- Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622090915
作品紹介・あらすじ
◆正常/異常をめぐるスティグマは、ただ漫然と生じたものではない。科学や医学はつねに権威をもって、「異常」とすべきもののカテゴリーを作りだしてきた。だがもはや「誰も正常ではない」と言えるほど、正常者/異常者を語るスティグマは、その土台を失っていると著者は言う。
◆「文化がスティグマと精神疾患や発達障害を結びつけられるのなら、間違いなく文化は、その結びつきに切れ目を入れることもできるはずだ。」そう確信すべき理由は、スティグマの歴史の中に詰まっている。本書は、18世紀以降今日まで、精神病者や障害者に対するスティグマが、時勢や文化に応じていかに繰り返し再構築されてきたか、その変遷を描き出す。置き忘れてきた史実や異文化に学び、主体的に未来を作るための、最初の一歩。
感想・レビュー・書評
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とにかくボリュームがあるのですべて読みきれない。ところどころかいつまんで読んだ。精神疾患にまつわる歴史的経緯を説明しながら、それらの前提にある「正常性」に問いを投げかける。
スティグマが強化されるのはそれが個人の責任だとみなされる時。逆にアフリカの一部の地域では、精神疾患がいわゆる魔術的なものだとされており、誰も個人に責任を負わせることはない。そういった意味では先進国と発展途上国、どちらの国が生きやすいだろうか?
精神疾患からくる身体症状が、家族のケアを促すなど副次的利益をもたらすという視点は面白かった。僕自身パニック障害があり、身体症状が顕著に出るので家族からのサポートが比較的手厚いと感じる。逆にうつ病で寝たきりといったような倦怠感からくるものを、ひとはケアの必要性があると感じられるだろうか。「あの人はうつ病なのか?」という主観から抜け出すのが難しいように思う。いっそのこと、鬱は脳の病気だと断定してもらったほうがケアされる側としてはありがたいのではないか。
Newspicks パブリッシングの「弱さ考」を連載している編集長の方は、この著者の思想に近いと思った。現代はとにかく「自立」を促されているように思う。しんどい時くらい、最終的なゴールを自立に置かなくてもいいんじゃないか。いっぱい頼って頼って、いつか恩さえ返せればいい。むしろ返さなくてもいいのかもしれない。この辺りについてはより深く考えていきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あまりにすごかったので読書会やりたい…
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[鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC14387938
[鹿大図書館学生選書ツアーコメント]
「正常とは有害な幻想である」
「スティグマは」日本語の「偏見」や「差別」に該当する言葉だと言われておりますが、この本では精神疾患や発達障害に対する「偏見」や「差別」を主に扱っており、
その変遷を社会的・文化的に述べた本となっております。
スティグマがこれまで構築と再構築を重ねてきた歴史を持つからこそ、私たちはその
流れを変えることができる可能性を持っていることに、著者は気づかせてくれます。
私たちが分けているであろう正常・異常の境界は存在するものなのか、考えさせられる一冊です。 -
社会で様々な精神病が認知され、受け入れられ、配慮されるようになった昨今、「普通」でいる人の方が少なくなったように感じる。しかし、現代に至るまで「見えない」病気である精神病が誰もがおこりうる病として認知されるのには様々な問題があり、多くの観察と時間を必要とした。そしてその背景には多くの人が忌み嫌う戦争の影があり、戦争が精神病への捉え方と深い関わりがあることを忘れてはいけないと感じた。
『フロイトが患者にカウンセリングする際、入口と出口を別々に設置得ることで患者が誰かに治療中であることを悟られないようにしていた。また、患者は他の患者と顔を合わせることがなかったため、自分がフロイトの唯一の患者であると思うことが出来た。』という部分にたいして、占いやホストといった閉鎖的な接客業に対しても有効なのでは?と考えた。 -
図書館で借りたけどボリュームがあるし内容も難しくて挫折。
スティグマということばを知れただけよかった。(差別・偏見という意味) -
★ 広国大の電子ブック ★
Maruzen eBook Library から利用
【リンク先】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000131143 -
ハードでした