- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622079996
作品紹介・あらすじ
〈いまヨーロッパを悩ませているテロリズムの背景には、ヨーロッパがもたらした価値そのもの――もちろん民主主義を含む――に対する強烈な拒絶反応がある。「ヨーロッパは岬に過ぎない」という言明も、そうした反応の中ではおそらく、謙遜を装った傲慢な言葉として受け止められるであろう。デリダにはそうした可能性が十分に分かっていたはずである。だからこそ彼はl’autre cap(別の岬、別の方向性)と言うだけでは不十分であり、le cap de l’autre(他者の方向性)と言うだけでも不十分であり、capの論理を超え出て、l’autre du cap(キャップとは異なるもの、キャップの他者)にまで至らねばならないと述べていたのである。〉(國分功一郎)
ソ連・東欧の崩壊後、噴出するナショナリズムと人種主義の暴力が統合を進めるヨーロッパに暗雲を投げかけていた1993年に刊行された本書は、二十数年を経た現在、まさに必読書として蘇った。ヨーロッパの難民問題とテロ、日本の民主主義の危機について、本書を通して新たに考えたい。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
冷戦構造の崩壊後の“ヨーロッパの危機"に書かれたものであることを鑑みると、やはり、その後の新自由主義の流れは、恐ろしく政治的な局面を複雑にしてしまったなと思う。いや、デリダがここで警鐘していることが、ある種そうなってしまったということでもあるが。いま生きていたらなにをどう書くのか。
-
直接的にドイツのヒットラーに言及しているかと思ったがそうではなかったようである。
-
ポール・ヴァレリーの問いかけをベースに、Capという言葉を、資本、首都、岬、帽子などなどと意味を変えながら、ヨーロッパと民主主義を脱構築し、開かれたヨーロッパと来るべき民主主義を展望する、というところかな???
ベルリンの壁の崩壊、ペレストロイカの進展、そして湾岸戦争直前という政治的な状況のなかで、ヨーロッパや民主主義について、語る。しかも、その掲載されたのは、新聞の特別号ということから考えると、デリダのなかでは、分かりやすい類いに属する本のはず。
最近、デリダの入門書を読んだので、なんとかなるかな、と思って、トライしてみたが、やっぱり、なんのことだか、な文章であった。
あんまり、こういうのを真面目に理解しようと思わず、たんなる言葉遊びと思って読んだ方が、精神衛生上よさそうだな。 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784622079996