躍進するコンテンツ、淘汰されるメディア

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620323749

作品紹介・あらすじ

21世紀、私たちはどのような分岐点に立っているのか。コンテンツのデジタル化、ITイノベーション、「黒船」来襲-メディア変遷の世界的動向とニッポン事情の詳細を果敢に読み解き、打ち立てた、全産業「再定義」立国論!闘う出版人の渾身作!

感想・レビュー・書評

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  • ニューヨークタイムスにしてもワシントンポストにしてもアメリカの新聞社のデジタルトランスフォーメーションは実はネットフリックスの登場がその下地を作ったという説を聞いたことがあります。今までのメディアはテレビでは編成、新聞では編集というように送り手の都合でコンテンツが作られていたものをネットブリックスは徹底的に視聴者側に立ったコンテンツ提供をサービスの基本としていて、それがアメリカの視聴者にとって当たり前になりつつあるから、というのが理由だと。新聞もサプライヤーサイドからディマンドサイドのコンテンツにならなければ生き残れない、それがデジタルトランスフォーメーションの意味なのだと。そこらへんの今起こっている革命の現在進行形ドキュメントとして、そして日本では起こすことの出来なかった革命の敗戦レポートとして読みました。本書が発刊されてからabemaで7400万の累計視聴数という事件も起ったりして、革命は日本にも上陸していることを感じます。著者はメディア三部作の完結編と本書を位置づけますが、まだまだ革命は完結していないので、次作もつい期待します!

  • ふむ

  • ・角川会長による2017年著書
    ・IT業界はコンテンツを創るものではなく利用するもの
    ・総務省 →NHK、NTTによる通信、放送の支配
    ・パナソニックのスマートビエラCM拒否→テレビをつけた時点で放送以外のコンテンツが出る事が規定違反 →Netflixボタンはテレビ局に相談無しで実装したことから、家電広告主・テレビ局の長期の蜜月はなくなる。

  • 何気なく手に取ったけど、この本はスゴイわ。
    学術論文と言っても遜色ない!
    とにかく丁寧な取材と、深堀な考察と。
    ものすごく客観的に、過去の実績から、現状分析と、未来の予言をしている。
    ここまで「テレビ」「配信」について、きちんと記した書籍があったか?
    自分の「思い」に偏らずに、各章をまとめているのは流石。
    特に「放送免許」「放送の送信技術」「配信の送信技術」などのを、読む人(主に文系)にとって分かりやすく解説しているのは、本当にすごい。
    隅々まで理解しているからこそ、要約できている訳で。
    こんな年輩の方が、ここまで詳しいとは思わなかった。
    官僚とも人脈があり、「勉強会」「意見交換会」「検討会」の各会に参加しているだけあって、文章の根拠に説得力ある。
    もちろんプラスして取材もされているが、その取材相手が確実に「キーマン」のため、ズバリ直球の話が聞けている。
    普通の人では、絶対に会えない。
    特に海外の要人の言葉は直接聞けるわけがない!
    日本の大手出版社のトップ、さらに映画プロデューサーとしての人脈もあるからこそ。
    「4K・8K」「オリンピック」「放送と配信の未来」・・・
    我々はどうべきか?
    誰がちゃんと答えられる?
    本当に絶対に今読んでおくべき本!
    (2017/7/12)

  • 旧郵政をめぐるハイビジョン・地デジ騒動、テレビメーカーの離反、日本式官製イノベーション、放送と通信の融合に対する放送の反対、法による再定義への自縄自縛、、。第三者としての冷静な洞察と、出版界での経験・自戒を込めた提言。

  • # 書評☆3 躍進するコンテンツ、淘汰されるメディア | Netflixの躍進とそれを取り巻くテレビ,通信,メディアのこれまでと展望

    ## 概要
    KADOKAWA会長の角川歴彦による「メディアの興亡」三部作の第三部となる。

    内容は,動画配信業者として躍進するNetflixをメインに,これまでの日本のテレビ,通信,メディア,それとApple,Google,Amazonのメディア関係の取り組みを振り返り,今後の展望について書かれていた。

    Amazon.co.jpで「マストドン」のキーワードで検索してヒットしたので,Mastodonについてどう言及されているのか気になって読んだ。

    しかし,本文中にはMastodonや分散SNSの話題は一切ない。おそらく,この本の出版を記念した以下のセミナーと連動して,専用のMastodonサーバーが設置されたので,ヒットしたのだろう。

    > [INIAD坂村健×KADOKAWA角川歴彦が語るコンテンツとIoTの「再定義」 - 週刊アスキー](https://weekly.ascii.jp/elem/000/000/403/403778/)

    例えば,AmazonのKindleの失敗,Google TV,iTVの失敗などを上げて,既存のテレビ事業の体制の古さやデバイス戦略の成功・失敗など,著者の洞察が述べられており参考になる部分はあった。

    ## 参考
    > ### p. 18: ネットフリックスの登場
    > それでは、動画配信のモノポリー者となるネットフリックスとは、どのような会社なのだろうか。もともと彼らはレンタルビデオ会社からスタートした。1997年に創業したが、顧客の家にDVDを宅配するという新しい発想でなかなかの人気が出てレンタルビデオの大手になった。

    ネットフリックスがどのように登場してきたのかがわかった。

    > ### p. 30: 前駆者のHuluとの違い
    > 彼ら以前にも動画配信業者はいくつか存在した。Huluはその一つである。だが,先行者は映画会社やテレビ局のサービスの一環として補完的役割を担って創業した。だから伝統的なメディアとは友好的な関係を結びその意に反するような改革はしない。

    Netflixと既存動画配信業者との違いが説明されていた。

    > ### p. 192: 成長産業などない。経営の良し悪しは経営者の双肩にかかっている
    > セオドア・レビットは事業衰退の原因は経営の失敗にあるとし、その例としてアメリカの鉄道会社のケースを挙げている。
    >
    > 「鉄道が衰退したのは、旅客と貨物輸送の需要が減ったためではない。それらの需要は依然として増え続けている。鉄道会社が危機に見舞われているのは、鉄道以外の手段に顧客を奪われたからでもない。鉄道会社がそうした需要を満たすことを放棄したからなのだ。鉄道会社は自社の事業を輸送事業ではなく、鉄道事業と考えたために、顧客を他に追いやってしまったのである。事業の定義を誤った理由は、輸送を目的と考えず、鉄道を目的と考えたことにある。顧客中心ではなく、製品中心に考えてしまったのだ」

    事業の衰退の原因が何なのか参考になった。

    > ### p. 202: モノポリー者の脅威
    > モノポリー者の脅威の実態を僕に余すところなく伝えてくれたのは、MITメディアラボ所長の伊藤穰一君だ (『グーグル、アップルに負けない著作権法』)。
    >
    > 「モノポリー者というのは、ちょっとした権利をいかにレバレッジにしようかと一所懸命、上手に考えている人たちばかりです。
    >
    > アップルのデバイスの中には、アップルのものではない特許がたくさん入っている。でもアップルが凄いのは、彼らが一番設けている。なぜかというと、ブランドとエコシステムのコントロールを牛耳っているから。
    > ___
    > みんな視点が間違っていると思うけど、クラウドの世界、時代になると、強者は物や権利を持っている人たちじゃないんだよね、YouTubeみたいに、トラフィックとブランドを持っている人が強い。
    > ___
    > 今の世の中というのは、いかにプラットフォームを作るか、ディストリビューションを持つか、ユーザを持つか、そういうところに力が移っちゃっている。

    モノポリー者の考え方が少しわかった。

    ## 結論
    メディア産業で50年以上勤めている著者による,ここ10-20年のメディア大再編について,洞察と展望が述べられていた。メディア産業に勤めているものには参考になるところがあるかもしれない。

    ただし,けっこう細かい内容もある。例えば,NHKとかNTTの通信や放送に関する国とのやりとりや歴史の話など。このあたりはあまり面白くなかった。

    個人的にはMastodonに関する記述がなかったのが残念だった。

    パーマリンク: https://senooken.jp/blog/2019/02/13/

  • 角川歴彦氏の洞察の鋭さ、豊富な知識に脱帽。
    出版最大手のとっぷとはこういうものか。
    と思わせる。
    内容に関しては、自身の知識と読解力が足らず、理解しきれていない。残念。

  • 前著と重複する箇所がないわけではないが、
    それはすなわち、著者としても大事な部分だということなのだろう。

    主たる部分はネットフリックスの日本上陸の意味だが、
    今回は出版業界ではなく、テレビ業界を主軸に据えている。

    2011年に実施された地上波デジタル放送の意味から出発し、
    “放送と通信の融合”というのがいったいどういう性質のものなのか、
    通時的に解き明かしてくれている。

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