- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634180017
作品紹介・あらすじ
音楽は音楽のみで成り立つものではない。そこには歴史が生み出した様々な要素が混じり合い、重なり合い、それが人々のもとに届けられてゆく…。
感想・レビュー・書評
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音楽家が生きた時代の空気感が、どのように楽曲や音楽家の着想に影響を及ぼしているかがわかる良著。逆に言えばもっとポピュラーな楽曲についても取り上げてほしかったと感じた。
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いまや現代で生きる上で欠かせない“必修科目”となったのが世界史。美術も音楽もそれだけ取り出して観賞するのでは立体にならない。西洋史の「歴史的背景」の位置づけでキーとなる曲を選出し、クラシック音楽の流れを効率よく見ていく本書は、飛び石を伝いながら川の全景をたどるダイジェスト・ツアー。ひとつひとつの飛び石(曲)が、個性的で、ありきたりではない。歴史の光と影に目を配ってきた著者の面目躍如だ。密かに現代の映し鏡となっているところが、巧みである。
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タイトルが平凡でつまらなそうだったので、期待せずに読んだのだが、読んでみたら大変よい本だった。
ヨーロッパ文化史を専門とする研究者(横浜国大准教授)で、音楽評論家としても活躍する著者が、ルネサンス期から20世紀前半までのヨーロッパ史を、西洋クラシックの名曲の誕生と重ね合わせて綴った本。つまり、「名曲から学ぶヨーロッパ史」ともいうべき内容なのだ。
この手の本がほかにないわけではないが、本書は著者の語り口がじつに魅力的である。
取り上げられた20の名曲の舞台裏エピソードを、まるで物語のように楽しめるのだ。時にミステリのように、時にラブストーリーのように……。
作曲家も「時代の子」である以上、生まれ育った時代や社会のありようから大小さまざまな影響を受けずにはおれない。当然、作品の中にも、彼らが生きた時代は刻印されているのである。
著者は名曲誕生の背景を読み解き、そこに隠された時代の刻印を浮き彫りにしていく。何の気なしに聴いていた名曲から、激動のヨーロッパ史が立ちのぼり、それぞれの曲がもたらす感動をいっそう深いものにしていく。
音楽史の勉強にもなればヨーロッパ史の勉強にもなる、一石二鳥の本。 -
面白くなくはないが、初歩的な内容。
あと、許しがたいのが、添付CDに紹介曲の一部しか収録されていない。
チェルニーのピアノ協奏曲とか、そういうのをこそ収録すべきだろう。どこでも聴ける有名曲だけ収録したってしかたがない。それなら、CDなんぞつける必要はなかった。
2017/6/7読了