- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622076582
作品紹介・あらすじ
1942年11月、スターリングラードのドイツ第六軍を包囲する赤軍の大攻勢は、百時間で決着した。戦争の帰趨を決する戦闘が終わった。反ファシズムの希望、世界の目をくぎ付けにした都市は廃墟になった。その瞬間からスターリンは、ユダヤ人殲滅の剣をヒトラーからもぎとり、やがて国内のユダヤ人にふり降ろす。戦後の自由な暮らしを夢みて戦った国民に、一国社会主義の独裁者はたがをはめ直した。物理学者ヴィクトルは、核反応を数学的に説明する論文を観念論的と批判される。彼は懺悔をしなかった。失職して逮捕される不安に怯えながら、良心を守ったことで心は澄んでいた。ところが突然、スターリンからヴィクトルに電話がかかってくる。状況は一変し、彼は称賛に包まれるが、原子爆弾開発への協力をもはや拒否できない。困難の中で守った自由を、栄誉の後で失う人もいれば、幸せな記憶ゆえに苦難に耐える人もいる。栄光、孤独、絶望と貧窮、ラーゲリと処刑。いかなる運命が待っているにせよ、ひとは人間として生き、人間として死ぬ。この小説は、個人が全体主義の圧力に耐えるのがどれほど困難だったかを描いている。奇跡のように生きのびた本が今、日本の読者を待つ。全三部完結。
感想・レビュー・書評
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おすすめ資料 第158回 (2012.10.5)
20世紀ロシアの作家で、ワシーリー・グロスマンをご存知でしょうか。
グロスマンはウクライナのユダヤ人家庭に生まれた作家であり、従軍記者でもあります。
本書は第二次世界大戦時のスターリングラード攻防戦を舞台にした歴史小説です。
一度はKGBによって原稿を没収されましたが...数十年の時を経て、ついに今年日本でも刊行されました。
全三部作とボリュームたっぷりですが、ぜひ挑戦してみてくださいね。 -
これに限らず現代社会に生きる以上、人生は大なり小なり己が生まれた国家に翻弄されずにはおられないわけで。けど、たとえ翻弄されたとしても、人としての尊厳を見失わなずに生きていく姿勢を保つことが最良ではなかろうかと。ただ、それを貫くことの難しさをも指摘している…と思うのです。
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人生と運命1にレビューを載せています。
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ぎくしゃくした翻訳本はつまらない。不毛地帯の勝ち。