夜、空をとぶ (詩人が贈る絵本)

  • みすず書房
3.56
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本棚登録 : 76
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622047254

感想・レビュー・書評

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  • ◆米詩人ジャレルの遺作絵本。絵を描いたセンダックはこの物語に「少年の心の飢え、満たされない心の激しい痛み」を読み取ったという。◆一人ぼっちの少年は、夜に、空を浮遊する。父母やヒツジたちの見る夢を覗き見たり、猫やウサギの詩を聴いたり、フクロウの語る暗示的な物語(空飛ぶ練習・一つ(父?)の死・母の抱擁に終わる)を聴く。◆「空を飛ぶ夢」は〈自由・性・理想〉への欲求といわれるが、少年が自立の頃を前にして家族の(特に強い母の)愛の中から生まれ出ようとしてもがき苦しんでいる・夢から覚められない夢といった印象を受けた。◆センダックは浮遊する少年を全裸に描く。なまめかしく、幻想的な線画である。◆センダックが見開きの最も大きなイラストの一部に「赤ん坊の自分と、抱いている母親」を描きこんだことでも有名な絵本。◆終盤、母親の視線が物語を大きく支配している。村上春樹の「不思議な図書館」を思い出した。◆もやもやとした読後感。時間をおいていつかまた図書館から借りて読む気がする。【2013/10/26】

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「心の激しい痛み」を読み取ったという。」
      センダック自身が、痛みを持っていたからでしょう。とても淋しげに見えますから、、、
      「心の激しい痛み」を読み取ったという。」
      センダック自身が、痛みを持っていたからでしょう。とても淋しげに見えますから、、、
      2014/04/18
  • 美しいセンダックの挿絵

    これは、詩。

    昼間のデイヴィッドは、ヤナギのきのうえ、ツリーハウスにひとり。

    遊び相手は猫と、犬と。


    夜になるとかれは、空を飛ぶことができる。
    両親の寝室、両親の夢、
    そのままデイヴィッドはポーチを抜けて、外へ

    猫がいう。
    「夜にめざてて、夜にとぶ。
    森は黒い、森は白い。
    月の光の中で、ねずみたちがおどっている。」

    やがてデイヴィッドは
    白と、茶色の、大きな瞳の、
    フクロウに導かれ、フクロウの森の物語をきく。

    小さな白いフクロウは、
    小さな白い妹を見つけ、
    幸福に巣にもどる。。

    夜が明ける前に、
    大きなフクロウが、デイヴィッドを窓へと導く。
    (……)のように。

  • サティのジムノペディをそのまま絵と文に写しとったような、幻想的な絵本。

    眠れない男の子が空をとぶイメージをふくらませ、夢か現実かはっきりしないままに物語は進みます。

    結末をどう解釈するかは読み手に委ねられています。

  • どうして裸なのかな?分からない。夜、夢のなかなのかな?男の子が裸で飛んで、色々な動物に出会うのだが。幻想的な話。

  • 絵がモーリス センダック『かいじゅうたちのいるところ』裸で空を飛ぶ。艶かしい。
    夜になると空を飛べる少年の、夢のような世界を描く。朝起きて母に話していつもは忘れている全てを思い出す、という話。
    うーん、内容がどうもしっくりこない。アメリカ詩人作。日本人には馴染みの薄い、牧場があり、自然が豊か、動物たちの会話が聞こえてくる…美しい描写だが、なんとも…

  • みすず書房 長田弘選「詩人が贈る絵本」1から
    原題 Fly by night
    Randall Jarrell ランダル・ジャレル
    Maurice Sendak モーリス・センダック

    ジャレルは、20世紀を代表するアメリカの詩人のひとり。1965年に自動車事故で52歳で死亡

    センダックが母と自分を描いた絵本
    「ぼくは自分自身をこの絵本のなかに赤ん坊のすがたで描いた。この本には1枚、見開きの絵がある。そこに、母の腕に抱かれたぼくがみつかるはず

    この詩で、「まよなかのだいどころ」を書いたのだな

    主人公デイヴィッドは夜だけ空をとべる
    昼間にはそのことすら覚えていない

    空をとびながら、動物たちをみる
    最初はレッディ 灰色のシマ猫
    ねずみたち
    灰色ウサギ
    ヒツジたち
    そして、フクロウ

    目が覚めると、夜のことはすっかり忘れてしまっている
    朝、おかあさんに起こされて、なにかを伝えたいのに、覚えていない

  • 少年が夜、空を飛ぶ絵本。人の夢を見れ、梟になる。
    子供の頃は飛ぶ夢を見て色々なところに行ったことを思い出す。話としては何でもないが、既視感と言うか、妙な親近感を感じる。
    凄くよい素材を見つけたのに、ストーリーがピンと来ない所は残念で、この題材で自分で何か書けないものかと考える。

  • 久しぶりにセンダックさん。浮遊する子どもの絵柄はまさに「まよなかのだいどころ」や「かいじゅうたちのいるところ」の描写に通じるところありですね〜。

  • 「詩人が贈る絵本シリーズ」の一冊。
    センダックが母と自分を描いたことで名高い、見開きの1ページに秘密があります。

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ランダル・ジャレルの作品

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