永遠のおでかけ

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 138
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620324906

作品紹介・あらすじ

がんにかかり余命幾ばくもないと言われた父。普段どおりの生活を送りながら、気負わず、でも、かけがえのない時間を父と過ごしたいと願う私。やがて父はこの世界から旅立っていき、ささやかなお葬式が執り行われた。悲しみは波のように現れては消える。私の感情は、どこへ向かうのか? 著者渾身の書き下ろしエッセイ。                      

感想・レビュー・書評

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  • 読友さんから読むべき本として教えてもらった本。益田ミリさんのエッセイは、何気ない日常生活をあるがままに語る。さらに、その素朴さゆえに生活の現実味が増してくる。素朴さの中には愛があり、生きることの大変さもあり、実生活を体験できる、そんな本です。今回の内容は大切な父親、叔父を亡くすというお話し。生前、大切な人を想い、素直に表現することって難しいけどカタルシスにつながるんだろう。さて島根県の足立美術館が途中出てくる。これまで訪れた美術館の中で一番きれいな美術館でした。是非皆さんにも一度は行ってほしい場所です!⑤

  • 一万円選書に紹介されていた一冊。
    益田ミリさん、始めて読んだ。
    お父さんやおじさんなど身近な人を天国に送り、思い出を綴っている。
    あーしたい、こうしたいと看とり側の思いが前に出やすいが、死だって本人のものなんだなって、つくづく思った。
    ただやはり益田さんも書いておられるが、叶えてあげられること、叶えられないことがあると。
    人は生き、いつか死ぬ。自分の思い通りに生きるは、よく題材となるけど自分の希望の死の迎え
    かたって、どうだろう。
    ミリさんみたいに、死もわたしの一部と受け止め、さりげなく送ってもらえたら幸せだろう。


  • 著者の益田ミリさんが、お父さんの亡くなられる前後を中心に書いたエッセイです。お父さんは、時々ミリさんのコミックエッセイなどにも出てきていました。

    身近な人が亡くなるということが、優しくリアルに描かれています。淡々とした文章なのですが、それが逆にリアルだなぁ、と感じました。

    ブログにて詳しいレビューしています*
    https://happybooks.fun/entry/2021/02/02/130452

  • あらすじや本の概要を、事前には知らずに読んだので、益田ミリさん自身の別れに関するエッセイだと、読んでから知りました。タイトル「永遠のおでかけ」に納得というか、そういう本だったのかと、しみじみ感じた1冊でした。
    別れがテーマなので、所々で自分の経験と重ねて思うところがあり涙が出ましたが、読後に優しい気持ちになれる作品でした。

  • エッセイ。益田さんのお父さんが亡くなる前後の心境が中心。
    親が死んでもお腹は空くから何か食べなくちゃいけない。自分が年をとれば、親も年を重ねていく。親にも子どものころの思い出はもちろんあって、生きてるうちにしか聞くことができない。
    あたりまえのようにずっといた存在がいないなること。

    ---------------------------------------

    これまでに読んだ益田さんのエッセイたちとはすこし違う雰囲気だった。叔父さんが亡くなったエピソードから始まり、お父さんの余命宣告や、同級生の死、お父さんが亡くなった後の心境など、明るいとはいえない話題が続く。
    明るくないからといって陰鬱というわけでもなく、死を受け入れながら日常が続く様が書かれていて、うまくいえないけど人生の本質ってこういうことなんだろうなと思った。
    誰かが死んでも自分は食事を摂らなくちゃいけない。
    自分が死んでも他の人の人生は続く。
    だからこそ誰かの人生に関わりたいと思うし、誰かのことを知りたいと思うし、自分のことを知ってもらいたいと思うのかな。

  • あまりにも深すぎる哀しみは、
    例え言葉と化して、誰かに伝えたとしても
    軽くはならない。

    この昏い雲を払ってくれるのは
    時間でしか無い事を誰もが知っているので、隠すわけでないものの、必要が無ければあえて出さないように気遣う話題のひとつではある。
    エッセイは、ミリさんのお父さんが体の不調を訴えてから
    亡くなるまでと、その後ぽつりぽつりと浮かぶ思い出などを
    綴った内容。
    読者の気持ちが灰の雲で覆われるのを防ぐように、天に穴を開け、光零れる様に書き綴ったミリさんの気遣いが感じられた。
    死を無理に消化しようとせず、書きながらアルバムのページをただぼんやりと捲る散歩的な感じが穏やかで良かった。

  • 益田ミリさんの漫画も好きだけど、エッセイも漫画の雰囲気そのままに気負わずやさしい空気が流れている。

    4年前に祖母が亡くなり、昨年弟を亡くした私にはこの本を読んでやっと当時の自分の気持ちが分かったような気がした。
    私は祖母のことも、弟のことも何も知らない。
    もっともっとたくさん話しておけば良かったと今も何度も思う。

    いつか必ず父も母も亡くなる。
    今のうちにもっと一緒に過ごしたり会話したりすべきなんじゃないかと思いつつ、日々の暮らしに忙殺され時間ばかりが過ぎ去って行く。

    著者も父の病状を知りつつも、バッグや靴をショッピングしたり、気になるカフェに行ったりできてしまう。

    悲しみには波がある。

    死をテーマにしたエッセイではあるが、決して暗くなりすぎず、笑い飛ばすだけでなく、死も悲しみも後悔もちょっぴり薄情な自分も優しく包み込んでくれる本でした。

  • エッセイ。父の死。

  • 一つ一つの話に心がグッときた!
    叔父の死、父親の死、父親の昔話…
    ほろほろと涙が出てきた。

    たまに出てくる話が終わった後の一言に
    心が穏やかになったり、勇気付けられたり…

    『白黒つけず、川の流れのようなつきあいがあってもよい。』
    『なにかを処分したところで思い出は失われないのだと思った。』

    ずっと読み渋ってたけど読めてよかった♡

  • 普通で、素敵で、良い親子関係で、羨ましい。
    読後感の良い素敵な本だった。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に『欲しいものはなんですか?』『みちこさん英語をやりなおす』『そう書いてあった』『今日の人生』『しあわせしりとり』『すーちゃん』シリーズ、『マリコ、うまくいくよ』『僕の姉ちゃん』シリーズ、『スナック キズツキ』『ツユクサナツコの一生』『ヒトミさんの恋』『ランチの時間』等がある。

益田ミリの作品

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