- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620327303
感想・レビュー・書評
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PTAのひきこもごもについての奮闘記
事務的な機能とコミュニティ的な機能を同時に追い求めたがゆえの機能不全が描かれている
ボランティア活動なのに不参加理由の提出を求められたり、活動内容に応じたポイント制度、コスパが悪いのに続けるベルマーク活動なども事務的な効率から考えると理不尽で無駄だが、コミュニティ活動と自己実現の場として捉えると意義を理解することもできるかもしれない
が、そういったものはPTAとしてやることでもないので別の場を用意するのが良いのではないか
著者の効率重視からメンタリングへの理解を深めたあとの対応も興味深かった
コミュニケーションの場
組織の目指すゴールと役割および手段
ボランティアとはもともと不公平で任意なもの
リーダーとは現状を理解しメンバーに共有し意見を引き出した上で方向性を示し決断する者
オペレーターは継承してきたフローに沿って処理をすすめる者
筋の大切なところでは曖昧なことを言わない
個の能力をシステムに落とし込む
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この本を読んで強く共感した
でもこの共感は自分の仕事についてだった
変化を嫌う(恐れる)先輩達。でもどうにも気になるし改善方法もしっかり見えてて、エイヤッと動くと叩かれること数度
大事なのはそこから先。というかもっと手前にあったと反省した
やり方、進め方、慮る心遣いが足りてなかった
自分本意だったと今は思う
と、そこまでわかればこれからどうするかが考えられる -
政治学者のPTA会長の奮闘記。
ときおりPTAの意義や歴史にも触れてくれるため、PTAの現状を理解するのに非常に参考になる。
しかし、リーダー気質の大学教授とオペレーター気質の保護者たちの対立が、日本の縮図のようでおもしろかった。 -
この学校のPTAって本当に大変、、、と思った。
うちの子供の学校はかなりスリム化されていたんだなーと実感。(PTAの活動内容に関しては)
PTA会長の役割って見えないところで、たくさんあるのだな、頭が下がります。
共感したのは、PTAの役員会に出るために、小さいを祖父母を預けたりするのは本末転倒だと思う。
子供のためといいながら子供を犠牲にするようなことは本当にやめてほしい。
サークル的に気軽に子供のために参加できるような気楽さがあれば、、、と思うがなかなか難しいのかな。
世の中のPTAに関わる保護者の負担?がなくなって、楽しくできたらと思った。
コロナの時に、新1年生入学前プログラムというのはいいなと思った。入学前いろんなわからないことがあるが、知り合いがいないとなかなか聞けない。(私自身もそうだたったので)そんな保護者が結構いるので、やってもらえたらありがたいと思った。 -
PTAの本がなかなか出てこない中、この本はすぐ読めるので、教員となる学生がPTAについて知るには役立つと思われる。
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政治学者である著者がひょんなことからPTA会長に推薦され、旧態依然としたPTAの現場に驚愕しながらも、あるべき姿を再定義し、改革を進めていくお話。
これまでPTAは伏魔殿のように、何やら外部からは理解ができないが、とてつもなく大変で多くの保護者が苦しんでいる場といった印象しかなかった。
それが、どういう過去の経緯や、多くの人の自己犠牲によって成り立ち、そして保護者を苦しめているのかを解明し、PTAはボランティアであり、ボランティアとは不平等なものであるという原則から、無理のない運営へと変革していく姿は大いに学びになった。
特に、保護者の気持ちを慮った結果、必ずしも経済合理的ではない活動をあえて残したりという、企業活動とは全く異なる側面も参考になる。
一読の価値あり。 -
とてもおもしろかったです!
正直、PTAは必要ない組織だと思っていました。
イベントをしたいなら発案者がその都度ボランティアと募金を募れば良い、集まらなければその活動は求められていないと言え、中止すれば良いだけではないかと。
半強制的に人手を確保し、金銭提供も自由と伝えずに徴収することは組織として本来の目的から破綻していると考えていました。
本書ではまさに組織理念から運営ルールまで「正しい内容」を熟知している著者が、「数十年経ちひとり歩きしていたPTA」の会長になることでその折り合いを測るすったもんだが描かれています。
苦行と言われることの多いPTAだけれど、そこを構成する人員に悪人はおらず、だからこそ軋んだときの解決策が見当たらず息苦しさに襲われる。
そんなアレコレをどう解決したのか。
風通しが良くなった大きな要因など、これからPTAになるかならないか、PTA会費を支払うか支払わないか、支払うとしたらどの程度支払うのか。
気になった方には是非読んでいただきたいです。
望まず役員をすることになったけれど、モヤモヤが晴れない、そんな方にも是非。
いろんな方が納得したうえでPTA活動にのぞまれますように。 -
このPTA改革、男性で大学教授で年齢も少し上という条件を抜きにしては実現しなかっただろう。そうは思うものの伝統と言う名の連綿と続いている体制を変えることの大変さ、そしてコロナでわかった別に要らない活動など、面白く読めました。
学校に対抗する窓口としては何か必要だと思いますが、実際やっている活動はすべて必要ないと思いました。 -
p085 日常とは化け物だというのが僕の口癖だ
p098 リーダとオペレータ
p100リーダーとは、不透明な事態と環境をよく観察して、「今我々が立っている地点はここだ」と言葉でメンバーに説明して、与えられた条件で我々がいまできることを可能性ごと切り分けて、メンバーの意見を引き出して、不完全情報の世界で苦しい決断をして、その結果を真っ先に受け止めるものだと僕は考えている。我々の選択肢はこれだと言葉で指し示す人間だ
一方オペレータは、「先人がもたらし鍛錬した手引をきちんと継承して、書き足して、それを厳密に対応することで失敗や誤謬の確率を下げて、計画通りの結果を安定的に確保するための管理人だ。ゆるぎのない平時を獲得するための、地味だが大切な仕事だ。協働を通じて、組織を運営するのに、優秀なオペレータが必要なのはいうまでもない。そして、リーダとオペレータの比率は半々である必要はない。現場において,優秀なオペレータがたくさん必要なのだ。
p102 人は、人の言葉を受け入れる基盤がことなると、それが聞こえない
この世界をうまく作動させ、機能させるために、この2種類の人間がいる。リーダとオペレータだ。リーダとオペレータは敵対するような関係にはない。担うべき役割が異なるだけだ
p119 とにかく大切なのは正論ではない。「眼の前にいる人のこと」を考えるだ
p153 ボランティアとは本来不平等なものという出発点だ
ボランティアとは、もともとは「求める」「欲する」という意味の「ウォロ」というラテン語から生まれた言葉だ。そこには「人と比べて」という発想はない。「あたしがやりたい、やってあげたい、やらずにはいられない」からやる、というシンプルな前提があるだけだ。
他方、平等という考え方には、必ずなにかを基準に他者を比べるという発想がある。
p180 スリム化っていうのはとにかく数を減らすことだけじゃなくて、必要な筋肉をつけるということですね
p184 ベルマーク運動 ガス抜きの場
p212 でも問題はその伝え方だった。相手の大切にしているものを丁重に扱いながら、やりとりをすればよかったのだ