ラジオ福島の300日

  • 毎日新聞社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620321189

感想・レビュー・書評

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  • 有り 699/カ/12 棚:17

  • あの日、約三時間半を掛けて都内の会社から自宅へ徒歩で帰宅した後、まずラジオを点けた。東北には知り合いも多い。特に宮城・岩手の沿岸部の状況が気になった。関東のTV放送だけでは、被災地の細かな状況はわからない。「こうした非常事態の時には、ローカルラジオ局の情報が最も信頼できるはずだ。」ラジオ趣味に走っている自分の持論である。
    1260kHzの東北放送が聞こえた。予想していたよりもかなり酷い状況である。東北放送自体いつもより弱々しい電波に思える。ついで、岩手IBC、ラジオ福島と続けて探していく。ラジオ福島は郡山中継局1098kHzが強く聞こえるが、同じ周波数の信越放送がかぶって聞きづらい。どの放送局も懸命な努力をしていることが伝わってきた。
    東京電力福島第一原発がシビア・アクシデントを起こしていることを知ったのは翌日だった。そして、その日から毎晩、ラジオ福島を聴き続けることになった...

    本を読み進めていくと当時の記憶が甦ってきます。
    ネット上でデマが飛び交い、東電の記者会見では時間の経過とともに前回発表した内容とは食い違う「事実」が明らかになると言う状況下、誰もが不安を増殖させる中で、被災地で得られる情報を「ありのまま」提供して頂いたラジオ福島の皆さんに敬意を表します。「350時間14分のCM抜きの生放送」によって、救われた方はとてつもなく多いのだから。

  •  大震災の福島を報道し続けた独立系ラジオ局のドキュメント.地元メディアとして県民に正しい情報を迅速に伝え続ける努力と,被災企業としての存続をかけた活動が生き生きと描かれている.
     大震災により記者が身動きが取れず取材が出来ない,かつ,放送設備が被害を受けて福島全県に電波が届かない,という事態に陥る.これを,TwitterやUStream等を使って正解で迅速な報道を継続した.今回の震災でのICTの活用の特徴的な例である.
     情報源は,「TVで見た情報と伝えて」「リスナーを信じて放送していいですか」と取材に基づいた情報だけでなく『伝えなければならない情報』を優先.発信は,「とりあえず作れ.問題があったら後から直せばいい」とライフラインや避難所情報を載せたポータルを作り,また,UStreamへの配信を行っている.
     これらの非常事態の活動の中で,常識人を貫いている点がすばらしい.最大の収入源であるCMを止めて災害報道に注力した後に,一企業とし,株主総会の準備をしつつ,スポンサーの状況に配慮しながら営業活動を再開している.また,UStreamでは,識者のインタビューを許可を得てから配信し,音楽は著作隣接権を日本レコード協会と実演家著作隣接権センターの許可を得ている.
     すばやく思い切った行動が出来る,まじめな常識人という強い印象を受けた.

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