- Amazon.co.jp ・本 (89ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634345805
作品紹介・あらすじ
異なる文化的背景をもつ人びとが頻繁に接触する現在、必要とされているのは、ヨーロッパやイスラームなど、複数の集団、さまざまな文化圏を包含する、グローバルな視点での世界史である。本書では、「ヨーロッパ」「イスラーム世界」という枠組みの検討や中世の文化圏の比較、そして交流・衝突の過程の解明をおこない、さらには、現代ヨーロッパのイスラーム教徒、イスラーム過激派の背景を探る。このような試みが、グローバルな世界史像構築への第一歩となることを願っている。
感想・レビュー・書評
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TH1b
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正直ほとんど目新しいことはなく、何となく教科書的な内容でした。が、一つだけ目を引いたのは神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ2世(言うまでもなくプロイセンのフリードリヒ2世とは別人)と彼の率いた第5回十字軍について取り上げていたことです。シチリア王でもあったフリードリヒ2世は13世紀当時キリスト教文化圏とイスラーム文化圏の交錯する場所の一つシチリアで生まれ育ち、ラテン語やアラビア語も解し、イスラームに対する態度も当時の常識では考えられないほどの理解を示し(限界もあるが)、第5回十字軍はアイユーブ朝のアル=カーミルとの話し合いによってイェルサレムを手に入れたことから「無血十字軍」とも呼ばれ、彼自身も「玉座の上の最初の近代人」と呼ばれています。まだ高校世界史においては彼の扱いは低いものですが、「文明の対立」が叫ばれて久しい今(これを唱えたハンチントンに対する批判も多く出てますが)、新たに取り上げられるかもしれない可能性の高い一人であることは間違いないと思います。