南方郵便機

  • みすず書房
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本棚登録 : 67
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622045212

感想・レビュー・書評

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  • 『南方郵便機』は、執筆時に現役郵便飛行士だったサン=テグジュペリが、実人生を活かして創作した小説です☆

     フランス~アフリカ間の定期郵便機の操縦士・ベルニスが愛するのは、美しき人妻ジュヌヴィエーヴ! 実は、彼女が少女の頃から焦がれていたご様子★
     裕福な暮らしを送りながらも夫との生活に倦んでいた彼女を、ベルニスは華麗にさらっていこうとしますが、逃避行の行方は……!?
     ベルニスは骨の髄から飛行機乗りでした★ 命がけで郵便物を運び、ようやく着陸したかと思えばまた飛び立つ稼業をやめられず、衝撃の結末へーー

     テグジュペリといえばフランスの作家、フランスといえば恋愛の国……♡ と勝手に期待する日本人に(たまたま)応える、ロマンティックな物語でもあります★

     次作『夜間飛行』(https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/410212201X)の支配人や部下らは、郵便輸送業へ一直線に打ち込んで迷わぬ人々です(前に読んだときはリヴィエールも苦労したんだな……と思ったけど、彼の意志は揺らがず、復活が早い★)。仕事一徹ゆえに、恋愛事からは距離を置いている人物も★

     対する『南方郵便機』は、センシャルな魅力を帯びた小説☆ 飛行士ベルニスは、地上では恋愛の真っ只中で悩む青年。心の中で幾度となく「ジュヌヴィエーヴよっ!」と彼女の名を唱え、悶えるのです。
     本業のフライトも危険がつきもので、幻影や妄想のなかを飛翔し、怪しい思考が入り乱れます……

     今日読むと、郵便飛行の黎明期を知るうえで、価値ある資料でもある本書★ 主人公がパイロットのため、飛ぶ人間がどんな感覚や心境で大空に挑んでいたか、内面生活をうかがえる箇所が多いです。
     天候不順や機体の故障のリアリティ。事故の際はどんな対処がなされたかなども興味深い!
     恋愛小説でもあり記録文学的でもあり、一作で両面を味わえるお得感(!?)もあるこの作品、すっきりとは終わらないからこそ、何度も再読したくなります。

  • 著者処女作。世界的に有名でも最初ってこうなんだと勇気が湧きます。とてつもなく難解でした。

  • 浪漫だなぁ、と思う。
    飛行機も女も。
    いずれも求められているのは実際の存在ではなくて、自己の投影。
    美しい文章で、整った作品だと思うのだけど、妻コンスエロの随筆を読んだために生身の生活がチラついてしまって、適度な距離を取れなかった。
    時間を空けて再読したら、もっとじっくり浸れるかも。

  • 訳がちょっと。堀口大學が訳してくれればよかったのに。残念。

  • 請求記号:958.7サ
    資料番号:010043354

  • 持ってるのは文庫。
    乾いた大地と星降る夜を、誰かへの便りと誇りを胸に、ときに不時着して命を落とす者がいたとしても、飛行機乗り達は今日も空に羽ばたいてゆく。
    舞台も何もかもが違うのに、あたしの頭の中では主人公はポルコ・ロッソになってる。

  • 夜間飛行で疲れて読まない人もいるかもしれない。でもそれは大きく間違っている。
    南方郵便機こそ傑作だと思う。

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