福祉資本主義の三つの世界:比較福祉国家の理論と動態 (MINERVA福祉ライブラリー47)
- ミネルヴァ書房 (2001年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623033232
作品紹介・あらすじ
戦後資本主義において、様々な国家モデルを形成してきた基軸的制度である福祉国家。本書は、福祉国家論研究における、記念碑的名著である、Gosta Esping‐Andersen、The Three Worlds of Welfare Capitalism、Polity Press、1990の全訳である。日本での翻訳出版にたいする著者書き下ろしの「日本語版への序文」においては、独自の日本型福祉国家論を展開している。
感想・レビュー・書評
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福祉の業務に関わるなら読むべき一冊とのことで読んでみた。
専門の用語や翻訳文に慣れていないと、読み慣れるまで時間がかかるかもしれない。私はかかった。
最後の訳者解説で、この本の学問的な位置付けや構成、ポイントをわかりやすく開設しているので、読み慣れない人はこの部分を導入として読むと頭に入ってきやすいと思う。
印象に残ったこと
どのような経済活動をしているかで、家族形態、必要な福祉が決まってくる。
女性の社会進出は、単純に差別ではなく、社会形態が家族形態・男女の役割分担にそぐわなくなって生まれたものではないのか?
福祉や社会変革はあるべき姿を求めるのではなく、相対的に大多数の人がそれを望むかどうか、そうしないと経済や政治ができるかどうか、ニーズによるもの。
と、解釈した。そう考えると、今度はジェンダーについて興味を持ったので今後何か読んでみたいと思う。
家族主義の脱却が家族の活性化…出生率の増などにつながるという考え方
これは現在の日本でも課題となっているところ。
20年も前に書かれた本であるが、大人になってからこういった、歴史に学ぶ必要性というのを理解してきた気がする。
国が経済政策や福祉政策を考える時も、ベースにこう言った知識が必要なのだろう。 -
Esping-Andersen (1990) Three Worlds of Welfare Capitalism
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三つの福祉国家の理念型「自由主義型」「社会民主主義型」「伝統型」を描き出し、それぞれのレジームと関連の強い要素を探っていく本書。福祉国家の発展を単線的ではなく複線的なものとして描き、発展を促す要素を細かく分類して歴史的・統計的に検証していく作業はとても厳密で、慎重である。私は統計学については全く無知なので、統計学的検証の当否についてはわからないが、手に入るだけのデータをもとに地道に議論を積み重ねていく手法には好感を抱いた。また、国家と市場の関係について、著者は一面的な見方を拒否し、相互に影響を与える要素として相関関係を冷静に見極めようとする。しかしこうした姿勢が、議論を非常にわかりにくくしているのも事実であり、さらに3つのレジームの典型例をスウェーデン、アメリカ、ドイツであると断言してしまっていることがさらに混乱を招く。冒頭で述べているように、3つのレジームの要素はいずれの国家の中にも見出せるのであって、そうした要素をいかなる要因に結びつけられるのかを探求するのが社会科学の使命である。
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人間の自立性を高めるための脱商品化、社会保障としての連帯。
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比較政治経済学10後期久米郁夫参考文献
福祉行政11前期課題図書
序章から4章まで読了 -
分類=経済・福祉資本主義・政治・社会・アンデルセン。01年6月。