朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識: 朝貢国から国民国家へ (MINERVA人文・社会科学叢書 39)
- ミネルヴァ書房 (2000年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623032921
作品紹介・あらすじ
朝貢時代から受け継がれた自らの「小国意識」とネイションのプライドの狭間で朝鮮/韓国ナショナリズムはどのように形成されてきたのか。本書は、朝鮮/韓国ナショナリズムの独特の論理と形成過程を解明するとともに、朝鮮/韓国近代化に与えた影響を考察する。
感想・レビュー・書評
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朝貢の時代から戦後まで、韓国の政治の原動力やシステムを中国や日本にも関係させながら鮮やかに描き出している
いつもながらの木村さんの質の高い論考ですが、この著書は集大成とも言うべきレベルの高さです詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書に出てくる人名で日本人に一番馴染み深いのは、(国外でだが)独立運動を行い、「李承晩ライン」に表れるように反日ナショナリストとして知られる李承晩大統領だろう。彼は韓国を「小国」とすると同時に、米国は「小国」たる韓国を援助する義務があると位置づけた。19世紀後半~20世紀初頭には、自力での近代化は無理、大国(米だったり日本だったり)の支援が必要、とする思想がいくつもあったが、いずれも自国は「小国」であるという意識がその根底にあった。分けて発表された論文の再構成なので本書の内容は幅広いが、特に後半部ではこの視点が貫かれている。その後、「主体思想」を唱える一方で中国とソ連から援助を引き出した北朝鮮、最近では盧武鉉大統領の「バランサー」論も、形は違えど、「小国」として如何にうまくやっていくかという意識があるのだろうか。
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2000年