- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622004561
感想・レビュー・書評
-
対談ということで多少読者にわかりやすく書かれているはずだと思い入門書として手に取ったが、やはり一行読むのにも相当苦労を要する本だった。けれど、レヴィストロースの言わんとすることの多くは理解できるものだったし、これも勉強と考えるなら収穫はあった。
例えば、レヴィがいわゆる「熱い社会=近代文明」の発生が文字の存在を根拠にしていると考え、それが権力の権力性を生み、階級制を生み出す要素だととらえていたこと。これは学術的な解釈として面白いと同時に、彼が批判したサルトルの実存主義的マルキシズムにとって致命的な理論であったことは、少ない予備知識を持った自分でも容易に結びつけて考えられる。一方、未開社会では文字がないので特権階層が歴史の中でその権威を蓄えることができず、結局は口承=慣習による支配のみが、その社会の背骨になるのだとレヴィはいう。文書主義の官僚社会において、階級闘争の終焉は得難いとはこのことか。何かそんなことを考えた。
だが、こうしてなんとか読み取れたレヴィの考察を僕自身全て受け入れたわけではないし、彼自身その構造主義的観点が実際社会(今動いていて、事実解決すべき問題に直面する社会)において、やや現実からかい離した主張であることもまた主張できる。その点、考える余地のある分野を見つけたというので、いい刺激になったと思う。あと、最後に、四章ぐらいからか、自然派絵画に関する議論もあったのだけど、分野外過ぎてまったく意味が分からず、大概読み飛ばしっちゃた。
その他色々面白かった話は合ったけれど、長くなるのでここで終わり。途中間違った解釈があるなら、すべて僕の勉強不足です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
レヴィストロース一人で喋っている方が考察がふかい気がする。