ニコライ: 価値があるのは、他を憐れむ心だけだ (ミネルヴァ日本評伝選)

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623066957

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  • 本筋から外れるが、江渡貝邸最後の晩餐のカットを見て以来、何らかの形でキリスト教が話中で登場するのではないかと思うので、こちらのリストに列挙することにした。
    正教会関連が大半なのは、ヒロインの父がロシア極東地区からの移住者らしいことからの類推と、明治期日本におけるキリスト教を考えたらニコライの存在は欠かせないだろうと思ったため。(アテが外れたらリストを分けることにする)
    なお、正教会の信仰や聖書解釈の主だった解説はハリストス正教会がウェブサイトで公開している資料に詳しいので、そちらを参照されたし。
    http://www.orthodoxjapan.jp/pdf/new-tebiki.pdf

  • ニコライ(1836~1912) ロシアの宣教師。
    幕末に来日し、日本正教会創建、東京復活大聖堂(ニコライ堂)を建立して、50年間宣教に励み、大津事件、日露戦争でも、日露友好のために大きく貢献し、日本国民から敬愛されたニコライ。その献身的慈愛の生涯を描き、さらにニコライ亡き後の日本正教会史を克明に描き出す。

  • 中村健之助『ニコライ 価値があるのは、他を憐れむ心だけだ』ミネルヴァ書房、読了。本書は幕末に来日し、日本での活動は半世紀に及んだロシア正教の大主教ニコライ。本書は最も信頼できる研究者の手によるニコライ伝。四〇年近いニコライ研究の成果をもとに、その生涯が生き生きと描かれている。

    本書は忘れ去られたニコライの足跡…日露戦時下でのニコライと正教会など…に光を当てるだけでなく、ニコライ後の日本正教会の歴史にも目を配っている。近代日本宗教史をニコライとロシア正教の角度から新しい光を投じる。五百頁近い大著ながら画期的労作。

    読売書評より、「日露の長い歴史の中で日本とロシアのために生きたロシア人はニコライ以外にいない。『日本のニコライ』を紹介できたことを感謝したい」。 http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20130727-OYT8T00653.htm 編訳『ニコライの日記』岩波文庫も併せて読みたい。

    読売書評

    http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20130727-OYT8T00653.htm

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    函館で布教、ニコライの伝記発刊
    ヘルプ

    中村さんが著した函館ゆかりの宣教師の伝記「ニコライ」
     1861年に函館で布教を始め、幕末明治期の日本でロシア正教の普及に務めた、宣教師ニコライ(1836~1912)の本格的な伝記「ニコライ」が発刊された。東京にニコライ堂を建て、日露のはざまで時に苦しみながらも、日本人を優しい目で見つめた宣教師の生涯を詳述した。

     著者は元北海道大教授で、東京大名誉教授の中村健之介さん。中村さんは北大助教授時代の1979年、関東大震災で焼失したとされたニコライの日記をソ連古文書館で発見した。2007年に日記の全訳本、11年に岩波文庫から抄訳本を発刊。新著は、日記などを基に史実や歴史人物との意外な接点や日本に対するニコライの繊細な観察眼について記述した。

     ニコライは同志社を創設した新島襄から日本語や古事記などを習った代わりに、新島に外国事情や外国語について教えた。日本の文化度の高さについて「庶民の識字率は欧州と比べても上回っている。函館では誰もが貸本屋を利用しており、驚いた」と記している。

     来日中のロシア皇太子が巡査に切りつけられた大津事件(1891年)では京都の宿泊先を訪れ、事件の沈静化に貢献した。日露戦争では「私の愛する日本人たちは勝利を祝う。だが、私は彼らとは一緒になれない」と揺れる心を表現した。

     1905年のロシア革命については「ロシアでは革命が起きている。恐らく、こうなるだけの理由があるのだろう。主よ、ロシアに罰を下して、改心させてやってください」と記述した。

     ニコライは75歳で他界し、東京の谷中墓地に埋葬されて日本の土に帰した。中村さんは「日露の長い歴史の中で日本とロシアのために生きたロシア人はニコライ以外にいない。『日本のニコライ』を紹介できたことを感謝したい」と話した。ミネルヴァ書房から発刊。498ページ。4200円。

    (2013年7月27日 読売新聞)

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著者プロフィール

大妻女子大学教授

「2006年 『宣教師ニコライの日記抄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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