- Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
- / ISBN・EAN: 9784621089323
作品紹介・あらすじ
3億年以上のあいだ、その姿をほとんど変えていない「生ける化石」シーラカンス。陸上生物の手足のように太いひれを持つこの魚は、生物の陸上進出の謎を解くヒントになるのではないか、と注目されてきた。2013年、そんなシーラカンスの全ゲノムが解読される。はたして、その結果何が明らかになったのか…?その成果を今まで化石の研究より明らかになっていた事実と合わせることにより、生物の進化に関する新しい知見が続々と得られつつある。日本のDNA研究の指導的立場にあり、古生物学や進化にも造詣の深い著者が、シーラカンスのゲノム解読の結果をはじめとする最近の生物進化研究の成果をわかりやすく紹介し、進化の要因について論考する。
感想・レビュー・書評
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農学部図書館の学生アルバイトの方に、おススメの電子ブックを推薦いただきました。
☆推薦コメント☆
生きた化石と呼ばれるシーラカンス。地球上で様々な生命が生まれ、絶滅していった中で、なぜシーラカンスはその姿のまま生き延びることができたのか。2013年に解明されたシーラカンスのゲノムDNAをもとに、生物の進化について考察する。
本書の後半では我々人類の進化についても触れているが、人類の誕生により急激に地球環境は変化し、すでに第6の大絶滅期にさしかかっているのではないかと筆者は考察している。
シーラカンスを軸としながら、生物の進化の歴史やDNAの変化などについて詳細に解説されており、興味深い内容だった。シーラカンスについてそれほど詳しくなかったが、冒頭にあるシーラカンス発見にまつわるエピソードは非常に面白く読むことができ、機会があれば化石や実物を見てみたいと感じた。
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです(電子ブックで利用できます)☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/NB00183989
※学外から利用する際は、こちら↓のリモートアクセスをご利用ください
https://www.shinshu-u.ac.jp/institution/library/find/r-access.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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海から陸へ、生物の進化の謎を解く鍵として注目される、陸上生物の四肢への変化の元になったような、根本が太いヒレを持ち、今も存在し続けているシーラカンスや肺魚。
本書は、シーラカンスや肺魚のDNA解析をきっかけとしながらも、本質的にはDNA・ゲノムDNAにもとづいて生物35億年の進化の歴史をたどる壮大な一冊です。
科学者である著者が、その専門知識に基づきながらも、一般の我々にとても分かりやすい文章で、進化の要因・しくみ・歴史について、教えてくれます。
本書の最終章(5章)では、「恐竜滅亡後の世界」と題して哺乳類、特に我々ヒトの進化の歴史について触れていますが、科学者である著者の本章での言葉が印象的でしたので、以下にご紹介させて頂きます。
【本書抜粋 大石道夫】
現在の地球上にいるさまざまな人種は、たかだか約20万年のあいだに生じてきたとすると、我々ヒトの祖先がこの20万年のあいだに、一世代を30年とするとせいぜい数千世代のあいだに、ゲノムDNA上に変化が起き、現在地球上にいる多くの人種の顔つき、肌や髪の色の違いを示すようになったと考えられる。
いっぽう、わずか20万年のあいだにゲノムDNA上に起こる変化は非常に少ないために、見かけ上はともかく地球上の人種間の生物的な違いは小さい。DNAからみると我々ヒトは生物としてほぼ均一に近い。
もちろん、人種、民族間の宗教の違いなどあるが、これはDNAとはまったく関係ないものである。すなわち、我々のさまざまな人種は、基本的には同じ知的、身体的能力を持った生命体と考えてよい。
(中略)このように現在の人種が確立するのにわずか20万年しか時がたたず、ネアンデルタール人などの旧人との遭遇も比較的最近で、人種間のゲノムDNAの違いがきわめてわずかであることは、我々にとって人種間の調和という点だけみても大変幸運なことであったと言える。
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請求記号 487.6/O 69