- Amazon.co.jp ・本 (788ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623058983
作品紹介・あらすじ
生物進化の壮大な物語を大きく4部に分けてすすめていく。まず、遺伝システムのはたしてきた役割を解説し、つぎに霊長類の生態と行動の多様性についての議論を行う。つづいて化石に記録されている、ほ乳類とヒトをつなぐ生命の連鎖について最新の情報を取り入れ、さらに現代人の行動形成に進化がどのようにかかわっているのかについて考察している。アメリカの大学で定評のあるHow Humans Evolved第5版を翻訳した本書は、新しい発見をふまえた研究の成果が随所に加えられ、人類進化研究のダイナミズムを提示している。
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原題:How Humans Evolved (Fifth Edition) W. W. Norton & Company, Inc., 2009.
著者標目 Boyd, Robert, 1948-
著者標目 Silk, Joan B, 1953-
松本晶子 監訳
小田亮 監訳
ジャンル
社会
文化人類学・民俗学
自然科学
出版年月日 2011年07月10日
ISBN 9784623058983
判型・ページ数 A5・800ページ
定価 本体9,000円+税
在庫 品切れ・重版未定
本書では、生物進化の壮大な物語を大きく4部に分けてすすめていく。まず、遺伝システムのはたしてきた役割を解説し、つぎに霊長類の生態と行動の多様性についての議論を行う。つづいて化石に記録されている、ほ乳類とヒトをつなぐ生命の連鎖についての最新の情報を取り入れ、さらに現代人の行動形成に進化がどのようにかかわっているのかについて考察している。アメリカの大学で定評のあるHow Humans Evolved第5版を翻訳した本書は、新しい発見をふまえた研究の成果が随所に加えられ、人類進化研究のダイナミズムを提示している。
〈https://www.minervashobo.co.jp/book/b86711.html〉
【目次】
序文 i
プロローグ なぜヒトの進化を研究するのか? 001
第I部 どのように進化は働くのか
第1章 自然淘汰による適応 13
適応についてのダーウィン以前の説明 13
ダーウィンによる適応の理論 17
ダーウィンの必要条件 18
自然淘汰による適応の例 19
個体淘汰 28
複雑な適応形質の進化 30
なぜ小さな変異が重要なのか 30
なぜ途中段階が淘汰において有利なのか 33
進化的変化の速度 38
変異を説明するうえでのダーウィンの問題 45
第2章 遺伝学 51
メンデル遺伝学 51
遺伝情報が伝わる過程における細胞分裂と染色体の役割 54
有糸分裂と減数分裂 56
染色体とメンデルの実験結果 58
連鎖と組み換え 64
分子遺伝学 71
遺伝子の本体DNA 73
タンパク質をコードする遺伝子 77
遺伝子発現を制御する調節配列 87
すべてのDNAがメッセージをもつわけではない 90
BOX 2.1 組み換えについて詳しく勉強しよう 66
第3章 現代的総合 95
集団遺伝学 95
集団における遺伝子 96
任意交配と有性生殖が遺伝子型頻度を変化させるしくみ 97
自然淘汰が遺伝子頻度を変化させるしくみ 103
現代的総合 105
連続変異の遺伝学 105
変異が維持されるしくみ 111
自然淘汰と行動 116
適応に対する制約 121
相関形質 122
不平衡 126
遺伝的浮動 127
局所適応と最適適応 133
進化に対するその他の制約 135
BOX 3.1 2世代の任意交配の後での遺伝子型頻度 103
BOX 3.2 面積・体積比の幾何学 136
第4章 種分化と系統発生 143
種とは何か? 143
生物学的種の概念 145
生態学的種の概念 148
種の起源 151
異所的種分化 152
側所的および同所的種分化 155
生命の樹 159
なぜ系統を復元するのか? 163
どのように系統を復元するのか? 169
収斂に伴う問題 171
祖先的特徴による問題 172
遺伝距離のデータを用いた系統分岐の年代推定 177
分類学:名前をつけること 180
BOX 4.1 比較法における系統の役割 167
第II部 霊長類の生態と行動
第5章 霊長類の多様性と生態 189
霊長類を研究する二つの理由 189
零長類は私たちと最も近縁の動物である 190
霊長類は多様な分類群である 191
霊長類を定義づける特徴 192
霊長類の生物地理 197
現生の霊長類の分類 198
霊長類の生態 203
食物の分布 204
活動パターン 213
遊動 215
捕食 218
霊長類の社会性 222
霊長類の保全 226
BOX 5.1 歯と消化管:噛めるものが身体をつくる 209
BOX 5.2 霊長類の社会的グループの様式 224
第6章 霊長類の配偶システム 233
適応的な説明に使われる言葉 234
繁殖戦略の進化 235
メスの繁殖戦略 240
メスの繁殖成功にみられる変異の要因 242
繁殖上のトレードオフ 250
性淘汰とオスの繁殖戦略 252
同性内淘汰 255
オスの繁殖戦術 259
投資するオス 259
ペアでないグループのなかでのオス間競争 261
子殺し 267
BOX 6.1 優劣順位 245
第7章 協力の進化 275
利他行動:難しい問題 275
相利共生 276
グループレベルの説明の問題 278
血縁淘汰 281
ハミルトンの法則 283
血縁認知 285
行動にみられる血縁による偏り 289
親と子の対立 298
互恵的利他主義 299
BOX 7.1 群淘汰 280
BOX 7.2 どのように関係は維持されるか 290
第8章 霊長類の生活史と知性の進化 307
大きな脳と長い寿命 307
生活史理論 308
真猿では,大きな脳が淘汰圧によって選択されてきた 315
サルたちはお互いについて何を知っているのだろう 320
霊長類の行動を研究する価値 333
第III部 人類の系統の歴史
第9章 ツパイから類人猿へ 339
大陸移動と気候変化 341
古生物学における方法 347
初期霊長類の進化 351
最初の真猿 358
ヒト上科の登場 370
BOX 9.1 深海コアを用いて,古代の気候を復元する 345
BOX 9.2 歯が明らかにできる事実 362
BOX 9.3 ミッシング・リンク 367
第10章 ヒト上科からヒト族へ 381
はじめに 383
サヘラントロプス・チャデンシス 386
オロリン・トゥーゲネンシス 388
アルディピテクス 389
ヒト族の地域群が多様化する 392
アウストラロピテクス属 394
アウストラロピテクス・アナメンシス 394
アウストラロピテクス・アファレンシス 396
アウストラロピテクス・アフリカヌス 406
アウストラロピテクス・ガルヒ 410
パラントロプス属 412
ケニアントロプス属 416
ホモ・ハビリス/ルドルフエンシス 418
ヒト族の系統発生 421
初期ヒト族の形態と行動の進化 423
二足性の進化 424
初期ヒト族の生活 428
初期ヒト族の社会構造 434
BOX 10.1 二足性になるには何が必要か 383
第11章 オルドワン石器製作者とヒトの生活史の起源 439
オルドワン石器製作者 439
複雑な狩猟採集がヒトの生活史を形成した 445
オルドワン石器製作者による複雑な狩猟採集の証拠 456
肉食の考古学的証拠 458
狩猟者か,それとも屍肉あさり者か 464
オルドワン石器製作者の家庭生活 468
バック・トゥ・ザ・フューチャー:現代的なヒトの生活史への移行 472
BOX 11.1 古代の道具製作と道具使用 441
BOX 11.2 なぜ肉食は食物分配につながるのか 450
第12章 ヒト族からヒト属へ 475
前期更新世のヒト族:ホモ・エルガスター 476
形態 478
道具と生業 482
アフリカの外への拡散 490
東アジア:ホモ・エレクタス 493
中期更新世初期のヒト族(90万~30万年前) 496
アフリカと西ユーラシア:ホモ・ハイデルベルゲンシス 500
後期更新世のヒト族(30万~5万年前) 503
東ユーラシア:ホモ・エレクタスとホモ・ハイデルベルゲンシス 505
西ユーラシア:ネアンデルタール 509
アフリカ:ホモ・サピエンスの道? 523
変化の源泉 525
中期更新世の混乱 527
第13章 ホモ・サピエンスと現代人的行動の進化 533
現代的ホモ・サピエンスの形態的特徴 534
現代的ホモ・サピエンスの遺伝的特徴 536
現代人的行動の考古学的証拠 543
後期旧石器技術と文化 547
現代人の起源と拡散 558
遺伝学的データ 558
化石と道具からの証拠 579
現代人的行動:革命か進化か? 583
後期更新世のアフリカの考古記録 583
どのように現代人の行動は進化したか 591
BOX 13.1 ミトコンドリア・イヴ 568
BOX 13.2 アルシーシュルキュールと現代人的行動の原因 593
第IV部 進化と現代人
第14章 ヒトの遺伝的変異 599
なぜヒトは多様なのか 599
単一の遺伝子によって影響される特徴の変異 604
グループ内における遺伝的変異の原因 608
グループ間での遺伝的変異の原因 613
複雑な表現型の特徴にみられる変異 627
グループ内の遺伝的変異 628
グループ間の遺伝的変異 630
人種という概念 636
BOX 14.1 平衡多型のための遺伝子頻度の計算 611
第15章 進化と人間行動 649
進化が人間行動に関連する理由 649
私たちの思考を理解する 653
近親交配の回避 657
人間の言語 665
進化と人間の文化 672
文化は人間における派生形質である 674
文化は適応である 683
BOX 15.1 近系交配がよくないことである理由 658
BOX 15.2 行動の違いの原因を理解する 678
第16章 ヒトの配偶者選択と育児 693
ヒトの配偶者選好の心理学 694
配偶者選好の社会的な帰結 708
キプシギス族の婚資 708
ニンバ族の一妻多夫 711
子育て 715
育児努力と配偶努力 717
祖父母による世話 720
選択的な親の気遣い 722
胎児期の投資 722
子殺し 725
養子縁組 727
オセアニアの養子縁組 728
工業化社会の養子縁組 730
人間の進化は終わっているのか? 733
エピローグ この生命観には壮大なものがある 735
付録 霊長類の骨格の解剖 739
用語一覧 741
図・写真出典一覧 765
人名索引 771
事項索引 775 -
帯文:"ヒトの進化史を、遺伝子、化石、霊長類の生態、人の行動観察から解明!" "米国の大学で広く使われている〈人類学〉の最善の教科書" "この生命観には壮大なものがある"
目次:第I部 どのように進化は働くのか、第II部 霊長類の生態と行動、第III部 人類の系統の歴史、第IV部 進化と現代人