金ヶ崎の四人 信長、秀吉、光秀、家康

著者 :
  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107769

作品紹介・あらすじ

義弟・浅井長政の突然の裏切りにより、敵地・金ケ崎城で孤立した織田信長。すべてをあきらめた信長、末端部将の木下秀吉はびびり、流浪の中年武将・明智光秀は捨て鉢になり、信長の盟友・徳川家康は我が身の運のなさを嘆く。思考停止、パニック、狂態…のちの天下人らしからぬ行動をとりまくった戦国のヒーロー四人、最後の決断の行方は。

感想・レビュー・書評

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  • 《どうする家康》に先を越されるかと思ったが、選挙速報のおかげで一週稼げた(笑)
    …え?「オレの白兎」が「徳川殿」…??

    元亀元年が1570年なのは覚えてしまった。
    だって各章の冒頭に、”元亀元年(1570)、4月何日、いつの刻。どこそこ”って書いてあるんだもん(笑)
    30分刻みの章もあり、臨場感バツグン。

    学者面で荒っぽい、静かに野心剥き出しの、エキセントリックなジジイ。明智光秀のキャラ造形が最高。もはや長谷川博己の面影は吹っ飛んだ。酒向芳の時代だー。

    何気に、まだまだ雑人あがりの秀吉の、戦国武将としての成長物語の側面もあって、微笑ましい。そうか、秀吉に“きんきらきん”を焚き付けたのって、家康だったのか(笑)



    本筋とは全然関係ないけど、164ページ、壬申の乱で勝って天武天皇になったのは大海人皇子ですな。

  • あり得ない会話や行動だけど、面白いテンポで書いてあるので違った視点で楽しめるのに、何故か読む速度が遅いし、集中できない。姉川を先に読んだ時はシリーズものは順番に読まないといけないんだと思ったけど、違う。説明が長すぎて話が脱線するので自分の頭では追いつかずよそ事を考えてしまう。
    真面目な文章が続いてふとコミカル調になる。だからドタバタした文章って思ったのかも知れない。

  • 先日、桶狭間の四人という歴史小説を読みました。天下統一にかかわった歴史上の有名な人物、信長・秀吉・光秀・家康が、同じ場所で仕事(合戦)をしていたのですね。今回の舞台は、信長が朝倉氏と戦った金ヶ崎です、現在の地名では敦賀になりますね。今年2月に旅行したときに、その場所に行って感激したのを覚えています。

    天下統一をした素晴らしい武将としてのイメージが強い各々ですが、若い時には大変な苦労をしている、というのがこの本を通してもよくわかりました。若い頃の苦労は貴重だ、と言われますが、秀吉を見ていると本当にそう思いました。

    以下は気になったポイントです。


    ・信長は伊勢を攻め切ることが出来ずに、次男信雄を伊勢国司北畠氏に、三男信孝を北伊勢神戸氏に、それぞれ人質に差し出すことでようやく伊勢を手に入れた(p6)

    ・信長は、小規模戦闘の天才、そしてどんなに合戦で敗北しても大局的な戦略上で勝利を収めることもたけていたが、中間の、大軍の用兵と戦術の才能がなかった、つまり組織的行動力、人材管理能力、意思疎通能力が欠けていた(p7)

    ・浅井と朝倉の関係は、徳川と今川の関係に似ている。浅井氏は守護職京極佐々木氏の家臣、長政の祖父(亮政)のとき、南近江六角佐々木氏の圧力を受けたために、朝倉氏の支援を受けて六角佐々木氏を撃退し、京極佐々木氏のかわりに北近江を制圧した。(p34)

    ・徳川家康が織田信長時代に、木下秀吉と組んで戦ったのは、金ヶ崎・姉川・長篠の3度のみ(p52)

    ・戦場での死者でもっとも多いのは戦闘ではない、移動中の病と虫刺されである、ツツガムシ病、マラリア、破傷風、過労からくる虫垂炎等(p64)

    ・現在裏切っていないから将来もとりあえず裏切らないだろうというのが信用、自分が裏切らないように家臣も自分を裏切らないだろうと推測するのが信頼である。家康は信用しても信頼しない(p66)

    ・家康は、どれほど信頼している人間でも裏切る弱さがある、と学び、信長は「決して他人は信じない、ただし信じるときには徹底的に信じる」と学んだ、似たような境遇におかれても、人は得るものが異なる(p101)

    ・中規模の組織を統率するのに大切なの能力は、知恵でも知識でもなく、決断力である(p165)

    ・大将の大切な役割の一つに、目標の設定である。戦国時代の勝利とは、1)総大将の戦死、2)総大将の降伏宣言のみ(p177)

    ・人は自分を裏切る者を裏切る、家康の言葉「わしのために死ぬな、自分の名のために死ね。生きて三河に帰るのを最優先させよ」(p213)

    ・人の行動の先を読むには、とった行動の理由を読まなければならない、信長の言葉(p216)

    ・足軽は戦功の員数には換算されず、殺害目標にされることはめったに無い(p288)

    ・戦国武将が守る順序、1)名、2)領地、3)自分の命、4)銭金(p290)


    ・人の価値は、いいときではなく、悪い時にどうするかで決まる(p309)

    ・信じるとは、望んでいることを確信し、まだ見ぬ事実を確認することである(p312)

    ・織田信長は岐阜に戻ると軍勢を整備しなおして、1か月後(6月末)に出陣して、浅井・朝倉連合軍を大敗させたが、同年9月に、浅井長政は比叡山に本陣を移して信長を敗北させた。屈辱的な和解を信長は受けた、そして3年かけて浅井親子、朝倉を討ち果たした(p317)

    2019年7月27日作成

  • 4人シリーズのうちの一冊。
    ギャグ路線?強めかな?

    面白いです。

  • 信長、秀吉、光秀、家康の四人を浅井・朝倉連合との戦いの中で描く。信長がよく描けていると思った。言葉使いが現代的すぎるとかの批判があるようだが、歴史小説であり読者がそれなりに楽しめればあまり拘る必要もないと思う。

  • なるほど。

  • 朝倉義景攻めを行う織田信長連合に家康軍が参加し数的優位の状況で楽勝と思いきや先方として乗り込んでいた浅井長政が何故か裏切り反旗を翻し織田軍を襲う。一足先に信長は秀吉を撤収の殿軍大将に任命して1人戦場を後にし逃げ出す。金ヶ崎で残り長政軍の猛攻を凌ぐ秀吉、家康、光秀の3人武士として第一の名を残し死域へ向おうとする家康に対して、生への固執をする秀吉。中立でどちらかと言えば家康寄りの光秀。言い争いの中に信長が戻り説教を垂れて逃げ切る。そして次巻の姉川の戦いでの復讐戦に繋がる。

  • これが四人シリーズの第一作。
    金ヶ崎からの撤退戦での四人を描く。四人の立場が言わせる撤退に臨む方針の違いがオモシロイ。このシリーズでは秀吉はまったくの戦下手として描かれているのも一興。
    お市の方による浅井の裏切りを伝える件が採用されていないのはちょっと残念。

  • もっと笑えると思ってたら、意外とベースがビジネス系新書みたいな(読んだことないけど)、あ、うまいこと話しもってくわねって感じで、つまらなくないけど、面白くはないってことになったので、シリーズの他作品は読まないことにしますた。

  • 面白いと誉めちぎる人がいる一方、私はなんだか文章感が合わなくて、微妙だった。面白いのは分かるんだが、「ここ笑っていいの?」って迷っちゃう時が多かった。でも、「ウケ申し候」ウケた。お前が言うのかよ、と。次巻も読みたくはある。

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著者プロフィール

1960年岐阜県生まれ。94年『めんどうみてあげるね』で日本推理作家協会賞受賞。著書に『浅井長政正伝』『信長と信忠』『お市の方』『織田信雄』等多数。主宰する小説講座からは各文学賞受賞者を多数輩出。

「2020年 『新・時代小説が書きたい!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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