- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620107233
感想・レビュー・書評
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読んだきっかけ:興味があって買いました。
かかった時間:11/1-11/21(21日くらい)
内容: 「凱旋後、希典は学校などに招かれて講演することがよくあったが、演壇に立った彼は、『私が乃木であります。みなさんのお父さん、お兄さんを殺した乃木であります』と、まず深々と頭を下げるのだった。…」
乃木希典将軍が、一般にあまりに不遇に認知されすぎていると感じる古川氏が中立と考える視点で描いた、希典像。
文章の方々に、乃木氏への間違った解釈を正す愚痴のような記述がみられる。ここまで多くの司馬氏の作品を読んできた自分にはとても面白く読めた。
ただし、これを単体での乃木氏伝として読むのは間違いになるかも。できるだけ、「坂の上の雲」「殉死」の読後に読みたい一冊。
戦争(特に戦術や戦略)を後の歴史で評価することがいかに難しいことか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館に返さねばならず最後の方はあわてて読んだのですが・・・
古川氏の言いたいことをちょっとですが、理解しました。
しかし、それだけ司馬氏の影響力が強いということもわかりますね -
途中なんどか毎日新聞で連載も読んでいたのですが、ふと気づくと本になっていたので早速手に取りました。
古川氏がこの本の中でとても意識されていた、司馬遼太郎の「殉死」を以前読みました。
たしかに、乃木大将は「愚将」として書かれていたように思え、そのように私の中でも印象付けられました。
その汚名をはらしたい、という古川氏の想いがあり、この作品を書かれたそうです。
この作品で汚名をはらすことができたのか、それははっきり分かりません。ただ読んでいて、乃木大将が
軍人というよりは、非常に人間味のある一人の血の通った人間であることをとても感じられました。
そして、常に激変する時代を、そして派閥争いに巻き込まれた被害者なのかと思いました。
個人の選択の自由もなく、常に流れに流されてしまい、そこで自分を発揮できなかったことの不幸
であったのか。一緒に書かれている同郷の児玉源太郎と比較すると、そう思えてなりません。
殉死を読んだ時も不思議だったのですが、乃木さん(大将と呼ぶより、乃木さんという方がしっくりきます、、)
と明治帝を結びつけたものは、一体なんだったのでしょう? -
乃木と児玉中心の小説。私は新聞連載で読んでいました。
司馬先生の「殉死」のイメージに引きずられている乃木ですが、この本は彼の悲劇を暖かい眼差しで描いていますね。