チョコレートの帝国

  • みすず書房
3.82
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本棚登録 : 91
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622076865

作品紹介・あらすじ

米国の二大製菓会社ハーシーとマーズ。創業者達の素顔や戦争とチョコレートの知られざる関係など、米大衆文化を象徴する菓子に秘められた壮大な物語を追う。

感想・レビュー・書評

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  • 女子栄養大学図書館OPAC▼
    https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000012426

  • 映画ETでの使用エピソードが面白かった

  • アメリカのチョコレートといえば、ハーシーの板チョコやキスチョコ、マーズのM&M、スニッカーズが思い浮かぶ。この互いに鎬を削ってきた二社を軸に、アメリカのチョコレート業界の歴史を綴る。最初の話題は湾岸戦争時の溶けないチョコレートにまつわる秘話。徹底的な秘密主義のマーズ社が初めて取材を許したのがこの著者で、これまでのところ稀有な事例らしい。

    ミルトン・ハーシーが板チョコを売りだしたのは1900年。ミルクチョコレートを開発し、莫大な利益を得たミルトンは、思い描いた理想に従って工場を中心とした街を築く。一方のマーズ社はフランク・マーズが1922年に創業したが、今日の基礎を築いたのはその息子フォレスト・マーズ。父と袂を分かってフォレストが最初に手がけたのが、1940年発売の「お口でとろけて手でとけない」M&Mだった。しかしこのM&Mは、ハーシー社社長の息子、ブルース・ムリ―との合作だったらしい。徹底した品質へのこだわりと強力な手腕で、マーズは急速に成長してゆく。

    理想主義で新しいことに没頭するミルトンと、品質と社内支配に完全を求め続けるフォレスト。二人の対照的なキャラクターは、ハーシー社とマーズ社の社風にも大きな影響を与えている。二社がどのような道を歩んだかを、チョコレート製法の技術革新や社会の変化をまじえながら記してゆく。

  • 【一つ一つのエピソード、話が抜群に面白い!】ナショジオの米国のフード産業歴史番組を観て、番組中の著者コメントに惹かれ購入。当たり!でした。自分がチョコレート好きというのもあるが、チョコの由来、発展が、ここ迄深いとは知らなかった。チョコそのものの話も面白いが、真骨頂は、やはりハーシとマーズ社の競争だろう。両社の商品に対する厳格な品質管理を知って、ただチョコ好きなだけでなくブランドが好きになりました。この本の中には、多くのマーケティングのエピソードがあり、その一つ一つが非常に腑に落ちる。”その地域に進出する理由”を説明するのではなく”その地域に進出しない理由”を問われる。身震いしました。こういった形だから、伸びる会社は伸びるのですね。

  • ノンフィクション

  • 米国の二大チョコレート会社であるハーシーとマーズの争いについて書かれた本。多くの関係者へのインタビューをもとに、平素からベールに包まれている巨大企業の実態を暴いた名著といえる。
    「1940年代、マーズとハーシーが同業者を一気に蹴散らしました。大手はますます大きく、中小はますます小さくなった」p40
    「ニューヨークからロサンゼルスまで、すべてのドラッグストア、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、オフィスのラウンジ、カフェテリア、ドライブインにキスチョコを置く。目に留まれば消費者は買う。これが菓子メーカーの金言だ」p42
    「マーズファミリーは「フォーチュン」誌の億万長者ランキングで世界第三位の大富豪だ」p45
    「(マーズ)年間売上は200億ドル。ビジネス規模はナビスコ、マクドナルド、ケロッグより大きい。北米市場では宿敵ハーシーに負けているが、世界規模になるとマーズの売上はハーシーの4倍だ」p45
    「(マーズ)役職に関係なく、隣り合った席で働く。個人秘書は誰にもつかない。コピーは各々自分で。電話も個々人が受ける。出張はエコノミークラス。会議は必要なときに限る。プレゼンテーションを練り上げるのは時間の無駄」p49
    「(マーズ社長の)ジョンとジュニアは1日10時間、週に7日、休みなく働く。額に汗する必要はなくカリブ海の島々で悠々寝転がって過ごせる身分でありながら、ふたりは世界中のマーズ工場を視察し、各事業を直接監督する」p53
    「ジョンとジュニア、ジャッキーの三人は子供の頃、色とりどりのM&Mを一粒も食べたことがなかった。お前たちに食べさせるチョコはない、と彼らの父親が言ったから」p57
    「ミルクは水分89%。チョコレートは脂肪80%。水と油の関係と同じく、水とチョコレートは元来混ざらない。このような理由から、ミルクチョコレートは、ごくごく最近の発明なのだ」p112
    「(マーズ社長)フォレストはどんな細かい痕にもうるさかった。チョココーティングの表面の誰も気づかないような傷ひとつで、すべてを廃棄させたこともあった」p222
    「フォレストはかんかんに怒っていた。ロサンゼルス郊外のセーフウェイでM&Mを買ったら「m」の縦棒が途中で消えているものがあったらしい。「シリアルナンバーを調べてすべて回収せよ」と言われました」p223
    「(フォレスト)一文無しほど良いものはない」p287
    「1972年、公益科学センター(CSPI)のマイケル・ジェイコブソンは菓子やその他不健康なスナック類を総称して「ジャンクフード」と名付けた」p293

  • マーズとハーシーを中心に、両社の創業者、開発競争、広告戦略、グローバル展開、企業買収などについて書かれたルポ。関係者の証言などを交えて多角的に描かれている。印象としては、
    ハーシー:CSR的家父的、ユートピア、新製品、広告遅、米国内、買収問わない
    マーズ:一族支配、鉄の支配、グローバル、商品は保守的

    面白かったけど分量はかなり多い。持ち歩くと嵩張ってかなわん。

  • 甘く幸せな気持ちになれるチョコレート。でもそのビジネスは決して甘くない。

  • ・スニッカーズやM&Mのマーズ社と、キスチョコのハーシー社。アメリカを代表する2大製菓会社は、対照的で敵対的で、だが因縁浅からぬ仲だった。
    ・かつて、フォレスト・マーズは帝国を、ミルトン・ハーシーはユートピアを夢見た。2人の企業家はいわばチョコレート業界の“ハワード・ヒューズ”と“ヘンリー・フォード”。そして2人を継いだ者たちは、それぞれにこの巨人の幻影につきまとわれる。マーズ家の息子たちは世界制覇を目指し、ハーシー社はミルトンの息子同然だった孤児院を守ろうとするが……。

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