どっちの勝ち?

  • みすず書房
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本棚登録 : 72
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622088004

作品紹介・あらすじ

イソップ物語の「アリとキリギリス」「ライオンとネズミ」「おじいちゃんとヘビ」が現代社会に飛び出します。矛盾だらけの世界で生きぬくために、必要な知恵はなに? 「生きるバネ」──自信と勇気──を見出すチャンスが見つかる絵本。米国初のノーベル賞受賞黒人女性作家が学校や教科書が教えない大切なことを伝えます。

感想・レビュー・書評

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  • イソップを元にした寓話だが、より現代的な物語となっている。
    「アリとキリギリス」は、キリギリスに「アートは仕事だ!」と言わせ、芸術家のプライドを表現する。でも、これに関してはレオ・レオニの『フレデリック』の方がいいと思う。
    「ライオンとネズミ」はネズミがライオンのトゲを抜いた後の物語が、味わい深い。トゲを抜いてライオンの恩人となったネズミは、自分もライオンと同じ権力があると勘違いし、横暴に振る舞うようになる。一方ライオンはトゲが刺さったとき、自分より下だと思っていた生き物達に相手にされず、今まで文字通り歯牙にもかけなかったネズミに助けられたことで、それまでの自信や誇りは何の根拠もなかったことに気づき、引きこもる。そこにつけ込むネズミのいやらしさがリアル。
    「強くても弱くても大きくても小さくてもかんけいない じぶんに自信のないやつがいじめっ子なのさ」とライオンは呟く。
    「おじいちゃんとヘビ」は「旅人とマムシ」をベースにしているが、ちょっと分かりにくい。巻末の翻訳者の解説で納得できた。おじいちゃんの家で暮らすようになったベビが増長していく様子は「ライオンとネズミ」のネズミと似て本当にいやらしく感じる。上手いな。
    「小学3年生までに学習する漢字をつかっています」と書いてあり、小学校中学年から読めるようになっているし、実際読めるとは思うが、きちんと理解できるのは、もっと上の年齢だろう。
    絵はなかなかいいが、その生き物に似せて描く画家ではなく、虫、猿、ヘビはその生き物と似ていない。特に虫。こういう絵を面白がれる感性のある子どもには良いが、やはりちょっと大人向きという気がする。
    トニ・モリスンとその息子スレイドが物語を書いているが、スレイドは45歳で膵臓癌で亡くなっている。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50222501

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000941226

  • イソップの話をベースに、3話をトニ・モリソンが息子さんとともにリメイク。コミック仕立てになっています。
    この本を面白がれるのは、なかなかのセンスが必要なのでは?

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著者プロフィール

1931-2019。アメリカ合衆国の作家。小説に、『青い眼がほしい』(1970)、『スーラ』(1973)、『ビラヴド』(1987)、『ジャズ』(1992)、『ホーム』(2012)など。彼女の長編小説はすべて日本語に翻訳されている。絵本に、スレイド・モリスンとの共著『子どもたちに自由を!』(1999、長田弘訳、みすず書房、2002)『どっちの勝ち?』(2007、鵜殿えりか・小泉泉訳、みすず書房、2020)、『いじわるな人たちの本』(2002)、『ピーナッツバター・ファッジ』(2009)、『小さい雲と風の女神』(2010)、『カメかウサギか』(2010)、『ほんをひらいて』(2014、さくまゆみこ訳、ほるぷ出版、2014)など。写真絵本『忘れないで――学校統合への道』(2004)はモリスンの単著。ノーベル文学賞(1993)のほかに、全米批評家協会賞、ピュリツァー賞、大統領自由勲章など数々の賞を受賞。プリンストン大学などで教鞭をとった。

「2020年 『どっちの勝ち?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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