- Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623090907
作品紹介・あらすじ
20年にわたる平成期において、日本政治は、度重なる政権交代や連立組み替えなど、流動的かつ激しい展開を見せてきた。だが、たんに混迷の時代だったとは言えない。冷戦終結後の世界にあって日本は、新たな目標を探し求めてきた。本書は平成政治の最高指導者である首相16人に着目し、様々な模索と挑戦の軌跡を明らかにする。ここに平成政治史の本格的な見取図を提示し、次の時代を切り開く手がかりも見出す。
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架:312.1A/Mi73h//K
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各総理の評伝、政局、政策をバランスよく記述。森政権までの「政界再編」第1期、小泉〜麻生政権の第2期、民主党政権崩壊から「安倍一強」の第3期に区分する。90〜2000年代は小沢一郎の影がちらちら出てくるが、総理に焦点を当てている本であり、控えめだ。各政権への評は、一般イメージと重なる点と違う角度からの指摘と両方ある。
山口二郎の「過去への良心と未来への無関心」との村山政権評が面白い。90年代前半、山口自身が加わった研究会で自衛隊合憲+非核三原則などの法規範化を提言したが、左派・進歩的知識人から反発を受け、「護憲が左派のアイデンティティになったことを痛感した」という。
若月は森政権の特に外交面に一定の評価をし、同政権は「過小評価された」という。
宮城は、小渕政権を自民党最後の「保守本流」=吉田ドクトリンの系譜、とする。また鳩山政権の理想主義的言動と手腕の欠如の落差を指摘するも、同時に、政権交代及びアジア・沖縄との関係については、掲げた方向性自体は将来先駆的な試みとして再評価されるかもしれない、と留保もしている。
鈴木は麻生を、右派でも理念先行の安倍の保守主義と異なり、麻生自身の言葉も借りて「プラグマティスト的保守主義者」と評する。また、麻生政権時に政権交代が起きたことに関し、麻生個人の失策というより、新自由主義と政治改革の帰結という構造的な力だとしている。
楠は野田政権を、民主党政権の中では最も「統治」の責任を自覚、「やるべきこと」を着実に実行しようと格闘した内閣と指摘。
第一次安倍内閣は筆者により評が異なる。佐藤・宮城は、保守色の強い「安倍カラー」を正面から打ち出したとする(こちらが一般イメージだろう)。しかし楠は、保守的理念やイデオロギーではなく、官邸強化という実務的な政治プロセスを改革しようとした、というのだ。 -
平成の時代に総理大臣となった政治家たちについてまとめた一冊。昭和の自民党政権から政権交代、安倍一強の時代までを一気にまとめた現代史とも言える。
それぞれの内容としては批判的な部分もあるが、同情的な部分もあり、書き手の立ち位置がイマイチ。学者が書いたものなので評論家的になってしまうのも仕方のないところなのかもしれない。
事実は事実として、著者の思いを排除するようにして読むとちょうど良いかも。