- Amazon.co.jp ・本 (90ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634341906
作品紹介・あらすじ
本書は、オスマン帝国の構造とその変化を軸に、近代にいたる歴史をたどっている。
感想・レビュー・書評
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オスマン帝国の全体像を概観するのに良し。
多民族多宗教国家だったというのが良くわかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近代にその領域から多数の国民国家が誕生したために全体像が適切に把握されているとはいいがたいオスマン帝国について、キリスト教徒対イスラム教徒の戦いあるいは16世紀に全盛を迎えた後ゆるやかに衰退していくといった従来のイメージを退け、15〜17世紀の3世紀を中央集権体制の時代として、軍事制度や徴税システム、官僚制度、社会の変化等について概説する。参考文献リストあり。
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オスマン500年の通史。
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●構成
オスマン帝国史の課題
オスマン帝国を生んだ世界
オスマン帝国史の展開
軍事制度と徴税システム
中央官僚制度
オスマン帝国下の社会
分権化の時代へ
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最盛期にはバルカン半島、小アジア、エジプト、地中海南岸(北アフリカ)という広大な地域を支配し、イスラム国家としてキリスト教西洋世界と戦い続けたオスマン帝国。その長い歴史の割には、オスマン帝国史は明らかにされていない部分が多い。しかしオスマン官僚たちは膨大な記録を残しており、これらを紐解くことで詳細な研究がなされ始めている。
本書は、オスマン帝国について何もしらない読者のための、政治・軍事・徴税などの、初学的なオスマン帝国史である。14世紀初頭のオスマン国家誕生から版図の拡大、最盛期を経て20世紀初頭の滅亡に到るまでの長期間にわたって、特に重要な皇帝の業績や史実などにポイントを置いて概説している。その分詳細な掘り下げはなされていないため、個々のトピック、とりわけ文化面での歴史や外部世界との交流に関しての言及は少ないといえる。
オスマン帝国は、一般にはイスラム教徒の国であり、キリスト教国家とは敵対すると見做されがちであった。しかし実際には、オスマンは決して単一宗教国家ではなく、国民の中にはギリシャ正教徒、アルメニア正教徒、ユダヤ教徒なども容認され、実際に相当数の非イスラム教徒が存在した他宗教・多民族国家であった。また西洋世界と隔絶しているわけでもなく、実際にイスタンブールではヴェネツィアやジェノヴァなどの西洋国家の商人たちも商業活動を
営んでいた。本書はこうした基本的な知識を得る足掛かりとして読みやすい本(冊子)である。
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【大学図書館】 -
この本を読んだのがだいぶ前なので正当な評価はできないかもしれませんが、オスマン帝国が最も輝いていた17世紀末くらいまでのオスマン帝国の諸制度について解説しています。この本でメフメト2世やセリム1世、スレイマン大帝のそれぞれの事績や、ティマール制やマムルークなどの諸制度についてだいぶ頭の中で整理することができました。しかし、私の読解力不足が主な原因でしょうが、この本に貫く一本の軸が見えず、単調な内容だったような気がします著者の林佳世子先生は講談社の『興亡の世界史』シリーズの「オスマン帝国500年の平和」も書かれてますので、いずれそちらを拝読したいと思います。
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前近代のオスマン帝国の制度、社会について詳述。