- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622079729
作品紹介・あらすじ
テクノロジーや流通の革命・発達により世界がネットワーク化する今日、ごく少数(世界で刊行される小説の1%にも満たない)の「正典(カノン)」を「精読」するだけで「世界文学」は説明できるのか?
西洋を中心とする文学研究/比較文学のディシプリンが通用しえない時代に、比較文学者モレッティが「文学史すべてに対する目の向けかたの変更を目指」して着手したのが、コンピューターを駆使して膨大なデータの解析を行い、文学史を自然科学や社会学の理論モデル(ダーウィンの進化論、ウォーラーステインの世界システム理論)から俯瞰的に分析する「遠読」の手法だ。
本書には、「遠読」の視座を提示し物議を醸した論文「世界文学への試論」はじめ「遠読」が世界文学にとりうるさまざまな分析法が展開する10の論文が収められている。グラフや地図、系統樹によって、世界文学の形式・プロット・文体の変容、タイトルの傾向や登場人物のネットワークが描出されてゆくのだ。
21世紀に入り、人文学においても、デジタル技術を用いて対象や事象をデータ化し、調査・分析・綜合を行う〈デジタル・ヒューマニティーズ〉の方法論が拓かれつつある。「遠読」もまた世界文学に新たな視界を開こうとする比較文学からの挑戦なのだ――「野心的になればなるほど距離は遠くなくてはならない」。
感想・レビュー・書評
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テクノロジーの進歩が、それと無縁のような文学研究という陸の孤島にも大きな変革を促していることが伝わる。
膨大なデータによる小説へのアプローチは、これまでになかった視点を授けてくれるよう。
コナン・ドイルが君臨することとなった探偵小説の興隆を、ダーウィンの系統樹をベースに解説する部分など、それはどうか?と思いながらも、読みながら少なからず気づきがある。
衰退メディアである(ことは否めない)文学。本書のように、野心的に事にあたる研究者がまだ世界には居る、ということも素朴な驚き。
惜しむらくは、アジア文学への関心を表明しながらも、論究が生煮えであることか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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お楽しみの最終章は肩透かしでも総論未来は明るい
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精読⇄遠読
と、著者に意味付けられていた。
しかし、これは文章を読まなくて良いという話ではない。
これだと、文章自体はどうでもいいんだ!と勘違いする人が現れそう。私のように。
ウォーラーステインの理論を文学にも当てはめるとどうなるか。
結構いけるんでは?と発表したが、そうも簡単ではないらしい。
経済には、双方向性があるよね?輸出と輸入の。
じゃあ、君の理論は?文学では置き換えられなくない?
と反論されてしまった著者。
でも、一つの考え方を提示しただけだから!とさらなる思索に耽る。
私は、面白い研究だと思う。
売れるということや、人に共感されるのは文章力や時代背景など多様な理由があるはず。
だとしたら、それを何らかの手法で解析してみたい。
その一つとして今回提示されたのが遠読だったということ。
これを踏まえた、新しい研究に期待。 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784622079729