時間はなぜあるのか?:チンパンジー学者と言語学者の探検

  • ミネルヴァ書房
3.75
  • (1)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 99
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623093656

作品紹介・あらすじ

“時間”とは何なのか? 主に哲学や物理学で論じられてきたこの「時間」をめぐるギロンにチンパンジー学者と言語学者が参戦! 「チンパンジーや動物に時間はわかる?」「昨日と今日が同じ言語があるってホント?」「自閉症や認知症の人が経験する時間の障がいとは?」などの不思議に、幼児の発話記録や実験、チンパンジーとの比較、また世界の言語・表現の分析などを紹介しながら解説。知的好奇心くすぐる時間の世界へようこそ!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『感想』
    〇時間って誰しも同じスピードで、平等に過ぎていくものだと考えていたが、それが間違っているのかもしれない。

    〇時間を感じる体の部位がないから、人によって感じ方が違うのか。これって意識する主体がどこにあるのかわからないのと同じだな。夢や記憶や心もそうかな。

    〇夢の中で学生時代に戻ることがある。夢から覚める前はそこでは学生だ。その他にも現実にはあり得ないことがほぼ違和感なく受け入れられる。この感じが脳に障害が出ると感じられることなのだろう。

    〇人間は先を予測できるようになったから、同時に時間という概念を手に入れたのだろうか。今だけを一生懸命生きるのならば、その積み重ねがたまたま未来になっていくだけで、それが現実になるとは限らないから。

    〇でも人間だってこれ以上寿命が延びてくると、相対的に時間の価値がなくなっていくから逆に時間を気にしないようになるかもしれない。

    『フレーズ』
    ・時間を感じるための特別な体の部位があるわけではありません。(略)人によって時間の感じ方が違ったり、つらい時間は長く感じて楽しい時間は短く感じたりするのは、このように時間がとらえどころがなく、脳のなかで多様な部位がかかわって作り出しているものだからかもしれません。(p.143)

    ・過去を振り返って将来を見通す能力は、チンパンジーに比べて、ヒトのほうで格段に発展しています。それが、チンパンジーは現在でも森のなかで比較的原始的な暮らしをしているのに対して、ヒトのほうは文明を発展させ高層ビルが立ち並び人工知能も生み出すような環境を作って繫栄してきたゆえんだと思います。(p.168)

    ・時間はどうも記憶と深い関連があるように思えます。(p.173)

  • 大型書店をふらふらしていて、出会った本。4章の、病気で脳に障害がある方が時間をどう感じるのかについてが、最も興味を惹かれた。普段、当たり前のように「1時間後に打ち合わせだから資料用意しなきゃ」とか「明日は出かけるから今日中に家事をしよう」とか、時間を意識した会話をしているが、そんな日常生活でも脳はフル活用しているんだと気づいた。可愛らしいというか、手に取りやすい親しみのある装丁の本だけども、中身は難しくて、何どももう読むのやめようと本をめくる手を止めてしまった。何とか全部読んだが、あまり理解できなかったという感想も強い。

  • 第1章 ミッチーの時間―“幼児の時間理解”の発達を探る
    第2章 ことばにみる「時間」―“今昔の日本語と外国語”から時間表現を探る
    第3章 チンパンジーの時間―“動物の時間”からヒトの時間のヒントを探る
    第4章 時間を失う?―“脳障害の事例”から時間理解への糸口を探る
    第5章 時間とはなにか?―時間をめぐるディスカッション

  • 【請求記号:141 ヒ】

  • I read this book in part.
    this book makes me think about time.
    It looks at time in different perspectives, for example ,times as seen by a monkey,times as captured by an infant.
    fainally,it is also written general relativity and it makes me have a new idea.

  • ふむ

  • 第1章 ミッチーの時間──“幼児の時間理解”の発達を探る
       ミッチー、将来を思う
       「きょう」は「あした」!?
       発話時・イベント時・参照時
       時間の社会的制度
       現在と非現在
       「きのう」「きょう」「あした」
       「おとつい」と「あさって」
       月と年
       時を刻み、伝える「時計」
       ミッチー、時計を読む
       時間の長さの理解

    第2章 ことばにみる「時間」──“今昔の日本語と外国語”から時間表現を探る
       〈いま・ここ〉と時間語
       自分を中心にして時間を位置づける
       アシタは昔「朝」の意味だった
       ミッチーの発明「ナンネンカ」
       日本語と英語の時間表現
       時間と空間
       月日は過客
       『スイミー』のなかの〈時間〉探し
       時制と時間は別物です
       「未来」ってなんだ?

    第3章 チンパンジーの時間──“動物の時間”からヒトの時間のヒントを探る
       なぜチンパンジーの心を探るのか?
       心的時間旅行
       エピソード記憶はヒトだけのもの?
       チンパンジーの3年前の記憶
       道具使用の未来計画
       自発的な未来計画
       一度きりの出来事の記憶
       類人猿のアイトラッカー研究
       未来の出来事を予期できる?:1 場所の記憶
       未来の出来事を予期できる?:2 物の記憶
       過去の記憶にもとづく心的時間旅行
       チンパンジーの「ひさしぶり」感覚

    第4章 時間を失う?──“脳障害の事例”から時間理解への糸口を探る
       時間感覚の不思議
       自閉症と時間
       時間の感覚と記憶
       「最近なのか? 昔なのか?」:時間の距離感の喪失
       「昔にタイムスリップ?」:時間軸の錯覚
       〈いま〉の認識の障害
       認知症と時刻表的行動
       時間の長さの知覚と脳障害

    第5章 時間とはなにか?──時間をめぐるディスカッション
       「時間」ということば
       「きのう」と「あした」が同じ言語
       英語の現在完了の感覚
       「まえ」は過去か未来か?
       チンパンジーからヒトへ
       言語なしで思考は可能か
       時間と記憶の深い関係:カケスの実験に触れて
       脳の障害と時間
       「時間よ止まれ」という魔法
       時間はなぜあるのか:先人からの知恵
       動物にとっての過去・現在・未来
       ヒトの進化と時間
       時間がかかわる物語

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

2022年3月現在
京都大学野生動物研究センター教授

「2022年 『時間はなぜあるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平田聡の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×