死ぬことと生きること 【新装版】

著者 :
制作 : 星野博美(解説) 
  • みすず書房
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本棚登録 : 28
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622088400

作品紹介・あらすじ

「ぼくは、うまくいかなくても撮るし、うまくいっても撮る。一度シャッターを切り始めたら、トコトンまで撮らずにはいられなくなる。」

土門拳、65歳の時の初エッセイ集。「デモ取材と古寺巡礼」「スランプを恐れないこと」「梅原龍三郎を怒らせた話」「アマチュアはなぜ写真が下手か」「手でつかめる風景」… 自らの生い立ちから始まり、丁々発止の肖像写真撮影、一筋のしわをも逃さずとらえて不評だった話、ままならぬ右足の悔しさ、アマチュア写真家への激励、写真哲学などが生き生きと、克明に語られていく。
戦後日本の矛盾と、日本人を凝視した眼光の鋭さが、文章に刻みつけられている。その強靭な写真の謎を、土門拳自らが明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 尾道の図書館で読む。
    土門拳は日本写真史上、木村伊兵衛と並ぶ有名写真家だけど、現在土門の仕事が顧みられることは、写真史の勉強以外ではほとんどない。土門自身が本書で前世代のサロン写真を強く否定しているように、土門の写真は後の世代に否定されてしまった。
    土門の唱えた「社会的リアリズム」や「絶対非演出の絶対スナップ」は現代の写真にはなんらの影響も与えていない。
    むしろ、そうしたお題目から離れて、土門の写真を見る必要があるのかもしれない。

  • 土門拳が1953〜1968年(昭和28〜43年)頃に書いた文章を集めた本。
    一眼レフになる前、レンジファインダー機の時代です。
    デジタル化された上に、一眼レフの時代も終わり、ミラーレス一眼の時代になった今。
    カメラもレンズも、今とは全然ちがいます。
    でも、だからこそ、とても良い本だと思いました。

    最新のプロ用の機材を買ったからといって、プロのような写真が撮れるわけじゃない。
    私たち素人に根本的に欠けているものは何か?
    写真がうまくなりたいなら、どんなことを勉強すべきか?
    日頃から、どんな訓練を積めばいいのか?
    カメラやレンズが変わっても、そこはまったく変わってないんだな、と気がつかされました。

    結局のところ、写真の土門拳も、映画の小津安二郎も、それからマンガの手塚治虫も、若者へのメッセージとしては、みんな同じことを言ってますね。

    冒頭では超絶初心者向けに、プロもアマも関係ない、写真を撮る上での最低限のマナーについても書いてあります。
    私が嫌いなTがつくSNSでは相変わらず、「今さら土門拳かよ」と小バカにした人達が、あちこちの観光地や撮影会で、そういうレベルのトラブルを引き起こしてます。

    写真を撮り始めて、壁にぶつかってる人。
    カメラデビューしようと、貯金をがんばってる人。
    写真だけじゃない。
    何か1つの道を極めようと日々がんばってるけど、壁にぶつかってしまってどうしたらいいかわからない、そういう人にも助けになると思います。

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著者プロフィール

1909年、山形県酒田市生まれ。1935年、日本のグラフ・ジャーナリズムを切り拓いた「日本工房」に入って以来、足かけ45年にわたり、「報道写真家」として激動の日本を記録。「絶対非演出の絶対スナップ」を標榜して、徹底的なリアリズム手法で被写体に迫り、『文楽』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』『風貌』『古寺巡礼』など不朽の名作を数多く残した日本を代表する写真家である。

「2023年 『土門拳の東寺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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