- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623088522
作品紹介・あらすじ
大正十二(一九二三)年に裏千家家元の長男として生まれ、同志社大学に入学。大学予科の途中で海軍に入隊し、白菊特別攻撃隊として死を覚悟しながらも生還する。戦争を生き抜いた人間として伝えるべきものがあるとの思いを抱き、百歳が近づくいまも世界中を飛び回る大宗匠が、多くの人とのご縁のなかで学び、また悩み苦しんできた日々を率直に語る。その言葉には、無常の世を生きる苦しさや孤独に負けない、心の磨き方のヒントに満ちている。
感想・レビュー・書評
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本屋を歩いていると、「読んでね」と声をかける本があります。「料理コーナー」にあった本書もそうですが、祖母がお茶の師匠をやっていたので、年相応にお作法を勉強しろというお告げかと読んでみましたが大違いでした。
著者は、千利休のあとの裏千家15代家元。お作法どころか、お茶を軸にした日本文化論・国際文化比較などで、大徳寺にも帰依したことから「禅」にも話が及びます。1923年生まれで現在97歳。特攻隊経験者としても戦前・戦後の歴史に関わり、吉田茂の本を読んだことから話題も重なって、とても興味深い内容でした。ローマ教皇、ダイアナ妃、鄧小平などともお茶を通じた接点を持ち、弟子となった松下幸之助には「お茶を点てるときの心で経営すること」を指南したとか。さまざまな著名人たちの人物評も面白いです。
それにしても、千利休の孫の宗旦が、息子たちを別々の大名家に仕えさせ、敷地の南側に住んだ家が表千家、その北側に住んだのが裏千家、武者小路に住んだ家が武者小路千家と呼ばれるようになったというのは、長らく生きてきて初めて知りました(「表」と「裏」で、何か奥深い秘儀があるかと思った…)。「人生百年」という言葉を、各人の百年ではなく、百年後の人たちのため、どういう生きるかを考えるべきというのは、脈々と続く家元のお言葉として示唆に富むものでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【動機】著者の本が読みたかったから
自分の悩んでいる、ひっかかりを感じる部分に対して、なんとなく考え方のヒントをもらえている気がする本書。自分の無知をあらためて感じる。謙虚に。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/747031