生命起源論の科学哲学―― 創発か、還元的説明か

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077428

作品紹介・あらすじ

生命はどのように地球上に出現したのか。いつか物理・化学的原理で説明可能になるのか。人類最大の謎に答える道筋を、科学と哲学の最先端の研究から提示する。学士院奨学金賞とパリ大学総局賞文系部門をダブル受賞した俊英による、フランス科学哲学の最前線。

感想・レビュー・書評

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  • 出だしはおっと思ったものの、哲学者が生命起源に関する内容をまとめたもの。
    生命起源よりも、それについての哲学的な思考方法に徐々に視点が移っていき、生命起源をひとつの題材とした哲学の本ということが判ったものの途中で終了。
    時に生命についての議論は哲学的になる。
    でもそれは生命というテーマがとてつもなく大きく、特別なものだからだろう。だからこそ今はもっと材料が欲しい。

  • 原題:LES ORIGINES DE LA VIE -- Emergence ou explication reductive ?--
    著者:Christophe Malaterre
    翻訳:佐藤直樹

    ・出版社の内容紹介
    “生命とは何か、生物は無生物とどこが違うのかを考えるとき、二通りの考え方がある。生命現象はすべて物理・化学的原理によって説明できるというのが還元論、説明できないと考えるのが創発論である。/生命は地球上で誕生したのか、宇宙から飛来したのか。ひとつの共通祖先から多様化したのか。無機物から有機物ができ、重合してタンパク質やRNAが生まれ、その集合体が生き物になったのか。著者はさまざまな学説に分け入りつつ、「実用主義的な創発」概念を提唱し、生命の起源が創発的であるかどうかを二つの文脈において検討した。すなわち「歴史的文脈」では生命出現の道のりは厳密にたどれず、「創発」か否かは答えられないが、「物理・化学的文脈」においては、現在の知識では生命出現は創発的である。/しかし、一連の過程を、生体物質が合成される段階、機能物質が化学進化する段階、初期生命が出現する段階に分けると、各段階とも未来永劫、説明不可能ということはなくなるという。/人類はやがて無生物から生物への移行を説明し、その歴史を再構築したり、実験的に再現したりできるようになるだろう。しかしすぐに別の問題点が現れるだろう。つねに驚くべき新しい現象を生みつづけるのが自然の特徴なのだ。/学士院奨学金賞とパリ大学総局賞文系部門をダブル受賞した俊英による、フランス科学哲学の最前線。”
    http://www.msz.co.jp/book/detail/07742.html

    【目次】
    序文 

    第一章 生命とさまざまな生命起源論 
    1 生命の定義 
    2 生命の起源とは 

    第二章 生命のさまざまな起源論――歴史的にみた問題点 
    1 生命の起源についての歴史的アプローチ 
    2 確かに煙はあるが、決定的証拠(スモーキング・ガン)は見つからない 
    3 不確かな状況証拠 
    4 生命出現が起きた時間幅は正確にはわからない 
    5 何度も上書きされて解読困難な生命 

    第三章 生命のさまざまな起源論――物理・化学的にみた問題点 
    1 物理・化学的アプローチ 
    2 生物を説明する図式 
    3 依然として説明できない生命 

    第四章 創発概念の発展の核心をなす生命 
    1 生物の性質としての創発 
    2 創発の不遇の時代と再生 
    3 生命科学における創発の再浮上 
    4 生命の創発についての現在の問題点 

    第五章 さまざまな形をとる創発 
    1 創発の哲学的概念
    2 イギリスの創発論者たちの考えた創発
    3 論理実証主義者たちの考えた創発
    4 機能説明的な意味での非還元論としての創発
    5 結論

    第六章 創発と説明 
    1 水が透明であることは創発的な性質か
    2 創発と説明モデル

    第七章 実用主義的な創発 
    1 還元的な(実用主義的)説明
    2 創発の実用主義的な定義
    3 水の透明性への適用
    4 実用主義的な創発とそのさまざまな側面

    第八章 われわれの知識の現状に即して考える生命の創発性 
    1 実用主義的な創発の形式的な条件 
    2 歴史的なケース 
    3 物理・化学的なケース 

    第九章 生命は将来もずっと創発的であるのか――前生物的な化学的過程と化学進化の検討 
    1 部分過程における創発 
    2 前生物的な化学的過程と創発 
    3 前生物的な化学進化と創発 

    第十章 生命は将来もずっと創発的であるのか――前生物的な自己組織化の検討 
    1 部分過程における前生物的な自己組織化現象 
    2 構造的自己組織化と創発――リポソームの場合 
    3  機能的自己組織化と創発――自己触媒ネットワークの統計的モデル化の場合 
    4 機能的自己組織化と創発――遺伝子ネットワークのモデル化の場合 
    5 結論 

    結論 
    1 実用主義的な創発 
    2 生命の創発 
    3 その先にあるものは 

    訳者あとがき 
    引用文献 
    人名索引 

  • 【選書者コメント】ホントに生命は還元なんてできるの?
    [請求記号]4600:649

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