- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620210247
作品紹介・あらすじ
腰痛も肩こりも、悩める人生も、身体の声を聞けばすべてうまくいく。超人気哲学者と革命的治療家による「読むサプリ」待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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取り越し苦労は傲慢である
みんなが気持ちよければ自分も気持ちいい
反省してはいけない、自分を否定することになる
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三軸修正法の池上先生との対談本。いつも通りの内田老師のトーン。
・哲学は複雑な学問であると思われがちだが、世の中の方がよっぽど複雑であり、その点ではかなり正直な学問である。
・頭で感じる快不快と、身体で感じる快不快は異なっている。それを識別できない人が多い。頭で感じる快というのは幻想的なもの多い。政治的陶酔やイデオロギー、はたまた身体毀損によるもので、おおむね幻想的な快楽であるが、身体的な快はじっくり、ゆっくり感じるもの。多くの人が、幻想に惑わされやすい。過度なダイエットやピアスなどは明らかな身体毀損であり、身体的には不快であるにもかかわらず、頭で感じる快の強さに押し負けて、快楽と誤認しがち。もっと、身体的な快に耳を傾ける必要がある。
・目の前にあるものの価値を構成しているのは、先取りされた未来の喪失感。実は、今の目の前のもののかけがえのなさを担保しているのは未来の喪失感であるというワードはとてもしっくりきた。その考え方を推し進めると、今を生きていてつまらないという人は、自分が死んだときに人生を回顧してどう感じるかということの想像をする習慣がない人である。常に自分の死について考えることが今のかけがえのなさをヴィヴィットに感じられる秘訣。 -
『身体の言い分』(著:内田樹/池上六郎)
付箋部分を抜粋します
・出会うべき人とは必ず出会う。ほんとうにそうなんです(p7)
・ご縁が必ずみなさんを「いるべきとき」に「いるべきところ」に導いて、「なすべきこと」をさせてくれます。みなさまの
仕事は「ご縁」が接近してきたときに、それを感知し損なわないこと、それだけです(p8)
・みなさまも「不思議な仕事の依頼」を受けたら、とりあえず「はい」と即答することをお勧めします。そこからおひとり
おひとりのご縁のつながりが始まります(p10)
・人の体の機能って驚くほど巧妙にできているのに、残念ながら頭というか脳のほうが、その機能のよさをわかっていなくてね(笑)
だからみなさん、難しく考えすぎてしまうんです。もっと自分自身の生命力をリスペクトすれば、体は本来の機能を発揮して
くれるんです(p67)
・どんなに理路整然とした話でも、どんなに辻褄が合っていても、次のフレーズが読めない場合は「腑に落ちない」んです。
「腑に落ちる」という時は、やっぱり「腑」が待っているんですよ。場所を空けて。その待っているところにすとんと落ちるから
「なるほど」となるわけで(p84)
・「内田くん、強く念じたことは必ず実現するよ」(p85)
・「私ってなんてハッピーなんだ」っていう経験のない人というのはね、ぼくね、申し訳ないけれど人生展望ないと
思うんですよね(p151)
・いやなことをやっているというのは罪悪ですよね、一種の(p159)
・どう生きるかといのは、自分で決める。で、決めたら、やる仕事というのは向こうからやって来るんです(p160)
・仕事って「これ、やってくれる?」ってあっちから来るもので、「これ、やらせてください」って自分から言うものじゃ
ないと思うんですよ。本来は(p162)
・他の人はいったい自分に何を求めているのか、自分はこの社会でどんな仕事ができるのかということをいつも考えている人の
前には自然にドアが開くし、梯子も下りてくる。どんなことをやったらみんなに喜んでもらえるのか、自分の個性や力量は
どんなかたちでみんなの役に立つのかということをある程度集中的に考えていかないと、そういうことは起きないんです(p163)
・何かを勉強すると、その仕事が用意されているというような、変な幻想をみんなもっているんですよね(p167)
・祖先から何万年も、なんだか知らないけど一代も途切れないで今ここにいる、というすごさを感じればいいのにね(p172)
・自己評価の不当な低さと、自分は人生を選べると思っている選択能力の過大評価は、たぶん裏表になっているんですよね(p177)
・「未来は未知だ」と思っていないことなんですよね。未来のことはわかっていると思っている(p182)
・死に関して確実に言える重要なことって「人間は必ず死ぬ」ということではなくて「人間はいつ死ぬかわからない」ということ(p184)
・病気になったって、使えるリソースを全部使わないと生き延びられないという状況に放り込まれると、生命力が高まるわけですよ。
明日も明後日も、どうなるかだいたいわかっているという前提だったら、人間パフォーマンスは下がって当然なんです。人間としての
能力が、何が起こるかわかっている状況で開発されるわけがないんですよ(p185)
・「七戒」というのがあって、それは「怒るな、恐れるな、悲しむな、憎むな、妬むな、悪口を言うな(言われても言い返すな)
取り越し苦労をするな」というんです(p187)
・今日、明日のことを心配しているきみと、明日のきみは別人であるという自明のことがわからないんです(p190)
・新聞の広告は人の欲をかきたてるものだから、それにつられて動く人々のようすが見えてきて、おもしろいんです。新しいものを
追いかけるということは一切しなくても、自分にとって必要なものは全部、向こうからやって来るものですから(p196)
・向こうからやって来るのが、いちばんいいタイミングで来るわけでしょう。準備ができている時に来るんだから、こんなにいい
ことはないと思うんですけどね。やって来ると思っていたら、たぶん不安も起きない(p202)
・いくつのかのファクターの中で、最大のパフォーマンスがどうやったら出るのかな、と考えればいいわけで(p220)
・努力して、我慢して、不愉快な思いに耐えて、その結果、周りの人に嫌われる人間てすごく多い。そんなことしてもだれも幸福に
ならないんだから、自分の中に生物学的に備わっている快不快の感受性を、もっと信じていいと思ううんです。気持ちのよいことを
しっかり追求していると、人間としてそんなに大きく間違うことってないですよ(p242)
・計らわなくても、そういう時期がやってくる。ただそのライト・タイムの時にね「ああそうだ」と思うことがでいないとだめですね。
今興味のあることをやっていたら、昨日より今日、今日より明日のほうが、気づくことが増えてくる。その気づいたことの棚の数が
多くなると、リンクを張れるに違いない。一挙に機能するんですね。ただ、体験とか知識とかがなければ、リンクも張れない
でしょうけど(p246)
・生まれてから今までの経験全部、すべてをフル活用して「知識」に繰り込んで使い切るから無駄がないだけなんです(p248)
・失敗から学ぶということと、反省とは違うことですよね。失敗から学ぶということは愉快なことなんです、非常に(p257)
・自分が恰好よくない人生って、すごくつまらないような気がするんです(p259)
・人生の目的というものは自分勝手に決めるもので、それを実現させることが自己実現だなんて思っているのはつまらない人生
ですよね。何かに出会ったら、そのベクトルを合成して無理なく生きる。そうしたら、おもしろいことが次から次へと
やって来るんだから。人生の醍醐味ってそういうものだと思います(p271)
・次の動きについての選択肢がいちばん多い状態、いちばん自由度が高い状態が、正しい位置なんです。どういう方向にも動ける
どういう動線も選択できるという開放状態にあると、いくつかある選択肢の中に最適解が含まれている(p292)
・人に話を聞いてもらおうと思ったら、自分の体をモニターするように仕向ければいいんです(p302)
・モノと自分の間で交流が起きている。そういうものをキャッチする能力があるかどうか(p312)
・ふっと思うは神の心、あれこれ思うは人の心、という言葉があると聞いています。あまり計らずに、ふっと思う時と所を得ますと
潜在していた陰の可能性「お蔭さま」が、ご縁という形で顕れ向こうからやってきます(p324) -
わかる人には
たまらなく 気持ちよく
すんなり 入ってくる
わからない人には
まったく 取っつきようがない
それで 全くいいのだと思います
本を読む というのは
本来 そんなものであると
思っています -
意味不明
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帯表
チャンスはつかむものではない。
やってくるものである。
世界が変わる。
生き方が変わる。
人気哲学者と革命的治療家がくりひろげる、神秘にみちたカラダの話。
発見と驚きの〈身体論〉異色のロングセラー待望の文庫化!
帯背
正しい時、正しい場所に、正しい仕方で
帯裏
自分はいったいこの世界にどんな「ミッション」を託されて送り出されたのかとふと考えることがあるとしたら、頭を悩ませる必要はありません。
ご縁に導かれて進めばいいのです。
ご縁が必ずみなさんを「いるべきとき」に「いるべきところ」に導いて、「なすべきこと」をさせてくれます。
みなさんの仕事は「ご縁」が接近してきたときに、それを感知して損なわないこと、それだけです。
ー本分より
本書は二〇〇五年七月に毎日新聞社より刊行されました。
「身体の言い分」文庫版のためのまえがき
第七章 文庫版ボーナス・トラック対談
正しい位置はどこですか?
文庫版のためのあとがき -
f.2022/3/23
p.2019/4/7 -
今月3冊目
★★★
いや、深いです。池上先生達は野口先生に近い感じかな。
治療家というか哲学、人格者というか、どこまでも考えてるんだなと。
治療家でなくてもなにしてもやってけそうな頭脳。
ちなみに池上先生の息子さんは知り合い -
哲学者で武道家の内田樹と、「三軸修正法」という治療法の提唱者である池上六朗の対談です。
「文庫版のためのまえがき」で内田が、二人の著者たちの出会いが不思議な「ご縁」にみちびかれたものだったということを語っていますが、本編でも身体知にもとづく共感の重要性が指摘されるとともに、そうした原初的なコミュニケーションの回路がうしなわれてしまっている現代の状況に対する批判が展開されています。
内田の身体論・武道論にかんする本はこれまで何冊か読んだことがあるのですが、もはや言説のレヴェルで説得を試みることを放棄してしまっているように感じられて、どうしてもついていけないと感じてしまいます。フランス現代思想に造詣の深い著者なので、「知」に対する批判もそうした文脈で読んでしまうのは、こちらの悪い癖なのかもしれませんが、近代的な「知」のありかたに対する批判から、「身体」や「自然」へと一気に飛躍してしまう著者の身振りそのものも、著者自身の意図を離れて「反復」されるものであり、そうした問題への警戒心のなさが気になってしかたがありません。
もっとも著者は、言説のレヴェルでの「差異」と「反復」といった問題にはもはや興味がなく、それこそ身体を通して「わかるひとにはわかる」真理を語っているつもりなのかもしれません。 -
元気が出た。
いろいろ抜き出したい所が多過ぎて。
目次から小見出しをいくつか抜き出す。
今の自分を肯定する
チャンスはやってくるもの
未来はわからないからおもしろい
取り越し苦労は傲慢である
元気は自分で決める
なるべくしてなる
現実から出発しよう
1カ所だけ抜書きするとしたら
"池上 (略)船の用語で目的地をデスティネイションというんですが、途中で嵐に遭ったり海賊や戦争に出くわすと、否が応でも目的地を変えなくてはいけません。それがディスティニーなんだ、といつか聞いたような気がするんです。人生の目的というものは自分勝手に決めるもので、それを自己実現だなんて思っているのはつまらない人生ですよね。何かに出合ったら、そのベクトルを合成して無理なく生きる。そうしたら、おもしろいことが次から次へとやって来るんだから。人生の醍醐味ってそういうものだと思います。" 270ページ