- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622090694
作品紹介・あらすじ
自殺をしてはいけない。しかし、それをどう根拠づければよいだろうか? 古くは宗教的な罪とされていた自殺は、精神医学の発展に伴って倫理的に中立なものになり、現代では選択肢や権利として肯定する立場さえある。自殺をめぐる思想の変遷の歴史の中に、宗教によらない「自殺をしてはいけない理由」を見出すため、古代ギリシャ・ローマの思想、戯曲や詩から、近現代の社会学や哲学的思索まで広く繙く。切実な悩みに応えるヒント。
感想・レビュー・書評
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親しい友人を亡くし、それを止められたかもしれない言葉を求めて書いたのだそう。
得た理由はおそらくは弱くてあまりにも力がないように思います。
でも同じような悩みを抱えた人(著者あるいは友人)にはとても力になる本です。
自殺あるいは死について書かれたたくさんの文献リストに目を通すだけでもいいでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自殺を否定しようとする人が宗教や哲学の文献を引用して自殺するべきでない理由を並べているという感じ。ゆえに納得感はあまりなかった。G.K.チェスタトンのように自殺する人に対して、この世とそこで生きる私の価値を否定されたような気持ちを抱くのは共感できる。日本も自殺が多い国で、みすず書房はそういうことも考えて出版したのだと思う。もっとミクロな視点で、なぜ自殺か、なぜ男性に多いのか、なぜLGBTQに多いのか、なぜ彼/彼女は、、、という視点で考えてみたいテーマだ。
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筆者の主な主張
「自殺は、共同体。大きく傷つける。自殺のもっともわかりやすい予兆のひとつは自殺を知ること。つまり、自殺をすれば、やがて人を殺すことになる。だからあなたは生き続けなければいけない」(本書「まえがき」より)、ということ。
最初の方が、「〜は自殺ついて〜と考えていた」の繰り返しで単調に感じてしまい、途中で読むのをやめてしまった。
『ノルウェイの森』の主人公ワタナベノボルが、大学で勉強しているエウリピデスの自殺に対する考えを知れてよかった。
本文引用
p24
エウリピデス(紀元前四八〇頃―紀元前四〇六頃)は、こんにちまで作品が残っている三人の古代ギリシャの劇作家のうち、もっとも現代的な考え方を示し、『アウリスのイピゲネイア』で、「見事に死んでいくより、つらくても生きているほうがましです」と書いている。『ヘラクレス』では「だが、わたしは考えている。苦しみのうちにあって――命を絶ち、自分が育児なしであることを認めるのか?いや……勇ましく死を待とう」とヘラクレスに言わせている。
p32
命あるもののうちに数えられてさえいれば
まだ安心だ。犬でも、生きていれば、死んだ獅子よりましだ。生きているものは、少なくとも知っている
自分はやがて死ぬ、ということを。しかし、死者はもう何ひとつ知らない。彼らはもう報いを受けることもなく
彼らの名は忘れられる。その愛も憎しみも、情熱も、既に消えうせ
太陽の下に起こることのどれひとつにももう何のかかわりもない。
(コヘレトの言葉九章四節―六節)
p34
現に存するとき煩わすことのないものは、予期されることによってわれわれを悩ますとしても、何の根拠もなしに悩ましているにすぎないからである。それゆえに、死は、もろもろの悪いもののうちで最も恐ろしいものとされているが、じつはわれわれにとって何ものでもないのである。なぜかといえば、われわれが存するかぎり、死は現に存せず、死が現に存するときには、われわれは存しないからである。
(『エピクロス――教説と手紙』) -
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自殺否定の立場から、自殺思想史を論述している。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/780592 -
九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1411011 -
烏兎の庭 第七部 2.26.23
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto07/doc/stay.html -
米国の歴史学者が、親友2人を相次いで自殺で喪った衝撃から、自殺の歴史を辿り始めた。本書はその研究の集大成だ。西洋の思想史に絞られており、他は日本の切腹に触れられる程度。
「抗って生きるために」という副題や原題「STAY」が示すとおり、著者の眼目は「自殺を止めるための根拠」を思想史の中から見いだすことにある。
古代から現代までの、自殺を否定する思想の系譜――宗教以外の(宗教では非宗教者には無関係になってしまうから)――を辿っていくのだ。
目からウロコが落ちる話がたくさん出てくる。
・自殺反対を初めて唱えたのはたぶんピタゴラス
・キリストの死を自殺として捉える神学者も多い
・中世キリスト教社会では自殺は悪魔に魅入られた罪と見做され、自殺者も遺族も厳しく罰せられた。自殺者の遺骸を拷問(!)したりした。