校閲至極

  • 毎日新聞出版
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620327877

感想・レビュー・書評

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  • 何かを生み出すわけではないが、多くの人に分かりやすく読んでもらえる、とあった。

    分かりやすさを生み出しているけどな、ちゃんと。

    ほとんど誰の役にも立たない、でもこういうのが面白いという人が世の中にいる、ともあった。

    役に立っているけどな、ちゃんと。

  • 正確で誰も傷つかない文章を書くのはとても難しい。あらゆる知識を総動員して同じ文章を何度も何度も読み直しチェックする。技術と経験が必要なお仕事ですね。読み手としても正しい文章を見極める目を持ちたいと思いました。

  • 校閲至極 - 毎日新聞(有料記事)
    https://onl.sc/9sSyrn5

    毎日ことばplus
    https://salon.mainichi-kotoba.jp/

    校閲至極 | 毎日新聞出版
    https://mainichibooks.com/books/business/post-635.html

  • 新聞を印刷する前に誤字・脱字、記述のミス等を
    チェックし、修正する、校閲記者たちの拘りのエッセイ。
    第1章 校閲って何?
    第2章 同音の語があふれている
    第3章 カタカナ語の落とし穴
    第4章 「いかにもありそう」が命取り
    第5章 問題は言い回しにあり!? 
    第6章 辞書の中の奥深い世界
    第7章 ところ変われば・・・・・・
    第8章 名前は唯一無二のもの
    第9章 確認は文字だけ? いえ無限です

    『サンデー毎日』の連載コラムの書籍化。
    誤字・脱字をチェックするだけでも大変なのに、
    多様で無限な幅広い範囲での言葉の考察をも、チェックする。
    それらをそのときの話題や国内外の情勢、
    校閲記者の趣味などを交えて、綴られるエッセイ集です。
    平仮名、カタカナ、漢字に、数字と漢数字、記号ばかりではない、
    ハロウィーンかハロウィンか?丸の内か丸ノ内か?
    数字と単位、日付、数え年のミステリー。
    言葉は生もの。「ばえる」の浸透、ら抜き言葉の使い方。
    「ポチる」はボヤッキーのセリフが由来?
    辞書においての記述の変化。
    悩ましい方言とご当地言葉。ミスは禁物な氏名と地名。
    ブクログのレビューやブログ、SNSの書込みでも、あるある。
    エッセイながらコラムなので短い文章ではありますが、
    校閲の、言葉の奥深さを大いに感じさせてくれる内容でした。

  • 『サンデー毎日』に掲載されていた、校閲記者たちのコラム『校閲至極』を集めて書籍にしたもので、1つのコラムは3ページくらい。

    冒頭のコラムに出てくるドラマ、「校閲ガール河野悦子」、珍しく私も見てたなぁ。石原さとみさんがかわいくて校閲の徹底ぶりもすごくて、こんなことまで調べるの!?と思ったっけ。

    2025年の関西・大阪万博についてのコラムより。
    運営側の発表した万博イメージ図に「外国人や家族連れは描かれているが、障害者は見当たらない」との指摘があったらしい。けれど、「障害者=見た目でわかるもの」としてしまうのは良くないし、もっと言えば見た目から「外国人」と判断した表現も気になったとある。
    出版物などの表現によって無意識に定義付けされていくことをできるだけ避けたい、ということは他のコラムにも書かれていて、校閲の皆さんが高い意識をもって仕事に臨んでおられることを知った。

    とは言え、出版物には校閲をくぐり抜けた多くの誤りが見受けられるのも事実。
    ほかの本でも読んだけど、出版物の間違いは、どんなに気をつけていてもゼロにはならないらしい。
    こないだ読み終えた『マリエ』も、辻褄の合わない表現があった…(その箇所、読んだ人みんな、???となったはず)
    とある本の感想を毎日新聞の広告に載せていただいたことがあるけど、字数を減らすため少し表現が変えられていてそのせいでおかしな文になっていた。本の紹介文を載せていただく時は、自分の文章として名前を出しているだけに、あまり間違えられたくないけど、何回かある…。

    私もできるだけおかしな表現は避けたいので、なんだか同業者みたいな気持ちで読んでしまった。
    正しい表現のための『毎日新聞用語集』が欲しくなった!

  • 毎日新聞校閲センターで、校閲記者を務める皆様による連載コラムの書籍化。
    同センターが運営されているウェブサイト「毎日ことばplus」は、仕事で言葉の取り扱いに悩んだ際よく参考にさせていただいている。
    私はおもに文芸がメインだけれど、新聞の現場でおこなわれている校閲の様子をとても興味深く読んだ。
    やっぱり常にスピード重視だし、誤りやすい固有名詞がわんさかな上に、未知のジャンルの専門用語も次々と飛び出して大変そう。単純誤植はもちろん、事実確認や写真との整合性や単位の間違いなど、確認しなければいけない事項は多岐にわたる。
    そして、限られた紙面だからこそ常に端的でキャッチーな言い回しが求められ、その用法が正しいかどうかが絶えず問われるというのも、校閲記者としては頭を抱える要因の一つなのだろう。
    メディアのなかでも報道の要として数多の事象を取り上げる新聞であるからこそ、「障がい」や「(新型コロナウイルス感染における)汚染」等、差別的・不適切表記でないかどうか、言葉の言い回しに対してとても敏感で慎重である姿勢も尊敬したい。
    実用的で勉強になるだけでなく、エッセイや読み物としての満足度も高い内容でした。

  • 校閲という仕事は、考えることが多くあり、歴史も科学も地理も、政治も法律もスポーツも芸術もなんでも知っておかないといけないし、その都度調べて、その時代背景も含めて正さないといけない大変な仕事なんですね。
    その中で面白かった例ですが、
    「きみの膵臓が食べたい」「かがみの狐城」「蜂蜜と遠雷」と目で見ているとスルーしてしまいました。(「君の膵臓をたべたい」「かがみの孤城」「蜜蜂と遠雷」が正解)
    「会議中は外部者以外立ち入り禁止となっている」
    これでは外部者入れますね。

    昭和時代では当たり前の表現でも今では傷ついてしまう、男女比やジェンダー、マイノリティなども配慮したこともデリケートに校閲した改訂版もたくさんあるようです。

    校閲専門家はなんでも知っている雑学王でもありクイズ王でもありますね。広辞苑と大辞林、岩波国語辞典と三省堂国語辞典とにらめっこ。
    「雨模様」は2009年まで雨が降る様子では誤用でも2010年からは誤用文が無くなったりして、辞典や辞書も時代変化に順応しているようです。

    わたしも今後気をつけたいけど、見つけにくいところほど見落としてしまう文字ばかり。疑うことを訓練にしていきたいと思います。
    満悦至極でした。

  • 校正は字句・表現、体裁の誤りを正す。
    一方、校閲はファクトチェックも行う。
    本書は、毎日新聞の校閲部の記者さんたちが、業務で出会ったさまざまな事象を、時にご自身の失敗談も交えたコラムをまとめたもの。
    その守備範囲の広さに、びっくりする。

    たとえば、小津安二郎の映画『晩春』に言及した原稿。
    ヒロイン曽宮紀子が小野寺を「おじさま」と呼ぶ。
    原稿では彼を「叔父さま」と記していたが、本当にそうなのかを調べたりする。
    伊勢の観光PRキャラ「はなてらすちゃん」が「はなたらすちゃん」になっていたりする誤植を発見する。
    インタビューでの方言を、記事にするとき、どう扱うか。

    地名は本当にやっかいだそうだ。
    目黒駅につける「東京都〇〇区」の注記。
    うっかり「目黒区」としてしまっていないか。
    駅名は「虎の門ヒルズ」なのに、ビル名は「虎ノ門ヒルズ」だったりするトラップがある。
    クイズコーナーの迷路を解いて、本当に答えが一つになるか、色彩表現は適切かどうかもチェックするとも。

    対象への固定観念を植え付けることがないように、という配慮も、新聞社として大切にしていることが伝わってくる。

  • T図書館
    サンデー毎日連載コラムをまとめたもの
    恐悦至極にかけている
    ブクログきっかけ

    校閲と言えば、本好きの皆さんなら好きな方も多いのではないだろうか
    読んでて飽きなかった

    印象に残ったもの
    ・殺人事件は、自殺や事故の可能性があったとしても起訴すらされてなくても殺人事件
    ・遺体を運んだ 2人
    その2人の主張は運んだ時には生きていた
    公判の原稿を「男性を運んだ」と直した
    ・「ら」抜き言葉は、話(言葉)では普通になった
    新聞とテレビでは「ら」を入れている
    ・ろくろの説明の中に、木地細工などで円い挽き物を作る工具とあった
    ろくろは「ひく」ものだった
    ・鼻を曲げる→機嫌が悪くなりむっとする
    先生にかけられる→指される
    大洋紙→模造紙
    みんな新潟の固有の言い方、方言だ
    熊本や佐賀では広洋紙(ひろようし)
    香川や愛媛では鳥の子用紙(とりのこようし)
    伝わらないものは標準語に直さなくてはいけないが、地元言葉は残しておきたいものだ

  • 校閲の仕事の素晴らしさ、日本語の難しさがとても伝わる本。1つのお話がとても短いので、空き時間も楽しめる。

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