- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623016723
作品紹介・あらすじ
市場経済の意味を考え抜いた思想家ハイエク。その思想の真髄を端的に表現する論文選。
感想・レビュー・書評
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ハイエクのいう本物の個人主義とニーチェがツァラ トゥストラで示した「与えられたものではなく見出した自分」が、すごくリンクしていて驚いた一冊。
ケインズとの思い出も印象的で、えーカンジのオッ チャンやったというのが分かって妙な親近感。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
個人主義には偽の個人主義と真の個人主義がある。偽の個人主義はすべての個人を平等たらしめるために国家、社会を設計するという発想に至るのに対し、真の個人主義は、各個人の知性の限界を認め、個人の自由を可能な限り尊重するというものである。前者は設計主義であり、少数エリートの支配につながる。
ミクロ経済学は個人の経済活動の分析に注目するため、ハイエクの唱える自由主義と親和性が高い。逆にマクロ経済学は複雑な経済活動を単純な方程式に還元して分析しようとするものであり、政府の市場への介入を誘発する。ハイエクはこれを厳しく批判している。ケインズに対しても同様である。ケインズは政府の御用学者だったのだ。
市場における競争は消費者がより良い商品に対する知識を獲得するために必要である。完全競争にこだわることなく(完全競争はありえない)多少の独占や寡占はしかたがないのである。
科学技術の発展を期待するところが、自由主義者の特徴であるが、ここはあまり期待しないほうがよいのではないか。
日本における新自由主義はハイエクの自由主義に負うところが大きいが、労働組合の抵抗にあい失敗してしまった。自由主義という概念は論理的には明快で理解しやすいものであるが、日本人の肌には合わなかったのだろう。やはり日本には社会主義があっているのは、世界で最も成功した社会主義国家というキャッチコピーからも明らかだ。日本は「新」社会主義国家として生まれ変わるだろう。格差固定、ネットによる相互監視の全く自由でない社会だ。 -
『BQ』(林野宏著)ビジネスパーソンに必須の23冊
6自由とは何か -
"個人主義がわれわれに教えることは、
社会が個人よりも偉大であるのは、社会が自由である限りにおいてだけだ、
ということである。社会が統制されあるいは指導されるときには、
社会は社会を統制し指導する個人の知性の力に限定される。"
(P41 「第一章 真の個人主義と偽の個人主義」)
要するに、ハイエクは、次のようなことが、
言いたいのでしょう。
「社会が一部のエリートの頭脳によって統制するよりも、
個人がおのおのの、創意工夫で動いた方が、社会は発展するだろう。
もし一部のエリートだけで、社会が統治されると、社会の想像力は
その人たちの想像力にまで縮んでしまうだろう」と。
言葉を置き換えると、ハイエクは、社会全体のシステムを採用するにあたって、
中央集権システムと分散分権システムのどちらが良いか?
ということを、問うているのだと思います。
http://a-e-dkmemo.blogspot.com/2013/02/blog-post.html -
1337夜