんしせい)の小頭目として数艘のジャンク(中国における木造帆船)を所有しているにすぎなかったのですが。先を見る目があり、顔思斉を殺して日本甲螺となります。

    海賊で稼いだ金で明国の役人を買収して官位を買い、昔の仲間の小頭目を襲撃して海賊退治の成果を上げて明国海軍の軍閥になって行きます。海賊仲間の裏切り者ですが。頭がいいです。明国沿岸の商業船が海賊に襲われるのを守る代わりに大金を毎年鄭芝龍に払う仕組みを作っていきます。そうしないと鄭芝龍(すきあれば海賊になる)と本業の海賊に襲われます。

    明では役人は、全てが官位で決まります。官位は原則は、試験ですが。鄭芝龍は、試験は受けずに多額の賄賂を贈り。そして昔の仲間を殺して海賊退治の実績を誇り。官位を買ってとうとう福建省都督(ととく)まで上り詰めました。都督は、中国の官職または称号。三国時代に現れ、福建省の軍政を統轄した。

    父と一族の期待を背負って13才になった鄭家の嫡男で優秀な鄭森は、試験で合格して官位を取得していきます。将来は、鄭家軍団の総帥として期待されています。

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    【読後】
    物語を音読で読んで行くと、海戦が多く、展開が早く、歯切れがよく、面白いですが。中国人の名前と地名が、多く出て来るのには困っています。上巻(大活字本では、第1~2巻)では、父・鄭芝龍が主役ですが。下巻(大活字本では、第3~4巻)は、鄭森が表舞台に出て来るのではと、思っています。これからが楽しみです。

    なお、感想を書き終わってみると、中国の事なので、説明が多くなり読みづらくなってしまいました。
    この本を手に取ったのは、タイトル「怒涛のごとく」に惹かれたからです。
    白石一郎さんの本を読むのは初めてです。

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    鄭森(ていしん)。「鄭成功(ていせいこう、1624年8月27日ー1662年6月23日)」は、中国明代の軍人、政治家。肥前国松浦郡の平戸で誕生。元の諱は森。字は明儼。日本名は福松。清に滅ぼされようとしている明を擁護し抵抗運動を続け、台湾に渡り鄭氏政権の祖となった。様々な功績から隆武帝は明の国姓である「朱」と称することを許したことから国姓爺とも呼ばれていた。 台湾・中国では民族的英雄として描かれており、特に台湾ではオランダ軍を討ち払ったことから、孫文、蔣介石とならぶ「三人の国神」の一人として尊敬されている。
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    【音読】
    7月8日から7月17日まで音読で読みました。今回は、大活字本です。
    この本は、大活字本では、第1巻~第4巻まであります。 単行本と文庫本では、上下巻の2冊です。 大活字本の第1巻と第2巻を読んだ時点で、単行本の上巻の感想を書きます。 底本が、1998年12月発行の毎日新聞社刊行「怒涛のごとく」上下巻です。
    2021.07.17読了

  • 怒濤のごとく〈上下〉
    時代は家光の鎖国時 東シナ海周辺の大海賊の息子の鄭成功の物語。鄭芝龍は大海賊からのしあがり明の官僚までなるが政権が崩れ清にも攻められ、この鄭成功も追われていく。そのなかオランダ領土である台湾を解放させるが38歳という若さで病によって倒れてしまう。
    話の展開が早くその空白の状況がわからなかいのが残念

著者プロフィール

白石一郎(しらいし いちろう)
1931年11月9日 - 2004年9月20日
釜山の生まれの作家。終戦までは釜山、戦後は佐世保市で育った。長崎県立佐世保北高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。双子の息子がおり、白石一文・白石文郎両名ともに作家となった。
1987年『海狼伝』で第97回直木賞、1992年『戦鬼たちの海—織田水軍の将・九鬼嘉隆』で第5回柴田錬三郎賞、1999年『怒濤のごとく』で第33回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。

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