英龍伝

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108339

作品紹介・あらすじ

誰よりも早く黒船来航を予見し、未曽有の国難に備え奔走した伊豆韮山代官・江川太郎左衛門英龍(ひでたつ)の生涯を活写。
『武揚伝』『くろふね』に続く、幕臣三部作の完結編。

無位無官の伊豆韮山代官であったが、黒船来航の前から繰り返し海軍、海防の建議を行う。幾度の却下、嫌がらせにも屈せず、自ら蘭学、砲術、測地術などを学ぶ。
「その日」に備え、韮山反射炉の造営、西洋砲術、造船術の普及、農兵の組織などに奔走した。

嘉永六年ペリー来航後、幕府は混乱を極め、ついに英龍は勘定吟味役(格)に指名される。代官を世襲したときからの夢であった、評定所一座に参加することになったのだ。その後、「海防掛」となり、乏しい資源のなか、品川の台場築造を指揮した。

翌年、ペリー再来時。英龍は、幕府の決断を交渉役に伝え、英龍の目の前で「開国」の扉が開かれた。
その後、激務のせいで、勘定奉行任命を目前に病死する。享年五十五。
早すぎる死を悼み、葬儀には当時の幕吏や学者、領民など2500もの人が集まったという。

感想・レビュー・書評

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  • 幕末の伊豆韮山代官・江川太郎左衛門英龍を描いた時代小説。
    自らが率先して動き、手本となる。主人公が清々しく、魅力的で、ひきこまれる。
    鎖国により、情報もノウハウも簡単には手に入らない状況でも、自分たちで何とかしようとする。英龍とともに活動する、周りの人々も素敵。
    日本としては後手後手だったかもしれないが、その陰で先を見据え、懸命に手を尽くそうとした人たちがいたことに、胸が熱くなる。
    最後は思いがけなく、じーんときた。
    『武揚伝』『くろふね』に続く、幕臣3部作。

  • 幕臣の側から描かれた幕末で、興味深く読みました。
    主人公が秀でた人物で魅力を感じました。
    私としては終盤が読み物としてあっけなく感じてしまいました。

  • 江川太郎左衛門英龍の幼少期から最期まで。

  • ふむ

  • この本は『武揚伝』への序章である。

  • 江戸時代末期、ペリー艦隊が浦賀沖に現れる以前から、そういう事態が起こるだろうことを予測していた人は多数いたのだろうとおもう。

    今夏、この目で実際見て知った韮山反射炉を製造した江川英龍もそういう人物の1人だった。
    彼の慧眼とだからこその日本に対する焦慮が慮れる本書でした。

  • 伊豆韮山代官・江川太郎左衛門英龍

  • 2017年9月17日読了。

    ページ数失念。

    佐々木譲による幕末三部作。
    江川太郎左衛門英龍の物語。

    もう少し、中島三郎助や榎本武揚と絡んでほしかったと思うが、歴史なので仕方ない。

  • 漫画「風雲児たち」の愛読者である(笑)下の子が、「尊敬する歴史上の人物に1人加わった。江川太郎左衛門英龍。」と言っていた、江川英龍を主人公とした小説。
    小説としては"枯れた"(良い意味も込めて)筆致で、時代背景などの解説は少ないのでむしろ「風雲児たち」を先に読んでいた方が背景が分かって良いかもしれない。(笑
    しかし、このような人物が教科書を始め一般的な歴史書においては忘れ去られているのは残念。確かに、「先見性」(そして人間性も)という点でもっと再評価されてよい人物の一人だろう。

  • 江川太郎左衛門英龍、江戸末期、こんな英雄がいたなんて知りませんでした。学ぶことの大切さ、情報の重要さを今更ながら思い知りました。
    くろふね、武揚伝も読んでみたくなりました。
    薩長でもなく、幕府側からだけでない開国を違った角度から眺められ、新鮮でした。面白かったです。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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