貧困クライシス 国民総「最底辺」社会

著者 :
  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620324067

感想・レビュー・書評

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  • 著者は1982年生まれなので、2017年当時は35歳位ですか。
    著者は、NPO法人ほっとプラス代表理事。社会福祉士。首都圏で生活困窮者支援の在り方に関する活動と提言を行う。反貧困ネットワーク埼玉代表。などの肩書があります。

    これも、厳しい内容だなあ。
    日本の現状、近未来とも。
    ただ、著者が若いだけに、貧困問題を解決しようとの本気度が垣間見られる。
    ただ嘆くだけではなく、明るさが感じられるのが救いか。

  • 「下流老人」を始めとして貧困問題を積極的に訴えてきている著者の最新作。
    我が国では「貧困」が広がっているが、「絶対的貧困」ではなく「相対的貧困」が広がっているため問題が見えにくい。著者は「下流老人」で高齢者の貧困を明らかにしたが、雇用の破壊が進行している現在、若者や中年、女性にも貧困が拡がり、それが更に高齢者の貧困を進行させ、社会保障の削減がそれに拍車をかけていることを実例を通じて論じているので説得力がある。最終章で、それでも個人で行える策はあると、現在使える社会保障制度を説明されている。最後はとどのつまりは政治を変えることが社会保障政策を存続・維持していることにつながると結ぶ。

  • 最前線で、貧困の現実に向き合い続けている藤田さんの最新刊。貧困問題に対して、「自分は違う」とどこかで思いがちな人が多い日本で、そうではないということを、階層ごとの事実とわかりやすい言葉で伝えてくれています。ぜひ手に取ってほしいと思います。

    僕自身、生活保護の基準引き下げ裁判に参加して3年目を迎えています。多くの人が支援をしてくれていますが、その輪を広げていくために何が必要かよく検討しないといけないことを改めて考えました。お勧めの一冊です。

  • 生活困窮者を支援するNPO法人を主宰する著者が実際にサポートした若者、高学歴者、女性、老人の貧困の実例を経緯を含めてその実態を詳しく解説します。極端な事例という気もしないでもないですが、それが逆にある日突然自分に降りかかってくるかもしれないとのリアリティがあります。そういう意味でも、自分だって何かの拍子にこうなるかもしれないと考える連帯が必要ですね。それにしても折角生活保護などの申請して暮らしていけるようになったのに自殺してしまうとは悲し過ぎます。

  •  藤田孝典著『貧困クライシス―― 国民総「最底辺」社会』(毎日新聞出版/972円)、『貧困世代――社会の監獄に閉じ込められた若者たち』 (講談社現代新書/821円)、『続・下流老人 一億総疲弊社会の到来』 (朝日新書/821円)読了。仕事の資料として。

     生活困窮者支援に取り組んできたソーシャルワーカーの著者(NPO法人「ほっとプラス」代表理事)は、貧困問題を広く知らしめるための啓蒙書を次々と刊行してきた。そのうちの一つ『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』は20万部突破のベストセラーとなり、「下流老人」は流行語大賞にもノミネートされた。

     今回読んだ3冊のうち、『続・下流老人』はタイトルのとおり『下流老人』の続編。今後の過酷な社会で老人たちが生き延びていくための「解決策」にウエートが置かれている。

     『貧困世代』は、若者の貧困に的を絞った概説書・提言書。シングルマザーの貧困や子どもの貧困などと比べ、軽視されがちな若者の貧困が、いまどれほど深刻化しているかを浮き彫りにする。
     書名の「貧困世代」とは、おおむね現在の10代~30代を指し、「一生涯貧困に至るリスクを宿命づけられた状況に置かれた若者たち」であるという。

     高度成長期やバブル時代を経験し、当時の恵まれた状況がいまも頭にある上の世代は、いまの若者たちがそれほど追いつめられている現実を理解しにくい、と著者は言う。

    〝大人たちには、子どもを産みたくても産んで育てるほどのゆとりがない若者たちの姿が見えていない。子育てはぜいたくというのが、貧困世代のホンネである。〟

     もう一冊の『貧困クライシス』は、老人の貧困、女性の貧困、若者の貧困、中年の貧困……と、各世代の貧困問題を総花的に扱った概説書。「とりあえず全体像をつかみたい」という人は、これから読むとよいかも。

     3冊とも、貧困の現場を肌で知るゆえの「熱さ」、問題を改善していこうとする社会改革への強い意志に満ちており、好感が持てる。
     「貧困問題」本にありがちな、「こんなにカワイソウな人たちがたくさんいるんですよ~。やっぱ政治が悪いですよね~」で終わってしまう感傷的な内容ではないのだ。

  • とにかく読みすすめるごとに憂鬱になった。
    現実を突きつけられると辛いけど現実だからしょうがないよね。
    ショックだったのは今の日本の社会制度が30年、40年と真面目に働いて税金を納めてきたとしても貧困に陥る可能性が極めて高いということ。
    国や会社に頼る時代はとうに過ぎて、これからは自分の身は自分で守るしかないとうすうす感じてたけどそれが確信に変わった。
    移住という手もあるけど本気でそれも考えたい。

  • 全世代貧困化!
    政治に参加しなくちゃ変わらないのは確かだが在野からも活力を見出さないと解決しない気もする。

  • 図書館で借りた本。
    若者の貧困、中年の貧困、女性の貧困、老人の貧困、そして貧困ニッポンを生きるの5章からなる。仕事中の事故で(転んで)ケガをして、働けなくなった女性に対して「働き手が減ってこっちが被害者だ」的な言い分、「パートだから労災に入っていない」の嘘、「労災を請求すると、今後の就職が不利になる」の脅し。信じられない気持ちで読了。

  • 大体すでに知っていたことだったが、何度でも機会があるたびに自分の意識に上げておきたい。
    それにしても、生活保護バッシングなど、まるで自分とは関係のないことのようにバッシングできる人の気が知れない。どうしてそう自分は大丈夫と思えるのか。
    困っている人、弱っている人を大事にしていける社会でありたい。

  • 世代や性別ごとに「貧困」を捉え、解決法などを提言してあって良書だと思った。
    著者が指摘する「やりがい搾取」や「努力しても報われない社会」は若者に限らず、中高年世代にも言えることではないかと感じた。(各企業の定める基準を満たさない限り、ほとんどの中高年がそうなる、それを目の当たりにした若者が希望を持てなくなるという負のループともいえるのではないだろうか)コロナ禍の中、エッセンシャルワーカーの待遇に比して、賃金が伴っていないことが露呈してなお、仕事の社会評価は変わらず、妙なお客様第一主義を振り回す企業に都合よく消費されているのではないだろうか。
    「自助」「自己責任」「(顧客に)期待を超える満足を」を過剰に求める社会は、多くの人を追い込む社会ではないだろうか。(そしてその多くは、社会からの批判を恐れ声を出せずにいる)
    「おわりに」の中で「浅ましい分断が顕著だ」という指摘ももっともだと感じた。発刊から7年経過してるがあまり変わっていないことを恐ろしく感じるが本書が警鐘を鳴らしていることを心に留めながら生きていきたいと思う。

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著者プロフィール

1982 年茨城県生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学人間福祉学部客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。ソーシャルワーカーとして活動する一方で、生活保護や生活困窮者支援のあり方に関し提言を行う。著書に『下流老人』(朝日新書)、『貧困クライシス』(毎日新聞出版)など。

「2018年 『未来の再建』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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